第70話〜聖剣〜
光の戦士が言った神の祝福って何だ?と尋ねたら、
『・・・かつて此の大陸で神に選ばれた種族、その者達に与えられたとされる特性だ』
「選ばれた種族?特性?・・・なんか凄そうだな」
『そうだ・・・獣でもなく魔物でもない、にも関わらず獣以上の身体能力を持ち魔物と同じように魔力を扱うことができる。そして何より俺が長年で培った技法、それを生まれつき使いこなすらしい・・・』
「技法って何だ?」
『・・・俺を蘇らせたこの魔族・・・ではなく人間が俺に求めた技法、武具精製の技だ』
魔族と言いかけた時にジズから不穏な空気がしたが、それでわざわざ言い直したのだろうか。
「武具精製?」
『そう・・・俺が自ら使うために造った嘆きと喜びの杖、神々の武具に匹敵・・・いや追いこそうと思い俺の人生を懸けた武具を造るための、』
「技法ってことか・・・?それを聞くとまるで竜の奴等みたいなことをしてたんだな、光の戦士は」
『竜?・・・お前の腰に佩いているものがそうだというのか?』
「ん?ああ、そうだぞ。これは火の大陸のーーー」
俺が炎斬を持っている経緯、そして水渇刀をレヴィアタンから貰って今は持っていないこと等を一通り説明した。
『・・・選ばれた者、か。俺は選ばれなかったがために自ら造ろうと思い立ったわけだが・・・』
「いや、でも俺の場合は偶々だと思うぞ」
『違うな・・・偶然は全て必然・・・元より持つ資格のない者はその生涯で見ることすら叶わない、そういうものだ・・・』
「そうなのか?あれもそうなのか?」
預り物の槍、ブリューナクを立て掛けている岩を見ながら言うと、
『五光の神槍・・・・・・・・・どうやらお前は並の剣闘士ではないらしいな・・・』
「五光の神槍?剣闘士?」
またよく分からない言葉を使う光の戦士へ尋ねた。
『・・・話が逸れたな。そんなことより、俺はその犬に話がある・・・』
俺の質問を無視し光の戦士はロランへと話しかけた。
〜〜〜
「で、何か儂に言うことがあるのではないのか?」
あたしは間違いなく怒っているシバの顔を見て、どう言い訳すれば一番小言が少なく済むのか考えを巡らした。
「姫よ、初めに言うとくがお主が何を言おうが説教はするぞ」
しかしあたしの思惑は何故かシバに筒抜けだった。
「で、でもねシバ?あれはしょうがないのよ。本当は協議して判断すべきことなんでしょうけど、切羽詰まった状況でもあるしいちいち城まで帰ってられなかったっていうか、」
「のう姫?確かに水の大陸で、その祈祷師の占いとやらの結果が事実じゃったとしよう。それに伴いお主の判断でレヴィアスとの国交の取っ掛かりを作ったという手腕も、まあ見事なものじゃ。おおよそは国主代理として言うべきこともない見事な結果と言えなくもない」
「で、でしょ?だったら、」
「しかし、じゃ!お主は現時点でやってはならんことをしでかした。それも2点ほど」
2点?
1つは思い当たることはないでもないが、もう1つは何だろうか?
「1つはあたしの判断とはいえ、国にとってというよりも我が家にとっては一大事と言えるけど・・・」
「まあそうじゃな。そのことについては儂が言う筋合いではないかもしれんが、未だに帰らぬ国王様より言付かっておる。国王様はそのことを懸念されておったぞ?」
「でも、短い付き合いではあったけど信用はできるわよジン・ガトウは?」
「・・・儂はそういうことを言っておるのではない。成程、鬼ヶ島の住民と交流を深めてその結果の上だったのかもしれん。じゃが、言い方は悪いがあれは元々は鬼ヶ島にあった、と言われる物。どちらかと言えば正当性は向こうにあるのじゃぞ?」
あたしが怒られている原因、それはクニツナをジン・ガトウに手渡したことだ。あれは我が家の家宝でありこの大陸では最高の武具とされている。シバはそれをあたしの判断で勝手に鬼族に渡したことを怒っているのだ。勿論あたしも考えなしにあれを渡したわけではない。サラマンドラも一緒に付いていったので持ち逃げされる心配もないだろう。だからシバの言うこともわかるのだが、そこまで目くじらを立てることもないのに、とあたしは思っている。
「ふう・・・まあ良い。お主が何の見返りも考えもなしにあれを渡したとは思ってはおらん。クニツナに関してはついでに言っただけじゃ」
だったらそんなに怒鳴らなくてもいいじゃない、とあたしは心中で突っ込んだ。
口に出さなかったのは今シバが、
「クニツナに関しては?他に何かあったっけ?」
あたしが言うとシバは僅かに目を見開いて、
「忠義が報われんとは不憫な・・・・・ガロウのことじゃよ」
疲れたように呟いた。
「あっ」
すっかり忘れていた。ガロウの存在を。
「あ、あははは」
「笑い事ではないわい・・・奴は仮にも警備部総隊長、奴が居なければ警備部の編成も任務遂行も一苦労じゃ。聞けばガロウを人物探索に向かわせたのもお主の判断だそうじゃな?」
「そうだけど、何でシバが知って」
「私が事の成り行きを話した」
「羅義神人?貴方・・・」
余計な事を言ってくれた、と先程から黙していた人物へと目を向けた。
「スサノオよ、貴様の判断は間違ってはいない。ヒノカを連れ帰るのは現状優先されるべき事柄だ・・・それにクニツナだったか、須佐ノ男はあれを略奪したわけではなく自然と身に付けていたように記憶している。特殊な武具というものは使い手を選ぶ・・・貴様がクニツナに相応しいのならば何もせずとも自ずと手元に戻ってくるだろう。だから御老体、今は小言ではなく現状の整理、そして災厄への備えが必要なのではないか?」
「むう・・・本当は怒鳴り散らしたいところじゃが、伝説の人物しかも儂より年上の御仁にそう言われてはのう。それに姫も何だかんだで様々な結果を出したことじゃし、」
やった、シバの勢いが弱まった。
「そうじゃの。取りあえずはお主の新しくできた友人達と話でもしてきなさい。政務は儂が代わりにやっておこう」
えっ!?
「う、うん。フェン達も大切な客人だしね。労わないと」
あたしは妙に物わかりが良いシバの態度を不思議に思いながらも、執務室を後にした。
「それで、お主・・・いや貴方はどうされるおつもりですかな、羅義神人殿?」
「どう、とは?シバといったか・・・私の今後についてか?」
「貴方はかつて家を捨て大陸を捨て、そして闇の大陸に渡った。であるならば此処に未練はないのでは?」
「・・・そうだな。いや、そうだった。私は闇に魅入られて此の大陸を捨てた。例え今現在大陸に危機が迫っているとはいえ私の出る幕ではない、な」
「じゃが貴方は此処に居る。それは何故ですかの?」
「・・・私はかつて此の大陸で三大英雄と呼ばれていた」
「存じております」
「・・・・・・そして同じ三大英雄である友を殺めた・・・」
「っ!?」
「・・・同じ過ちはしない。そして友が愛した此の国を奴の代わりに護りたい・・・・・・そう、思っただけだ」
「・・・罪滅ぼし、ということですかな?」
「そうだ・・・取り戻せないかもしれない。だが、私にはその責任がある・・・・・・」
そう言い残し羅義神人も部屋を出ていった。
「かつての三大英雄としての矜持というやつかの。そして友への償い、か・・・」
シバ・ウチカネは閉まった扉を見ながら呟いた。
〜〜〜
長老・・・父さんに聞いた話だと先祖である狗神様は元々此の光の大陸で生まれたらしい。生まれた当初は何の変哲もない一匹の犬だったとか。
でもある日突然何処からともなく声がして目の前に実が差し出され、それを食べたことによって様々な力を使えるようになったらしい。それは例えば、人間と意思を通わせることができることだとか、風のように速く走れることだとか、魔法を使えることだとか・・・物を造ることだとか。
・・・でも僕は魔法っていうものを使えないし物を造ったこともない。精々喋ることができるぐらいだ。だから、
「僕には無理だよ・・・」
金ぴかに輝く人間に向かって答えた。
『・・・何故そう思う?』
「何故って、君が言ってるのはとても難しいことじゃないか!父さ、長老ならできるかもしれないけどそんなことやったこともない僕には無理だ!」
金ぴかが僕にやれと言ったのは武器の呪いを解け、というものだった。でも僕はそんなことをやったこともないし怖くてできない。もし僕のせいでそれが壊れでもしたらと思うと・・・
『やったことがないだと・・・?確かに呪われた物自体はそうそう廻り合うものではないが、新たな武具を精製するつもりでやればよいだろう?・・・それだけでも俺がやるよりは遥かに解呪できる可能性があるはずだ』
「・・・君が僕に何をさせたいのかよく分からないよ。僕は武器なんて造ったことがないんだ」
『・・・成程、祝福を受けた種族とはいえお前はまだ幼い。それを考えればそうかもしれんな・・・だが、俺は何もお前が祝福を受けた種族だからというだけで言ったわけではない。お前が持つ力、それから判断してできると言ったのだ・・・』
「僕が持つ、力?」
『そうだ・・・内包する魔力量とその質、お前ならばできるはずだ・・・今までにやったことがないとしてもな』
「そ、そんな勝手に!」
この金ぴかは何故僕にそこまで期待をするのだろう。
『・・・そこで寝ている我が友、奴もまた祝福を受けた種族・・・お前とは違う形、魔族の特性寄りではあるがな。奴は強い、がおそらくは強いが故に触れたのだろう、この剣に施された魔の深淵に・・・奴が寝ているというのは珍しい状態だ・・・だから、神寄りの特性を持つお前なら可能性がある、と俺は確信している』
金ぴかの言っていることは殆どよく分からない。でも、本当に僕にそれができると思っているような口ぶりだ。
「ロラン、兎に角試してみたらどうかしら?どちらにせよ貴方にしかできないようだし」
「リーナちゃん・・・でも僕は」
「ロランと仰いましたか、その狗族は?バラン・オオガミと何か繋がりがあるのでしょうか?」
「ジズ、貴女はバランを知っているの?」
「いえ直接は・・・ですが闇の大陸で嘆きの杖を探す際に幾度となく耳にした名前だったものですから」
「そう・・・私はあれほど腕の良い鍛冶師を知らないけれどね。ロラン、貴方のお父さんは闇の大陸では知らぬ者が居ないほどの鍛冶師だったのよ・・・だから、どうかしら?その血を受け継ぐ貴方ならばできると私も思うのだけれど」
リーナちゃんは言いながら懐から短剣を取り出した。
「これはバランから貰った黒竜の牙・・・竜が認めるほどの、友宜を感じるほどの存在、それがバラン・オオガミという者よ。貴方は誰よりも知っているでしょう、あの誇り高い生き様を・・・」
そうだ・・・長老、父さんは僕を庇って・・・僕はどうして今もこうやって生きている?父さんのおかげじゃないか。父さんがこの場に居れば何とかしてくれただなんてそんなことを思うなんて僕は馬鹿だ!
ごめん、父さん・・・
僕が、
「やってみるよリーナちゃん。でないと父さんに笑われる」
「そう・・・」
微笑んだリーナちゃんに頷いて僕は金ぴかから剣を受け取った。
『・・・俺が生涯で求めた力。神に与えられた本物の力とやらを見せてくれ・・・』
「やってみる。一族の、父さんの誇りにかけて」
とは言ったもののやり方が分からない。
どうすればいいのだろうか?
と、僕が考えていると
「ロランちょっといいか?」
気にくわない奴が僕に話しかけてきた。
「・・・君まだ居たの?早くうちに帰れば?」
「お前なんか俺に冷たくないか!?」
気にくわない奴・・・トウヤは何か慌てたように言った。
「いいや普通だよ。それより何?僕はやらなきゃいけないことがあるから早く言いなよ」
「やっぱ冷たいよな・・・俺何かしたっけ?」
しまくった!と僕は心の中で呟いた。
「ま、まあいいや。でだ、今の話を聞いてたんだけどな、」
「・・・」
僕は早く終わらすために黙ってトウヤの話を聞いていた。
「初めてやることがあって、それが自分にできるかどうか分からないとき。そういうときはだな、」
この自分勝手な人間は何を言いたいのだろう?
「聞いてる、よな?・・・続けるぞ。そういうときはだな、自分の気持ちを身体に委ねるんだ」
よく分からない・・・
「気持ち、を委ねる?」
「そうだ。俺も最初オーラって力を発現させる時にやり方も何も分からなかった。でもその方法でやったら俺にできることは何か、とか俺の身体の中に流れる力とか、そういったものがうっすらだけど見えたんだ。だから俺は、お前も自分の気持ちを身体に委ねてやったらいいだけでそれでもし失敗しても気にすんな、ってことを言いたかったんだ。見た感じ気負い過ぎてるからな。気楽にやろうぜ?」
・・・・・・気にくわない奴だけど、そう言われたら大分気が楽になった。
「・・・ありがと」
だから気にくわない奴だけど一応礼は言った。
「気にすんなって・・・また、お前に乗せてくれればいいさ」
「それは断る」
「・・・・・・やっぱり冷たいよな」
それだけ言うとトウヤは僕から少し離れた。
・・・さてと、それじゃあやってみようかな。
僕は剣を持ったまま自分の身体に気持ちを委ねた。
・・・父さん、バラン・オオガミの子だということを誇り、
・・・リーナちゃん(ついでにトウヤも)と出会えたことを喜び、
・・・・・・そして、先祖が生まれた故郷の土を今僕が居ることを噛み締めて、
僕は剣に刻まれた文字に触れた。
〜〜〜
俺の話を聞いたあと、ロランが剣に触れた。するとその身体が輝きだした。
『・・・この魔力の高まり、そして輝き・・・やはり生まれついての能力なのだな・・・』
「見ただけで分かるもんなのか?」
『・・・当然だ。俺は幾度となくこの技を使用したのだから』
「ふうん。でも?」
なんだろう、ロランから感じるのは・・・魔力にしては嫌な感じがないような気がするな?
光の戦士が何かを確信しているような口ぶりだから、今のところは特に問題もなさそうではあるが。でも何て言うか・・・ロランは何やら嬉しそうだな。
「ははっ。気楽にやってるってわけだ」
そんなロランを見たら俺も何だか嬉しくなってくる。
『・・・ところでお前』
「何だ?」
『その竜の剣から感じる魔力が微かに高まっていないか?』
「炎斬からの魔力?」
光の戦士が俺の腰に差している炎斬を見ながらそんなことを言うので、
「そう・・・なのか?よく分からんが」
『本当に微かにだからな・・・俺もふと気づいただけだ』
「ふうん。流石は武器造りの名人ってわけだ。そんな微妙な、」
と、その時、
『・・・ノカ』
?
今何か聞こえたような?
今誰か何か言ったのか?と思って他の奴の顔を見た。でもみんなロランに注目しており俺のほうは見ていない。
気のせいか?
『・・・ヒノカ!』
いや?やっぱり聞こえた。今の声は聞いたことがあるような・・・
『・・・くそ!本当にそのようなことができるのだろうな!』
・・・今度は間違いなく聞こえた、けど文句みたいな口調だったぞ?
というか今の声はあいつか?
「・・・ジン・ガトウだっけ。何でお前の声が聞こえるんだ?」
しかも何処から聞こえたのかよく分からん。
『っ!?聞こえた、聞こえたぞサラマンドラ!』
「おい?」
ジン・ガトウは今サラマンドラとか言ったよな?
『・・・・・・むう。疑っていたわけではないが。トウヤ・ヒノカ、聞こえているのだろう?』
言い訳のような声がし再び俺に問いかける声が聞こえた。
「あ、ああ。というかお前はどこに居るんだジン・ガトウ?声はしても姿が見えないぞ」
『・・・どうやら真に・・・・・・そうだ。私は今貴様の得物を通して語りかけている』
「炎斬を通して?」
『そうだ。魔力や精気が扱えればサラマンドラがそのようなことができると言ったのでな。順調にいけばあの人間達が貴様にそれを手渡している頃だろうと推測したが、確かに貴様の手元に渡っていて良かった・・・』
「炎斬でそんなことができるとはな・・・?それはいいとして何でお前は俺に話しかけてきたんだ?」
『どう話すべきか・・・私は今、サラマンドラと共に火喰い島に戻っている』
「ふうん、帰ったんだな」
『ああ。水の大陸での占いとやらで島が脅威にさらされる可能性を示唆されたのでな。居ても立ってもいられなくなった』
「ああ、ミシル達が言ってたな。でもお前は無事に帰れたんだろ?」
『帰れた。が無事に、というわけではない』
「・・・何かあったのか?」
『・・・そうだ。そのことで、貴様の力を・・・・・・・・・・・・借りたい』
うん、かなりの葛藤を感じたぞ?
でもこいつは魔法を使えるし強さもそれなりだから俺の力を借りる必要があるんだろうか。
「なあ、何があったんだ?災厄って奴に関係があるのか?」
『・・・おそらくは違う。貴様はニルナ・カナワを知っているな?』
何でここで二ル姉の名前?・・・ああ、そういや今鬼ヶ島に居るんだっけ。
「まあな。同門で幼馴染みだ」
『・・・・・・奴の強さは?』
「・・・ニル姉に何かあったのか?」
『そうだ。いや精確に言うのならば奴が何かをした、と言うべきか・・・推測ではあるがな』
何かをした?・・・確かにあの短気なニル姉なら暴れ回ったとかは考えられるけど。
しかも推測ってどういうことだ。
「あのな、よく分からないんだが具体的には何があったんだ、鬼ヶ島で?」
俺が業を煮やして尋ねるとジン・ガトウは一言こう呟いた。
精気兵の暴走だ、と。
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あのトウヤという人間は先程から何をぶつぶつ呟いているのだろうか。ロランに話しかけている、というわけでもなさそうだ。
現在此処に居る他の人間達は皆ロランの行動を凝視している中で。
・・・だが、この魔力の高まりやその質、やはりロランはバランの血を引くだけのことはあるわね・・・
数十年前に私が会ったときに何故か快く嘆きの杖と黒竜の短剣を譲ってくれたあの狗族の長・・・彼の者はもう居ないが、目の前のその子の魔力は明らかにバランのそれを超えている。にも関わらず何故バランはロランに武具精製の技法を伝えていなかったのだろうか?
・・・1つ考えられるのはまだ幼かったロランには過ぎた魔力なので扱いが難しいため時期尚早と判断した、ということか?・・・それか親ならではの愛情という奴かしら?技を身につけることで様々な危険に巻き込まれる可能性を考えて敢えて技を受け継がせなかった、という。
でもねバラン、子というものは親の知らないうちに勝手に成長するものなの。例え貴方がロランに忌避させたかった・・・他種族、特に人間との交流を考えていてもロランは新しい世代として他種族との交流を広げたいと、そう考えているわ。貴方の心配したようなことにはならないと思うから、私も協力するから温かく見守っていて頂戴。
私は親が子を見守るような視線でロランを見ながら今はもう居ない他種族の友人へ心の中で語りかけていた。
「う、うおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
そして、ロランの魔力が今までにないぐらいに高まった。
『・・・素晴らしい』
「貴方よりも、かしら?」
『ああ・・・俺ではたどり着けない域に生まれ持った能力で既に到達している・・・・・・これが選ばれし者、ということなのだろう・・・』
光の戦士は寂しそうにそう呟いた。
パァァァ
見ているとロランの持つ剣が輝きだした。あの剣から感じる魔力から禍々しい雰囲気が消えている・・・
『見事だ・・・祝福を受けた、狗族よ』
「ぼ、僕はできたの?」
『ああ・・・見る限りその剣の呪いは消えうせている』
「や、やった!」
ロランが持つ剣、カリブルヌスは神々しいとも言えるほどの輝きを放っている。
『・・・選定の剣カリブルヌス。魔の呪いを撥ね除けて真の力を取り戻し・・・・・・否、祝福を受けて強力な聖なるものとして生まれ変わった剣、か』
「生まれ変わったの?」
『・・・そうだ。お前の力によって・・・元はこの大陸に伝わるこの剣。ではあるがここまでの輝きを放ってはいなかった、筈だ。だから、お前の力によって新たなる剣となったとも言える』
「そう、なんだ。僕の力で」
『・・・生まれ変わったカリブルヌス・・・・・・・そうだな、名付けるならば・・・エクスカリバー、といったところか』
「エクスカリバー・・・それが僕の力で新しくなった剣の名前なんだね」
ロランは愛おしそうに聖なる輝きを持つ剣を撫でていた。
「デュカ・リーナ、ちょっといいか?」
「何かしら?」
私が微笑んでそんなロランの様子を眺めていると、先程までぶつぶつ呟いていた人間トウヤ・ヒノカが話しかけてきた。




