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第28話〜・・・に願いを〜

〜〜〜



此処か?

俺は遠くで感じたミシルのオーラの位置を頼りに、レヴィアスの玄関口の港町からウォルス跡のミシルが居たと思われる場所まで辿り着いた。

近くに馬が一頭繋がれているので間違いないだろう。だが、



「オーラも何も感じないな・・・」


俺は眼前の祠?のような自然物には見えないものを見ながらそう言った。


中に入ってみると、


「あれは泉か?」



祠の奥に泉があった。

だが、誰かが居る気配はなかった。



「この辺りだと思ったんだけどな・・・?」


俺はレヴィアスの宿という此処からそれなりに離れた場所で感じたオーラの位置が違っていたのか考えていた。


「!?これは・・・いや、やはり戦ったような跡があるな」


しかし、地面や壁や天井を見てみると明らかに自然じゃない壊れ方をしている箇所がいくつもあった。

抉れたり粉砕していたり。


「何と戦ったんだ?ミシル・・・」



泉を覗きこみながら俺は考えていた。

水の大陸に来る途中ミシルは再度俺に教えを乞い、大気中のプラーナを取り入れ自らの力にする術を身に付けた。

あいつはただ戦いの才能があり鍛練をしているだけではなく、自分の目的のために他の楽しみや日常の暮らしの中での普通のことを捨ててまで、強さを追い求めていた。

だからこそ今まで存在すら知らなかったオーラやプラーナでの戦い方をこの短期間に身に付けることができたのだろうが・・・



「復讐のため、か」



俺は鬼ヶ島に行った際に、オーラを使った戦いの基礎的な手解きをミシルにしてやったが。

余りにも切迫した様子で、どうしても討ちたい奴が居ると言うもんで、つい教えた。

しかし、あれほど飲み込みも早くオーラとか使ってない元々の強さもかなりのものだったミシルが、今はオーラやプラーナでの戦い方をも身に付けたあのミシルが、おそらく全力を出して戦った相手。

それはやはり、



「・・・あいつだろうな」


俺はそんな相手は鬼ヶ島でミシルがいきなり斬りかかったあの女しか思い浮かばなかった。



「それにしても、まだ基礎的な使い方しか知らないのに、凄まじい力だったな」

いくら才能があり強くなりたいという目的があったとしても、流石にその全てを一朝一夕で使いこなせるものじゃないからな。プラーナってのは・・・

俺ですら、



『貴方は・・・』



!?

泉を見ながらしばらく考えていると、そんな声が聞こえた。



「誰だっ!誰か居るのかっ?」



『懐かしい・・・』



懐かしい?

そんな声はするが姿が見えない。


「いや、本当に誰だよっ!そして何処にいるっ!」



『五月蝿い人間ね・・・』


「!?」

泉が干上がっていく?



『・・・でも、懐かしいあの者の魔力を感じさせてくれたから・・・』


泉の水が宙に浮き、中心の一ヶ所に集まっている・・・


『特別に姿を見せてあげる・・・』


そう言って目の前に現れたのは・・・



「もしかしてお前は?」



『知っているの?私の名は・・・』



「レヴィアタン?」



『そうよ。ようこそ水の大地へ。サラマンドラの一部を身に付けた人間の子供よ・・・』



金髪に青い眼の女が俺にそう言った。




〜〜〜



「2日、いえ3日ぐらいはこうして経っているかしら?」

リシナ・トゴウは、古い資料がありそうな場所、王都の王立図書館なる建物で何か自分の昔の先祖の行先の手がかりになる物がないかと、王都についた日から血眼になって探していた。

そこまで必死になって探すのは、トゴウ家次期当主としてでもあり、退魔師としてその開祖への敬意からでもあり、リシナ・トゴウ個人としてもその人物に興味があったからでもある。



「ししょー、何かあった?」


書物を見るのが嫌いなアリナが聞いてきた。



「いいえ。目ぼしい資料はないわね。アリナちゃん、ユリナちゃんは?まだ探しているの?」



「うん。あそこで熱心に」


と、少し離れた場所で何かを熱心に読んでいるユリナの方を指した。

「何か面白いものでもあったのかしら?」



アリナが言うように、ユリナが少し離れた場所で何かを食い入るように見ていた。

近づいて声をかけると、


「・・・師匠」


声をかけるまで気づかなかったのだろう、上げた顔は驚いていた。


「・・・面白いよ、これ」


ユリナが今まで見ていた書物を指した。

その表紙を見てみると、


[世界は繋がっている]


と、書かれていた。



〜〜〜




「それはちょっと分かりかねますが・・・少なくとも自分は今までに遭遇したことはありませんね」



何故か予定よりも数日速くカグツチに戻っていたガロウが歯切れの悪い口調で言った。



「貴方が出会ったかどうかなんて重要じゃないの。要は本当にそんな知能を持った魔物が存在するかどうかをあたしは知りたいの。剣を扱う程の知能を」



あたしがそう言うと、


「しかしのう、姫?仮にそのような魔物が居ったとして、いや実際その二百数十年程前の体験記じゃったか?書物通りなら事実居ったんじゃろうが、現状の魔物への対策にそこまで関係があるのか?」


シバが諭すように言った。


「むー。確かに関係あるか、って言われたら分からないけどっ!でもっ!」


現在魔物は数年前に比べ間違いなく活性化している。具体的には、魔狼などは依然よりも大きく、速く、強くなり、徒党を組む統率力なども上がっているという話だ。


「でも、結局神剣は元々無かったんでしょ?少なくとも200年は?」


「ああ、そうじゃ。ガロウ、それにナシラもそう判断した。じゃから今は防衛策をじゃな・・・」


「それで魔物が攻めてきてからの策も必要で、今その手配を進めているのよね、ガロウ?」


昨日大陸の南から一足先に戻ってきたガロウの報告を基に各町村への警備兵派遣隊の編成、最新鋭技術の大砲の量産の手配、等強力な魔物の出現情報のあった集落から早急にそれらを行う、という話だが・・・


「はい。現在各隊長に急ぎで編成をさせております。首都にも多くの魔物が出現しておりますのであまり此処を手薄にするわけにもいかず、人数もそこまで多くはないので人数の割り振りが難しいですが・・・

大砲の方は現状稼働可能なものが4基のため、これも首都に最低限2基据え置いておき他はどこに回すかを現在検討中であります」


「そう。そちらは急務ね・・・いつ何処に強力な魔物が出てくるか分からないものね・・・それで、提案があるのだけど、いいかしら。2つほど」


あたしが言うと、ガロウとシバは何か嫌そうな顔をした。


「・・・なんでしょう?」


ガロウが渋い顔をして言う。


「1つは大砲の場所だけど。大陸の南・・・そうねイグナに回すのはどうかな?」


「イグナ、ですか?何か根拠でも?」


「ええ。とりあえずこれを読んでみて」


そう言って私は、[滅びた村]をガロウに手渡した。


「これは?」


ガロウが手に取ったそれを何枚か捲った。


「実話だけど。中身は興味深かったわ」


「ヒザン村?かつてあった村の名前ですか?」


「そうね。今はないけど。何故無くなったかはそれを読めば分かるわよ」


しばらくガロウが読むのを待っていた。


「・・・これは!成程元々は大陸の南のほうにあった村というわけですか・・・姫様の仰りたいことが分かりました。1つの村を滅ぼすほどの突如現れた強力な魔物・・・確かに位置的に隣村であるイグナには大砲が必要ですね」


「それと、その著者が目撃したという剣を使う魔物も」


「ええ。まるで魔物が人の形をとっているかのような・・・黒い大鎧、黒い剣・・・むっ?」


頁を捲りながらガロウが変な顔をした。・・・?


「どうかしたの?」


「・・・いえ。偶然でしょうが、黒い剣と言えば伝説の英雄が持っていたな、と思いまして」


「伝説の英雄?・・・・・・ああ、もしかしてあたしのご先祖様と一緒に戦ったっていう?」

「そうです。3大英雄の1人、剣鬼と呼ばれていた人物です。最も子供向けの絵本のような物で幼い頃見たものですから細部はそこまで書かれていなかったと思うのですが」


「絵本?ひょっとして[火の国盗り]ってやつかしら?」


「それですね。登場人物は、覇王、拳神、妖術師、剣鬼、の4人で敵である妖魔や鬼をなぎ倒していき、最後には平和になった国を統一する、という単純明快なものでしたが」


「史実を基にした寓話みたいなものよね、確か」


「ええ。私はあれを読んで強さに憧れましたから。実際にあったかどうかは特に気にしてませんでした」


「創り話だと思ってたけど。覇王っていうのは初代スサノオの名前とか姿を使ったのかなぐらいかなと思ったけど・・・そういえば、あれに載ってたのよね鬼ヶ島は?」


「・・・そういえばそうですね。ということは?」


「史実?」


「ですが、登場人物の強さは人には有り得ない描写があった気が・・・・・・!オーラかっ!」


「どうしたのガロウ?」


「いえ。私が身につけて帰ったオーラの闘法、その師の言によればかつては扱える者が多く居たそうです。そのオーラの力もしくはそれに派生した何らかの力だとすれば、それを事実、あの書物の登場人物が使っていたとすれば、創作物だと思っていた[火の国盗り]も実際にあった話なのでは・・・?」


「でも、人間があそこまで強くなれるもの、なの?」


急にガロウの語る弁が熱くなってきたのであたしは若干引いて聞いた。


「少なくとも私は大幅に強くなりました。速度、力、体力。オーラの力を使い2日でカリュウ村から此処まで走って帰って来たのですから」


「えっ!?貴方走って帰って来たの?・・・そういえば貴方だけ速かったわね・・・」


通常は馬でももう少し、もう1日2日はかかる筈だ。


「ですから事実だったという可能性はあります。初代スサノオ以外は誰が誰かは不明ですが」


「・・・もしあれが事実なら名前、昔の名前だけなら二人は分かるわよ」


「本当ですかっ?その人物とはっ?」


ガロウがやたら興奮していた。

が、


「2人とも、ええ加減にせえよっ!!!」


シバの雷が落ちた・・・


「なんじゃ、さっきから。真面目に仕事の話をするかと思えば子供の絵本の話をしたり、その人物がどうのこうのと。今は魔物に対する防衛策が急務じゃと言うとろうがっ!!」



うわー。何か久々に怒鳴られた。


「・・・・・・面目ありません」


ガロウが項垂れて言った。


「で、でもね、シバ?さっきあたしが言おうとしてたことにもまんざら無関係というわけじゃ・・・」


「なら、早く言うてみい!」


「そんなに怒鳴らなくても。あたしがさっき言おうとしたもう一つの提案・・・それは」


「なんじゃ?」

「なんですか?」


「鬼ヶ島の神獣を捕まえましょう?」


あたしがそう言うと、ガロウは嬉しそうに、シバは頭を痛そうに押さえていた。


〜〜〜




「サラマンドラ?」


俺は目の前の女(神獣なのに人間の女?)が言ったことを聞き返した。



『そう。貴方が持っている刀の形をしているそれのことよ・・・』


「炎斬のことか?」



『名前までは知らないけど。確かにその刀には火の大陸に居る竜・・・サラマンドラの力を、魔力を感じるわ・・・』



「ふうん。もしかしたらそうなのかもな。これはーーーーーー」

俺はご先祖がこの剣を持ち帰り現在は俺が持っている経緯を説明した。




『そう。かれこれ何万年も姿を見てないから、もしかしたら、と思ってたけど・・・』


「何万年っ!?いったい何歳なんだよっ!レヴィアタンッ!?」



神獣って長生きなんだなー、と驚き半分感心半分で言うと、



『さあ?この世界に来てからも結構経つからよく憶えてないわね・・・』


「そ、そうか。聞くのがめんどくさいからそのへんはいいや。それよりも」


『?』


「何で火の大陸の竜、サラマンドラだっけ?そいつの存在をこれから感じとれたんだ?」


俺は疑問をぶつけてみた。


『さっきも言ったと思うけど、その刀からサラマンドラの魔力を感じたのよ。魔力つまり我々竜族の生命力の源のようなものね。だからサラマンドラの魔力、それに想いが込められたその刀が消滅してないから、サラマンドラは今も存在していると分かったの。おそらく貴方の村カリュウの付近にね・・・』


「成る程な。じゃあ、サラマンドラが火の大陸に居るっていうのは?」



『そもそも私たち竜族は七体、龍神界からこの世界に生まれ落ちて随分経つから、各大陸でも何らかの伝承があると思うけど?・・・』



「伝承?・・・各大陸?」


『ええ。この世界には七つ大陸があるでしょう?此処水の大陸を始め、火、風、土、素、光、そして闇・・・』


「と、いうことは。火の大陸に伝わっている七神剣物語はそいつら・・・竜族に何か関係があるのか?」



『火の大陸に伝わる話はよくわからないわ。でも、たまに此処に来る人間、おそらく人間でもある程度来る者を選んでるのでしょうけど、今までにずっと来ていたから知っている筈よ、この大陸の人間は・・・』


「そうか。ミシルもそんなことを言って・・・・・・!そうだっ!ここ最近で誰か人間が来なかったか?」


俺はレヴィアタンと会った衝撃で此処に来た当初の目的を忘れていた。ミシルは何処へ行った?



『・・・ええ、来たわ。私は巻き添えを食らわないように、その人間と魔の者との戦いに手を出さなかったけど・・・』



「やっぱり此処かっ!・・・魔の者?」



『ええ。圧倒的な魔力の持ち主・・・来た時は龍巣を通ってきたけど、いつの間にか消えていた・・・』



「龍巣?いや、そんなことより人間のほうは何処に行った?」


まさか、その魔の者にやられたのか?



『その人間だったほうは龍巣を使って何処かに行ったわ・・・』



だから龍巣ってなんだ?

何か竜特有の移動手段か?ただ、その言い方だと無事にその移動手段で何処かに行ったみたいだな。と、俺は安堵した。




が。・・・?何かこいつの言葉に違和感があったような?確か・・・



「人間、だった・・・?」

違和感は変な言い方に感じたんだっけ。



『そう。その戦いが終わりしばらくすると、残った人間は突如人間では持ち得ない魔力をその身から放出し始めたの・・・』




〜〜〜




・・・・・・暗い


自分の存在が最初に感じたのはそんな感情だった。


暗闇の中に居る自分・・・

此処は何処だ・・・?

何も見えない・・・


だが、それと同時に身体の奥底から力がわき上がって来る感覚。

それはとても心地好いものだった。

力が、チカラが溢れだす・・・・・・・・・・!!!

試しに、と一歩足を踏み出した。


すると、水に包まれるような感覚を覚えた。

目を開けるも、やはり暗闇の中にも関わらず・・・



「闇・・・?」



おそらく自分の口が勝手に呟いたのだろう、そんな声が聞こえた。

だが、その瞬間温かい何かに包まれる感覚を覚えた。水の中に居ると思っていた自分が・・・



次に覚えた感覚はとても冷んやりしたものだった。

洞窟・・・?

自分が何者かも録に思い出せない頭でそんな言葉が頭に浮かんだ。

徐々に見えだした情景を見るとやはり記憶の何処かにある洞窟のような場所に自分は居た。


だが、



自分は何者だ・・・?

思い出せない・・・


そう自問していると洞窟の外から、出てこい、という声が聞こえた気がした。



魔、力・・・?


その声が聞こえたあたりに強大な魔力を感じた・・・


そうだ・・・


思い出した・・・


自分は・・・



・・・

私は・・・



強大な魔力の持ち主を滅ぼすために・・・



願いを込めたのだ・・・



あの・・・



魔石に・・・



願いを・・・




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