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第64話〜2つのこころ〜


それはどういう意味だ?とイヅナに聞くもイヅナはエンキドゥが言ったことをそのまま伝えただけだと言う。

じゃあミシルはどうなんだと本人へと聞いてもわけが分からないという。

いやでも、


「友達、ってことは前に会ったからじゃないのか?」

「知らん。私がこの大陸を訪れたのも初めてのことではあるし、奴を見たこともない」


聞いてもミシルはそんなことを言う。


「イヅナ?あいつに聞いてみてくれ」


「わかった」



イヅナがエンキドゥと話している間、俺は先程の話を続けた。



「で、直ったのか?」


「そうだ。本来ならサラマンドラから貴様に返すのが筋だろうが・・・奴は火の大陸へと帰るために急いでいた。私から貴様にこれを渡してくれと言付かった」


言いながら俺はミシルから直った炎斬を受け取った。

・・・・・・うん、前と同じように刀の形になってるな。


「あれ、でも水渇刀は?あれもサラマンドラに預けてたんだが」


俺はもう1つの預けた物について尋ねた。


「あれは奴が一旦本人へと渡していた。何でも、込められたものを全て使いきったとか何とかでな」


「本人?・・・ってことはレヴィアタンに会ったのか?」


「そうだ。その際に、」


ミシルはその時の竜同士の会話を話し始めた。




▽▽▽




『措け。我もこのような人化は不本意なのだ・・・だが魔力の節約をせねば』


少年の姿をしたサラマンドラという竜が言いにくそうに言った。どう見ても人間にしか見えないが少年から感じる魔力や先に見た火炎の扱いを見て竜、というのも頷けないではない。


『そう。以前此処に訪れた人間が持っていた貴方の物には相当な想いが込められているのは感じたわよ』


『まあの。アレを造った当時の我は渇望しておったからの・・・汝のものは今は我が持っている』


もう1人・・・1体の竜であるレヴィアタンと呼ばれる女性と親しげに話す少年が懐から何かを取り出した。


『貴方が何故それを持っているの?・・・・・・そう言えばあの人間は居ないわね』


金髪の女性は周囲を見渡しながら首を傾げた。


『そうじゃの・・・我等が此処に来た理由も含めて話さねばなるまい』


『理由?貴方は私にそれを渡しにきてくれたのではないの?』


『それもある。じゃが、汝が認めた人間の現在置かれた状況、そして我等竜族がこの世界に落とされた意味を果たすために此処を訪れたと言ったほうが分かり良いかもしれん・・・』


『・・・聞きましょう』


そうしてサラマンドラは先程の祈祷師による占い、その内容についてレヴィアタンに説明し始めた。



『・・・そう。遂に災厄が目覚めたのね・・・』


『そうじゃ。じゃからこれを』


説明が終わり少年は手に持つ刀を女性に渡した。


『・・・結構吸い取ってるわね。取りあえずこれを貴方へあげましょう』


と、女性は渡された刀をいきなり少年へと突き刺した?


「おい何を!」


それを見た私は慌てて止めようと叫んだ。


『良い・・・感謝するレヴィアタン』


『それは私よりもここまで吸い取ったあの人間に感謝すべきではなくて?』


『違いない・・・』


奴らは何を言っているのか、とその会話を聞きながら疑問に思っていた。

だが、


「魔力が・・・?」


私は少年の身体から発せられる魔力が上昇するのを感じた。その身体も何やら光っている。


『人間が魔力を?・・・ああ、そういえば貴方は以前祠の中で魔力を放出してたわね』


女性は私の呟きが聞こえたのか私の顔を見ながら何やら納得していた。

そして、


『おお・・・全快したの』


そう呟く青年が其処には居た。


「貴様はサラマンドラ、なのか?」


魔力の質はあの少年のそれだったが、その量は比べ物にならないほどに多い。なので私は確信が持てずに尋ねた。


『うむ。さすがはレヴィアタンじゃな。いいモノを造った』


そして自身が持っていた鱗のような物に力を込めた。



△△△



その時に炎斬は刀の形を取り戻したのだとか。

やっぱり魔力が込められてる物なんだなと俺は炎斬を見ながら再認識した。


「まあ俺にはこれのほうがしっくりくるな」


槍を貸してくれたミスミには悪いが俺は炎斬の刀身を撫でた。


「しかし、いいのかトウヤ?それはそのドワーフの鍛冶師にとっては重要な物ではないのか」


ミシルの疑問はもっともだ。俺もついうっかりしていて返すのを忘れていただけなんだが・・・


「別に盗ったわけでもないしな。イヅナを送り届けたらまた鉄島に寄って返すさ」


俺が言うとガロウが、


「そうか・・・それはそうとちょっと貸してはくれないか?」


「ガロウ?あんたはこれに興味があるのか?」


「ああ。神々の武具・・・実際に目にするのは初めてなので」


「ふうん。ほら」


俺達がそんなやり取りをしているとイヅナがこちらに近づいてきた。


「なんかね、勘違いだったんだって」


「ん、何が?」


開口一番そんなことを言ったイヅナの通訳によれば、エンキドゥがミシルのことを友達と思ったのはどうやらミシルの性質に関係があるらしい。

つまり、


「成程な。そのエンキドゥの友達だったって奴も魔力とオーラを併用してたってことか」


「そう。しかもその人間に馴染みのあるこの場所で会ったからついすり寄ったって」


エンキドゥによるとこの場所に金色の鎧を飾っているのは友達って奴が此処でよくエンキドゥに会っていたかららしい。だから、死んだそいつがもしかしてまたいつか此処を訪れる場合を考えて目印になるようにわざわざ鎧を飾っているらしい。・・・・・・でも、死んだんならもうそいつは・・・


「そうか・・・その者も魔力とオーラをな・・・」


ミシルは何やら感慨深そうだ。

まあそう考えると俺やイヅナは敵対心を持たれてもおかしくはないな。知らない奴がそんな大事な鎧に近づいたんだから・・・


「くっ、私では扱えないのか」


「ガロウさん・・・神々の武具は持つ者を選定すると言われてます。そもそもその槍はドワーフ族がーーー」


ブリューナクを扱おうとして叶わなかったガロウを諭すようにリシナが何やら神々の武具の蘊蓄を話し始めた。


それを聞きながらそう言えば、と俺は思った。

ここまで立派な鎧は遺っているのになんでそのエンキドゥの友達の武器は遺っていないのだろうか、と。

これだけの鎧の持ち主ならば、得物は分からないがさぞかし業物を使っていてそれが一緒にあってもおかしくはないのに何でだろう、と。魔力があったという話だから魔法だけで充分だったのか?いやオーラも扱えてたという話だし何より光の戦士っていう通称から武器を使えるのが印象としては自然な気がする。そのエンキドゥの友達だったという光の戦士ギルガメッシュって奴は。

会うことは叶わないだろうがそいつがどんな闘い方だったのか俺は興味を持った。




~~~




「大司教ねえ・・・」


私は白いローブを着た女性、(おそらくは20代半ばあたりだろうと見当をつけた)が自分のことを光の大陸の大司教と名乗ったことに妙に違和感を覚えた。

というのは、


「若すぎないかな?」


大司教という位に就くぐらいだから年齢はまだ上でもおかしくないからだ。というよりもむしろ上でなければおかしい。自分より地位が下の者の取りまとめなどはどうするのだろうか。


「ありがとうございます!」


しかしその大司教、ジズと名乗った女性は私が嫌味を込めて言った言葉に何故か喜んでいた。


「お主はまったく・・・そのように単純だと付け込まれるぞ」


嘆かわしいとかなんとか、そのハンスと名乗った連れの男性はジズにぼやいていた。


「良いではないですか剣聖殿。私を知る者は皆そのようなことは口が裂けても言ってはくれないのですから」


「ふうん?じゃあ私がさっき君に若いって言ったことは褒め言葉になるのかな?」


私が聞くとジズは、


「ええ!近年私にそのようなことを言う者は居りません」


だから嬉しかったのだ、と微笑みながら言った。


「君は何歳なの?」


気になって尋ねると、


「・・・・・・」


微笑みの表情のまま顔が凍りついた。


「あれ?聞いちゃだめだった?」


どうやら年齢のことは聞いてほしくないらしい。


「それよりも、だ。あの獣は何処へ行ったのだ!」


ハンスはジズにお構いなしに再度尋ねてきた。


「ええ?私はあまり不確かなことは言いたくないんだけど・・・」


と、言い渋りながらドワーフ達のほうを振り返ると、


「どうしたの君達?」


ミスミもタウラも目を見開いている。その視線の先は、


「あの女性が何か?」


大司教ジズという女性が居るだけだ。


「あ、あ、あ・・・」

「な、な・・・・・・」


「?」


「・・・おそらくその亜人共は、」


魔力に中てられたのだろう、とハンスは言う。


「魔力に?えっ、でも魔力って人間は持ってないものでしょう?」


私が尋ねると、


「そうですね。本来人間が持ち得ないものです・・・」


ジズは目を伏せてそう呟いた。


「でも君は人間だよね?」


「こ奴は、大司教は紛れもなく人間だ・・・ただ、持ってしまっただけだ」


魔の力を、とハンスはジズを見ながら言った。



▽▽▽



劣勢の状況を打破すべく他大陸の者の力を借りた我等は・・・遂に見つけた、魔導書なる物を・・・

王のかつての縁を辿りようやく見つけたこの秘術・・・我等は人のまま人を超えることができる。

これを行うことにより亜人も魔族も我等人間には到底及ばなくなる。

だが・・・誰を・・・



~光の大陸とある人物の記録より抜粋~



△△△




私は話を聞きながら思いついて発見器の箱の釦を入れた。


ビービービーッ!


かつてないほどの反応を示した。ということはこの女性は本当に魔力を持っているのだろう・・・

しかし、


「どうやったら・・・?」


魔力を扱えるようになったというのだろうか。魔導書とはいったい?


「それはお主の知るところではない。それよりも早く教えろ!あの獣は何処へ向かった!」


怒鳴るハンスを尻目に私は研究の新たな可能性について考えを巡らせた。もし、あれをああして、これを・・・



「あのう、それはいったい?」


「これ?私が造った知恵の石発見器。また副次的な効果になるけどこれを使うとね、」


何やら焦っているハンスとは裏腹に未だにビービー鳴る発見器を見てジズは訝しんで尋ねてきた。なので私はこの装置の効用、知恵の石や魔力を探るのに便利なことを説明した。


「知恵の石、魔力を検知できる機械ですか・・・」


?私の説明を聞いたジズは何かを考える素振りになった。




「知らぬわ!我は別にその獣とは何の縁もない!」


と、タウラが怒鳴っている。どうやら先程の状態からは立ち直っているようだ。


「その女子(おなご)はきゃつの行く先を知っているようだった。仲間であるお主等が知らぬ道理はなかろうて?」



ハンスは私に聞いても埒が明かないと思ったのか牛顔のタウラに訪ねているようだ。

考え込んだジズをそっちのけにし私はその会話を聴いていた。


「知らぬと言ったら知らぬ!仮に知っていても貴様に言う必要はない!・・・それよりも貴様のそれは大仰な造りだな?中身は業物なのか?」


タウラは何やらハンスの得物の意匠に興味を持っている様子の口調だ。というかこの牛顔はあの獣が何処に行ったかを知っている、(実際に行ったかどうかは確認してないので不明だが)のにも関わらず知らないと言い張っている?・・・人間が嫌いなのだろう。


「むっ?お主は中々見る目があるな。・・・これは使い手を選ぶ剣。だがお主の斧もかなりの名工の手によるものと見受けられるな」


「ほう・・・人間にも見る目がある者が居るな・・・あの癪に触る奴とは大違いだ」


「あの、だと・・・?お主は拙者のような剣の使い手に会ったことがあるのか?」


「そうだ。無礼極まりない小さい者だが・・・」



多分それはトウヤ・ヒノカのことだろう、と私は推測した。



「むう?この鉄の島でか?」


「そうだ。そういえば奴があの獣と、」


「お主!やはり知っているではないか?」


口を滑らしたタウラへハンスが突っ込んだ。


「・・・貴様が探している獣かどうかは知らんぞ」

「誤魔化すなっ!やはり・・・人外というものは信用ができぬな」


その瞬間ざわっ、と空気が変わったような気がした。


「・・・ハンス」


「むおっ?」



いつの間にかジズがハンスへと近づいていたのだが、その手に持つ、


「お主に言ったわけではない。だからそれを仕舞え・・・」


金色の棒の先がハンスへと向けられていた。攻撃するつもりだったのか?仲間らしいのに?

今の発言に何か癪に触る部分があったのだろうか。

しかも呼び方までもさっきまでと変わっている。



「とにかくだ、吐いてもらうぞあの獣の居所を!」


「断る」



「・・・何故だ?」


私も思った。タウラは何を頑なに教えまいとするのか。私のような理由ではないだろう。あの少年と獣が何処へ行ったか確証があれば教えようが一向に構わない私とは。



「これでも我は武人。貴様らの目的は知らんがあのような小さき獣を閉じ込め、追い回すなどと、恥を知れ」


成程。おそらくタウラは・・・


「そうか・・・これからのために穏便に事を運びたかったがそこまで言われては仕様がない」


と言いながらハンスは剣を抜いた。



「力づくで聞き出してやろう・・・」




「ふん、舐めるな人間。そこの者ならともかく貴様に後れをとる我ではないわ!」


タウラもそれに合わせるかのように二丁の斧を構えた。

そこの者、とはジズのことだろうか?確かに魔力とやらがあるのだろうが、私にはその女性よりはハンスの雰囲気のほうが危険な気がする。



「改めて見るとやはりそれは造り手の魂が込められた良い武具だな・・・考え直す気はないか?」


タウラの斧を見ながらハンスはそう言った。


「くどい!・・・だが、人間ではあるが貴様のような武人がなんのために獣にあのような仕打ちをするのかその目的は気にはなる」


タウラがそう言うとハンスは僅かに目を見開いた。

そして剣を納め何かを、


「それは、」


「・・・嘆きと喜び」


言おうとした時にジズが横から口を挟んだ。


「どうやら首謀者は君のようだね?」

あの鼬のような獣を連れてきて閉じ込めたのは。

私は2人の会話や雰囲気でそれを知ったので尋ねた。


「ええ、そうです・・・あの(てん)には何の罪もありません。ですが選んだのです・・・」


「嘆きと喜び、というのはなに?」


何やら言いにくそうに言うジズへと先程の言葉の意味を聞いた。



「この (喜びの杖)と対を為す (嘆きの杖)・・・それを産み出すために、私達は・・・あの貂には可哀想なことをしました。ですが、」


「産み出す?あの獣を使って?どういうことかな?」

「厳密に言えばもう必要量は集まっている、筈です。貴女のそれならばお分かりになるでしょう?この地下には魔力が充満していることは」


ジズは自身が持つ金色の棒を見ながら私が持つ発見器を指し示した。


「魔力が・・・あの獣に何の関係があるの?」


「あの貂の一族の姿は変化します。だからあの場でその身に魔力を宿らせて最終的に形を・・・」


・・・そういうことか。と私はジズのその言葉を聞いてようやく納得できた、あの鼬を閉じ込めた理由を。便利な生き物が居るものだな、と思った。

しかし、肝心なことを聞いていない。



「でも、その二杖一対のものが揃ったところで王様の復活にどう関係があるのかな?」


「それはーーーーーー」


ジズはとある教典の一節を諳じた。


「ーーーーーーと、言われてます。なので、嘆きの杖さえあればおそらくは・・・」

それも分かった。要はその王という光の戦士を蘇らせるために、ということだ。だが?


「何のためにかな?その人物を復活させるのは。世界の統一?ううん、どうもそれは違うな。君はそんな野心家には見えない」


「そうですね。私も今のような状況が訪れなければそのようなことは考えなかったでしょう。ですが、他に手立てを思いつかなかったのです」


「今の状況、ってなにかな?」


おそらくはそれこそが肝心要なのだろうとは推測できる。


「この世界が闇に覆われようとしています・・・ある存在の顕現によって・・・」



と、ジズは言った。

ご意見等あればお願いします。

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