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第29話〜新たなチカラ〜

〜〜〜



見た目はニンゲンだが。

・・・あいつみたいな。

だが、黒き魔神・・・本当に居やがるとはっ!



「魔力、そして此方への殺意。見た目ほどニンゲンじゃなさそうだがなっ!」


俺は魔力を全開にし、闇の闘技を繰り出そうと身構えた。

半人半獣の姿でのみ使える闇の大陸に伝わる闘技、その本領を見せてやる!



「いくぞっ!」


魔力による身体強化をし、得意技、二本の手から生えた鉄をも切り裂く爪による連撃、



不断獅子爪舞ふだんししそうぶっ!」


を繰り出した。


「・・・・・・!」


ガッギッギンッギンッガギンッ!


「っ!全部防ぎやがるとは!」

一瞬で数十発は放った俺の技をあのでかい剣で全ていなすとは、何て速さだ!

だが、



「おもしれえなっ!黒き魔神っ!」



俺がニンゲンの姿をした魔神にそう言うと、



「マジ、ン・・・?私のこと、か・・・?」



その魔神が聞き返してきた。


「?黒き魔神の巣から出てきたお前は魔神じゃないのか?それに、その魔力・・・」


俺は首を傾げた。



「私は、人間、だ・・・」


だが、その魔神はそんなことを言った。


「はっ!おもしれえ冗談だっ!ニンゲンがそんな魔力を身につけてるわけないだろうがっ!」


俺はその魔神が何故そんなふざけたことを言うのか分からなかったので一笑に付した。


「魔力だ、と・・・?」


だが、俺がそう言うとその魔神は僅かに首を傾げていた・・・?


「どうでもいい、そんなことはっ!久々に楽しめそうな殺し合いだっ!

 くらえっ!」


再度爪の連撃を繰り出した。


「獅子の魔物が・・・!ハッ!」



ガギッギイッガギィンッ!


言いながら魔神はやはり全て剣で俺の爪を振りはらう。



「速えな。それに何だその剣?俺の爪でも刃こぼれ一つしないとは」


俺は魔神の持つでかいだけの何の変哲もない剣を見ながら言った。


「・・・激戦を繰り広げてきたこのバスタードソード、そう簡単に傷つきはせん・・・!」


言いながら此方に感じる魔力、そして得体の知れないプレッシャーがどんどんあがっていく?


「なんだ・・・?このチカラ?獅子奮迅雷速ししふんじんらいそくっ!」


対象物の周りを超高速で縦横無尽に動き回り動きを捉えさせない速さで持って1撃を入れるっ!


「・・・消えた?・・・いや、感じる・・・獅子の魔物の魔力の流れを・・・!」


魔神がぶつぶつ言っているような気がしたが。


後ろだぜっ!

死ねっ!


獅子王牙穿ししおうがせんっ!」


両腕を合わせ左右の爪を身体の前に突き出し、回転しながら対象物を貫く俺の持つ最大限の威力の技っ!

くらえっ!


「・・・其処だっ・・・!」


なっ!?

バキィッ!!


「グァァッ!」


だが、魔神は俺の見えない接近に気づいたように後ろを振り向いた。と同時にその剣を振り、俺の爪をへし折った・・・!



「て、てめえ。見えてやがったのか?」


魔神から距離を取り折れた爪を庇うようにして俺が聞くと、


「・・・いや、感じただけだ。貴様の魔力と殺気を・・・見えてはいない」


「・・・ふん。愚鈍そうなやつだと思いきや、やはり魔神の名にふさわしい強さらしいな?」


「・・・私は人間だ。魔神というのは・・・・・・あのデュカ・リーナのような者だろう・・・」


デュカ・リーナ?何処かで聞いたことがあるような・・・


「・・・私も聞きたいことがある。貴様はデュカ・リーナの手先ではない、のか・・・?」


「手先だあっ?ふざけんなっ!俺は誰の下にもつかねえっ!」


「・・・だが、貴様からは膨大な魔力を感じる・・・何者だ貴様・・・!」


「はっ!しかたねえ教えてやるよ。俺の名はランザー・レオパルド!闇の大陸の3強の1人、ランザー・レオパルドだっ!!」


「・・・闇の大陸・・・?3強・・・?此処は闇の大陸なの、か・・・?」


「・・・てめえ。その言い方だとどうやら本当に黒き魔神じゃなさそうだな?黒き魔神なら闇の大陸に住み処があるからな・・・・・・なら、てめえは何者だっ!何処からやってきたっ!」

「・・・私は気づけばその中に居た。何者かはよく思い出せん・・・人間だということぐらいしかな・・・」


「!?ふ、ふざけんなっ!ならその強さはなんだっ?魔力を纏いその上得体の知れないチカラはっ!?」


黒き魔神の巣である洞窟を指してその魔神(ニンゲン?)はそう言った。なので、俺は声を荒げて指摘した。



「このチカラ・・・?私にも魔力が扱えるということか・・・?」



「今気付いたのかよっ!?」


どうもこいつの言っていることはおかしい。


「私は別の特殊なチカラを持っていたような・・・その・・・チカラは・・・」


「何を言ってやがる?」



「・・・オーラ」



ゴォォォッ


奴が呟いた途端さらに奴から感じるプレッシャーが上がった・・・!



「っ!なんだこれはっ!魔力とも違う?」



「・・・徐々に記憶を取り戻してきた・・・私は、ウォルス国王宮護衛騎士・・・」


「ウォルス?ということは何処かのニンゲンの国かっ?お前は、」


「・・・ミシェール・オルレアン・・・!」



フッ


奴の姿が消えた?

そう思った瞬間、



目の前に、


「ウオッ!」


奴が俺の腹を目掛けて剣を突きだした。

が、間一髪かわした。

「あぶねえな、てめええええっ!!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・グルルルルルルッ」



殺されかけて俺はキレた。そして、無意識に発動したのは、


闘獅子(バトルレオ)


発動したと同時に、

俺は完全な獣の形態になり、体長3m程のライオンと化した。闘技を使えなくなり言葉は喋れなくなるが体格、力、速さ、固さ、魔力、全てにおいて人獅子形態を上回る。



「ガルルルルルルル!!!」


ドシュッ


四本足でニンゲンに飛びかかり技も何もなく、闘争本能で急所を狙う爪の折れた手を振り回したり牙で噛みつく連続攻撃を繰り出した。


「・・・獣が・・・!」



「ガルルルアッ!!」



ガブッ


噛みつきが奴の首を捉えた!



「ガル?」


だが、

噛みついた感触が?



「・・・獅子の魔物よ・・・」



?俺に首を噛みつかれている筈のニンゲンが喋った?


「・・・我が剣技、受けるがいい・・・!」



ぞわっ

獣の本能が、直感が大きな警鐘を鳴らし・・・



「・・・剛剣技、打ち落とし・・・!」



咄嗟にニンゲンから離れた。10m程。



ズガンッ!!



見ると、奴の真ん前あたりの地面が底が見えないぐらい抉れていた。



「・・・大した敏捷性だな・・・隙ができるよう敢えて噛みつかせたのだが・・・」



そう言う奴の首を見ると傷が・・・ない?



「グルル・・・?」


魔力の身体強化か?



そして、ニンゲンは剣を持ち直し、


「・・・我が全力の一撃・・・」



さらに、奴は言いながら剣を上段に構え、



「受けてみろ・・・!」



降り下ろした。



ズガンッ!!!


危険を感じる本能に従い、一瞬で横に飛んだ。



距離があったにも関わらず俺が居た場所の地面の底が見えないほど抉れた。

剣が巨大化した・・・?

見間違い、か?



「ガ、ガルル・・・」



俺はさすがに危険を感じていた。此方の攻撃が通じない上に、大雑把だが破壊力が大きすぎる奴の攻撃・・・此方が不利か?

奴の魔力のほうが大きいのか?いや、魔力に何らかのチカラを上乗せしている?

・・・まだ切り札は出していないが、隙を見て撤退も考えたほうがいいか・・・?

そんなことを考えていると、


「どうした・・・獅子の魔物よ・・・!来ないのか・・・?」


奴が此方を挑発してきた。


「・・・来ないのならば此方から、行くぞ・・・!」


再度剣を構えた。前に突きだすように。


まさか?



「・・・剛剣技、心突・・・!」



!!

此方へ向かって奴が突きを繰り出すと同時にやはり剣が巨大化している。



「ガルッ!!」



またしても俺はその剣を横に飛んでかわした。

が、



「・・・隙ありだ!薙き払え・・・!」



ブワッ!



そんな風の音がしたと思ったら剣が此方を追いかけていた。




〜〜〜





「魔力?」



最近よく聞く言葉を聞いて俺は聞き返した。



『そうよ。戦いの最中にはまるで感じなかったけど。強大な魔の力を持った者が居なくなって、1人取り残された人間のほうから突如強大な魔力を感じとったの・・・』



「・・・それは本当にミシルだったんだろうか?」



『名前は分からないけど。でもその人間は最初、貴方みたいなチカラを持っている感じはしたわ・・・』


「俺みたいな?オーラか・・・・・・だとするとやっぱりその人間がミシルで間違いなさそうだな・・・」


『でも、もしあの者が貴方の言うように人間で、何らかの方法で魔力を扱えるようになったのなら、』



「なんだ?」



『魔の力・・・闇の力を持つ者が目指す場所は1つ・・・』



「?さっきその龍巣・・・だったか、レヴィアタンがしてくれた説明に因ればそれこそ各大陸の何処に行ったのかも分からないんじゃないのか?」



龍巣ってなんだ、という俺の疑問にレヴィアタンは、竜族が造った各大陸に1つ持つそれぞれの拠点でもあり、往き来できる道のことでもあるという便利なものらしい。

それを使うには、



『おそらくだけどね。龍巣は言語を話す生物なら誰にでも使えるから・・・それに・・・』



「いや、それなら只の勘じゃないのか?」



『勘というよりも経験になるかな?かつて数百年前にも魔力を持った人間が龍巣を使って闇の大陸に行くと言っていた、という記憶があるから・・・』



それを聞き俺は不意に思った。

それはリシナの探している人物ではないのか、と。




〜〜〜





危なかった・・・


眼前に迫りくる巨大な剣を避けきれないと判断した俺は防御に魔力を全て割いた。高度な魔法や強力な攻撃など今まで全て防いできた俺の最強の肉体に傷をつけることはできない。


ズバッ!


「がっ!ばかなっ!」



だが、奴の剣は俺の身体を斬った。


「俺に傷をつけるだとっ?魔力で強化した俺の防御を突破しただとっ?あり得るかっ!そんな・・・!」



俺は大きく減少した魔力と体力により獣形態から人獅子形態へ戻っていた。



「・・・人語を解す獅子の魔物よ・・・」



剣を元の大きさに戻した奴が此方へ近づきそう言った。

アレを使うか?



「なんだ?」


使うかどうかを躊躇いつつ俺は言った。


「・・・貴様は先ほど言っていたな。三強、と・・・それは貴様に匹敵する強さを持った魔物がもう2体存在するということか・・・?」



?こいつは何を知りたい?

「そうだ。現在この闇の大陸で俺と覇権を争っている強力な奴ら。闇騎士と魔導王のことだ。」



「・・・そうか。私はおぼろ気ながら記憶がある。私の仇敵・・・デュカ・リーナは得体の知れない技を使っていた・・・今の私では後れを取ることはないとは思うが奇怪な魔導の技で再度逃げられんとも限らん・・・」



「てめえは一体何が言いたいっ?」



話の雲行きがおかしくなってきたぞ?



「・・・無意識に強大な魔力の持ち主である貴様を殺そうとしたが・・・その強さ・・・どうやら殺すよりも、」



手を組んだほうが利用価値がありそうだ。

とニンゲンは言い放った。

てめえっ!ふざけんなっ!俺が頑丈じゃなかったら死んでるぞっ!

と、言おうとしたが考え直した。

この俺と対等に戦えるやつが仲間に居ればあいつらに勝てる!切り札を使わずに。

あいつらを殺したら最後にこいつをアレで・・・


そういった計算が働き、


「わかった。いいぜ」



俺は魔力を纏うニンゲンと手を組んだ。




〜〜〜




俺は王都に向かって走っていた。

リシナ達を探しに。

ついでに薬を買いに。



「アズトやガルディアは・・・・・・まあ、いいか」



俺は走りながらひとりごちた。

二刀の刀を見ながら。



〜〜〜




『トウヤ・ヒノカか。強大な力の持ち主、火の力に導かれた者、火ノ牙。その子孫か・・・火のあれを使いこなせるなら私のものも使いこなせるでしょうし・・・』



竜族が龍神界からこの世界に落とされた意味。

龍神様の預言。



『おそらくあの者が・・・・・・』



レヴィアタンは1人呟いた。

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