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諸所諸々のエッセイ  作者: 粘土
31/66

現状

生きて居ても悲惨な事は有ります。

 此の世界には幾つの正義が有るのだろうか。近頃特にそう思う。持病を持ち、其の故に仕事に有り付けない自分を、家族が責める。言葉にはしないが、判然はっきり云って、『この不良品が』と。私はそんな積りで産まれて来た訳では無い。当たり前の事だ。誰だって不具かたわに産まれたいとは思わない。其れ以前に、産まれてからでないと精神は、心は生まれないのだから、其れを以って亜人間あにんげんと呼ぶのは間違いであると思う。いや、其れが正解だ。かつての奴隷制度が罷り通っていた頃ならば、まだ理解出来る。然し、此の現代に於いて、人として生まれた物を人として見ないと云うことわりは違法であるとされている。詰まり、肉体的、精神的虐待である。其の両方を受けた私は人でないと云うのか? そうであるなら、判然とそう云って欲しい。長い間、家族にも成れず、不良品として育った私は何時でも『お前が悪い』と云われ続けて来た。何もしていないのに。迷惑は掛けたが、其れは正しく産まれなかったからであって、何も、人を苦しめる気など無かったのだから、責任を負わされるのはオカシイと思っていた。けれども、父も母も、共に私の存在を疎ましく思っていたのには違いが無い。幼き頃より、切実な想いで彼等を慕い、然し、受け入れられなかった自分が疑問を持っていた事に対して、未だに其の答えを与えて呉れない彼等の方がオカシイのではなかろうか。

 其れでも、育てられた恩に報いる為、大学へ進んだ私は、兼ねてより興味の有った哲学と社会学を熱心に学んだ。何故なら、其処には私の求める答えが有るのではなかろうかと思ったからである。実に、有った。自らをだいあらわし、他人ひとを蹴落とす気遣いの有る者は愚者であると云う事を、判然と知った。近代の社会に沢山の不平等が有り、其の中には言語道断なる差別が有ったと。一例には、差別された彼等を殺そうとまでしたと。そして、今現実に私が其の境遇に在るという事も。かつて観た美しい景色の中で育った母も、なに不自由無く甘やかされた父も、真実を知った時、私の倒す可き敵と成った。殺さねばならない。其の慢心を。偽らざる可き立ち位置に立って観た世界を教えねばならない。二人共温い。私に比ぶればぬる過ぎる。“何とか成る”、“逃げ道は有る”、甘っちょろい考えだ。然も、其れが現実ならば私を虐待する事に成るであろう事を防ぐ必要を覚える筈だ。然し、遣らなかった。其れが何んな意味を持つかと知っていて。結果、私は今現在も肉体的に病み、精神も長兄に因って犯されたままである。幼少期からの虐待に因って、薬を飲まねば寝られない。不眠が続けば、脳がオーバーヒートを起こし、気を失い、倒れてしまう。救急車で運ばれると、両親の説教が待っている。正に地獄だ。生き地獄だ。客観的に観て、死にたくなるのも無理は無いと思う。実際にはもう、手首を五十針程縫った。最後の記憶では、私に『死ね!』と云った父が、テレビを観て笑い転げていた。正に、私が手首を菜切り包丁でザクザクと切っているのを知っていて。そして、放った言葉は『お前は馬鹿か』である。全く呆れる。きっと、私は産まれる時を間違えられたのだろう。江戸時代なら潔く死なせて呉れた。明治時代なら話も出来たろう。大正時代ならば病院での治療と、家族との話し合いも出来たと思う。昭和初期に於いては恐らく戦地で死んでいる。嗚呼、何れだけ楽だったろう。楽しく過ごし、死するのは。……

 やれ、哀しきかな。私は今でも生きて居る。正直、現状に於いての政府の施策に於いては柳葉包丁で死する事も考えているが、其れも何うなる事やら。沢山の選択肢が有る一方、何うすれば家族と訣別出来るのかを模索する毎日である。生きるのなら“書く”。同人誌でも好い。書き続ける。然し、そうでなければ。後の説明は蛇足である。居なくなったら左様なら。居続けるなら、又、読んで欲しい。以上である。

生きて居るからこそ、悲惨な事が有るのです。

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