第25話〜求めたモノ〜
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〜歴??年〜
闇の大陸のとある場所・・・
「何故だ!何故お前は家族を殺したっ!?家族だけではないっ、同じ村の者達もっ!」
1人の白い着物を着た男が目の前の大鎧を身に付けた男にそう叫んでいた。
「・・・貴様には関係のないことだ・・・そんなことよりも貴様にはやることがあるのだろう・・・何故此処まで来た・・・!」
「お前を止めるためだ!もう、これ以上の殺戮はやめろ!神人っ!」
「斗剛・・・」
大鎧を身に付けた男、羅義神人は僅かに考える素振りをした。が、
「私の前に立つな・・・!貴様が、貴様等がっ!・・・・・・でなければ、私は・・・!」
「神人?」
「斗剛・・・悪いことは言わん・・・帰れ、火の大陸へ・・・家族の、下へ・・・」
「そうはいかん!俺はお前を連れ戻す!連れ戻し、お前の父親や母親、村の者達の墓の前で謝らせるっ!」
斗剛一弥は怒りを込めて必死に叫んだ。
「・・・私はもう戻れない・・・火の大陸にも、ヒトにも・・・」
「・・・神人・・・何があった?何がお前をそう、させた・・・?」
「・・・帰れ。そして、私のことは忘れろ・・・貴様には貴様のすべきことがあるはずだ・・・」
「そうはいかん!・・・それに俺は・・・幼い頃からこの力のせいで化物扱いされてきた・・・お前にも話した筈だ!何故、何故お前はわざわざ人の道を外れたっ!あれほど強く気高かったお前がっ!」
「・・・・・・貴様には分からんだろうな・・・いや、あいつらにも私の想いは分からんだろう・・・」
「あいつら・・・?須佐之男や天雄のことかっ!?」
「・・・強さに、才能に溢れた奴等には決して分からんだろう・・・」
「神人・・・お前は一体何を・・・?」
「斗剛・・・これが最後の忠告だ・・・帰れ・・・!でなければ・・・」
「俺はお前を連れて帰ると言った・・・!例え人を殺めようが、例えヒトでなくなろうが、友であるお前を・・・!」
「斗剛・・・お前の知る羅義神人は・・・もう・・・居な・・・い・・・」
そして、羅義神人は喋ることをやめた・・・
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〜歴255年〜
私はいつぞやのことを思い出していた。
かつて我が友が訪れたときのことを。
「シンド殿?聞いておるのか?」
目の前の席についた悪魔、同盟を組んでいるゲン・マドゥが私に話しかけていた。悪魔、というのはゲン・マドゥが自分でそう言っていたからだが、確かに奴の外見は何処かの大陸の伝承に出てくる悪魔に似通っている。大きな身体に闇色の皮膚や角に尻尾・・・デモンとも言うらしいが。
「・・・ああ、聞いている。マドゥよ、その貴様が張った結界ならば転送魔法とやらを防げるのだな・・・?」
私が言うとマドゥが、
「まあの。それに関しては抜かりはないわい。だが、我らに比ぶれば強さが劣るとはいえ、あのアルカードを単騎で倒せるほどの者の正体は未だに分からんがの・・・」
「だが、あの犬っころ如きなら倒せる奴はごろごろ居るんじゃねえか、此の大陸なら?」
と、闇の三強のもう一角、ランザー・レオパルドがあっさりした口調で言った。
この男・・・いや雄は魔力こそ大して扱えないがその身体能力と体術のみで私やゲン・マドゥに匹敵する強さを誇る獣人だ。人獅子といったか・・・獅子というのは猫の一種らしいが、猫にしてはこの雄、余りにも獰猛な顏つきをしている。そして人、いやいつぞや見たような鬼族のごとき手足を持つ。獣にしては頭が回る油断のできない輩だ・・・
「我もそれは考えた・・・が、そこで問題になってくるのがその大きさじゃ」
「大きさ?ああ、闇騎士の配下の目か・・・そう考えるとでかい魔物なら確かに目立つな」
「そうじゃ。だから大きさとしては単騎なら精々我程度の大きさか。それでも転送魔法ならそれなりに大軍勢で移動できるがの」
「・・・やはり可能性が高いのは魔導の使い手、それも現在はマドゥのみが使える失われた魔法、のようなものを使い手ということになるか・・・」
「そうじゃの。魔導の使い手と言えば我は鬼族を思い浮かべたが。かつてのデュカ・リーナのような・・・」
「デュカ・リーナ?ああ、あの婆か。あの時は4人がかりだったが、それなりに強かったやつだな」
デュカ・リーナ・・・百年程前に私に会いに来た・・・と思われる鬼族の老婆か。何の話があったかは知らんが・・・・・・気のせいかそれ以前に会ったことがあるような・・・?
「・・・鬼族か。だが、マドゥよ。私はかつて鬼族の住み処に行ったことはあるが、貴様ほどの魔力を持つ者は居なかった・・・失われた魔法、というのは莫大な魔力が必要なのではないか・・・?」
「まあの。ふむ・・・アルカードはいったい何者に襲われたのじゃ・・・?考えれば考えるほど分からんわい」
「意外と神や竜とかが姿を変えてそれに襲われた、とかじゃねえのか?」
「実力だけで考えれば、それはありそうじゃが・・・何のために・・・?」
「いや、それは分からんが」
「ふう。まあ見てもいない者の正体をあれこれ考えても詮なきことじゃ。それよりも、具体的な対策をーーーーーー」
私はゲン・マドゥが見知らぬ襲撃者に関する会議を進めていくのを聞きながら、1つの可能性を考えていた。1人だけ確実に失われた魔法を使え、しかもアルカードよりも、いや我等よりも強大な力を持つ存在が手を下した、という可能性を・・・・・・・・・・・・考えたが、いくらあの方が暇をもて余しているといっても、まさか態々アルカード程度を襲うことはないな、と思い直した。
・・・それは暇潰しにもならないからだ。だが、それならばいったい何者が・・・?
結局襲撃者が判明しないまま、襲撃者が現れた場合は皆で協力する、などの複数の意見をまとめてその会合は終了した。
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結論から言うとオクトリーチ、大蛸は食えた。
そのまま食ったり、焼いたり干したりもしたが量がかなりあるので未だに無くなっていない。
いい魔物だ。
「・・・それにしても、以前遭遇した時は最新鋭の大砲ですらかなり苦戦したものだが・・・」
ガルディアがそう言った。
「ああ、そういや言ってたな?でも、地上とかで使う場合、相手が魔物じゃなかったらあの大砲ってどのぐらいの威力なんだ?」
俺はそう言った。
以前村に来た行商人に火の大陸の大砲の威力を聞いたら、射程は約20m程で太い樫の木ぐらいなら平気でへし折る、という大まかな仕様ぐらいは聞いたことがあるが・・・
「そうだな・・・大凡だが砲弾1発で石の家1軒を粉々にできるかどうか、というところか・・・」
「へえ!大した威力だな・・・ん?ならなんであんなふにゃふにゃな蛸にはそんなに弾が必要だったんだ。10発って」
「・・・わからん。だが、最初に何発か撃ったときオクトリーチに大砲が当たっている筈なのにやつの身体に傷すらついてないように見えたような・・・」
「ああ見えて、身体が凄く硬いってことか?」
「私もそう思っていた。しかしいざその肉を食ってみると・・・」
「旨かったな!違うか・・・そうだな。柔らかかったな、あいつの身。
・・・ということはもしかして、」
「鬼族の言っていた魔力のようなものを纏っていたのかもしれん」
「魔力か・・・それはあるかもしれないな。凶暴だったしな」
「それも、ここ最近のような気がするが。大分前に聞いた話では滅多に人は襲わない生き物だという話だったのだ」
「ふうん。腹が減って機嫌が悪かったとかかな?」
「まさかな・・・それにこの前遭遇したものよりも1回り大きく見えたような・・・気のせいかも知れんが」
「食いではあるよな」
俺がそう言うとガルディアは何故か疲れたような表情をしていた。
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「あの日、この場所で、あの青年に会わなければ私はどうなっていたかしら・・・」
私はもう思い出すらおぼろげな数万年前のことを考え一人呟いていた。
「息子を失った悲しみにうちひしがれて生きる気力すら失っていたかしら・・・その後人間としての寿命を全うして・・・・・・でも、今は会いに行けないけれど私の息子はあの大陸に確かに存在している・・・!そう考えれば、今は幸せ・・・と言えなくもないかしら・・・」
未だにあの青年の言う通りにしてよかったかどうか自問するときがある。
100年程前に消滅しかけたときも生への渇望を感じ、何とかこうして生き延びたにも関わらず・・・
「・・・でも、前の私の身体のときよりもそういう感情が強いのよね・・・後悔という感情が・・・やはり私に身体を乗っ取られたこの子の身体のせいかしら・・・?心配そうな瞳で見ていたものね・・・」
私が消滅を免れて目覚めたときにこの身体の持ち主の家族らしき者の表情を思い出していた。
私もかつて人間だったころはあのような表情をしていたのでしょうね・・・
『・・・汝・・・』
私が思い出に浸っていると、何処からともなくそんな声が聞こえた。
「・・・?誰?・・・何処に居るの・・・?」
声はすれども姿の見えないその存在に私は話しかけた。
『・・・汝のその想い・・・大切な何かを失いしその黒き感情・・・我は感じたことが・・・ある・・・?」
その存在はこちらに話しかけてもおり、独り言を言っているふうでもあった。
「・・・?貴方は誰・・・?」
『・・・我は火の竜・・・汝、人間・・・否、魔の者よ・・・汝はかつて我に会うたことがあるのか・・・?』
火の竜・・・?それに何故、言い直したのかしら・・・?私は人間には見えないでしょうに・・・この声の存在は魔力だけを感じ取ることができるということ・・・?
「会ったこと・・・?わからないけれど」
『・・・我の記憶違いか・・・しかし・・・』
「貴方はずっと此処に・・・?」
私は辺りを見回しながらそう言った。
『・・・もう三万年にもなるか・・・我が強大な魔の者に封じ込められて・・・』
!?
・・・この場所、火の山の奥に三万年も居る・・・?そう言えば!あの時・・・あの青年に出会ったとき、幼い頃に見た竜が居たような記憶があるけど、いつの間にかその姿が無かったような・・・?
「見えないけど・・・貴方の姿はもしかして、竜なの・・・?」
『・・・そうだ。先ほども言うたが、我は火の竜・・・今は・・・魔力を、身体を封じ込められ・・・姿は岩と化して・・・おるがな・・・』
そう言われて近くにある大きな岩を見てみた・・・・・・すると、その岩から微かだが魔力を感じた・・・
「成る程・・・三万年前、そしてこの場所、強大な魔力の持ち主・・・貴方はおそらくデュカストテレスに封じ込められたのね・・・魔法で・・・」
『・・・デュカストテレス・・・?それが我をこの場所に封じ込めた、魔界の統括者の名か・・・』
「・・・そうね。でも、だとすれば私は貴方に会ってるとも言えるし、会っていないとも言えるわね・・・」
『・・・?汝の言うことは不明だが・・・』
「つまりねーーーーーー」
私は以前に別の肉体で此処に来ていたこと、その時に願いを叶えるためヒトとしての生を捨てたこと、さらに現在は別の人間の肉体に転生していること、などを説明した。
『・・・真魔の祖・・・人間を闇に堕とす存在・・・我を封じ込めた・・・悪しき・・・』
「そう、それが・・・」
『・・・デュカストテレス・・・奴を滅ぼさねば・・・何れこの人間界にも・・・龍神界にも・・・混沌を・・・だが、この状態になり我は僅かな魔力しか扱えなくなり・・・永年蓄えた魔力で創ったものも、人間に持っていかれ・・・どうしようも・・・』
「そうね・・・それに、仮に貴方が力を取り戻したとしても、あのデュカストテレスには・・・」
『・・・無論、我の力のみではあの膨大な魔力の主に遠く及ばぬだろう・・・だが・・・』
「なに?何かあるのかしら?」
『・・・我が眷族の力を併せれば或いは・・・』
「眷族?」
『・・・この世界の各大陸に一体ずつ顕現しておる・・・龍神界の者だ・・・』
「各大陸に一体ずつ?・・・・・・もしかしてこの大陸に伝わる七神剣物語というのは、その存在に何か関係があるのかしら・・・?」
『・・・七神剣物語・・・?・・・』
「まあ、貴方が元の力を取り戻せばそのあたりも分かるかもしれないわね・・・」
『・・・汝は・・・何を・・・』
「いいわ。貴方に力を取り戻させてあげましょう」
『・・・?・・・汝にそれができるのか・・・?』
「多分だけれど・・・でも、もしそれができたら貴方は私に力を貸してくれるのかしら?」
『・・・真に我に力が戻るならば・・・約束しよう・・・汝へ我が力を貸す・・・と』
「決まりね・・・その岩に貴方は姿を変えられているのよね・・・・・・」
私は大きな岩を見ながらデュカストテレスが施したという、おそらく失われし魔法・・・封印魔法を解除するため、自らの魔力を高めた。
そして、
「魔封印滅!」
と、唱えた。
すると岩が崩れ、
『礼を言う・・・魔の者よ』
いつか見た、巨大な竜が目の前に現れた・・・
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「・・・貴方なら何かご存じではないですかの?」
『えー!何のことかな?』
「何か知っておりそうなお顏ですな・・・」
『まあね!知ってるさ!ただそれを言ったら面白くも何ともないでしょ?』
「・・・いや、面白いとかではなく・・・」
『まあまあ!別に狼君を殺したのが誰だろうとこの世界で君に敵う者なんてそうそういないんだから!
それに、どっちみちやることは一緒だよね!』
「・・・たしかに。それに話した感じではあの者逹ではないのは間違いなさそうですしの・・・」
『そうだね!あれは違うよ!と、だけ言っておこう♪それに一応同盟も組んでるんでしょ?』
「まあ、そうですが。我は鬼婦神の関係が一番可能性が高いと思っておるのですが・・・」
『ふふーん、それはどうかな!まあ、いつか会うときのためのお楽しみってことで!
・・・おっと、じゃあ僕はもう行くね!色々見たいものがあるんで!またね、ゲン君!』
そう言うと、青年は消えた。
「・・・まったくあのお方は。全てを分かっておきながら・・・」
と、悪魔のような姿をしたその者、ゲン・マドゥは溜め息を吐いた。
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大鎧を外し姿見で己の姿を見ると、そこには人ならざる者の姿が映って見えた・・・
「・・・ふん。300年近く生きてきて若い姿のままとは、奇妙なものだな・・・」
人であることをやめた20半ばの時のままの姿の己の姿に皮肉めいた言葉を呟いた。
「・・・矢張り兜を外せば目立つものだな・・・」
人であったときとの見た目の唯一の相違点・・・額の角を見ながらつぶやいた。
「・・・斗剛・・・貴様は何故私を放っておかなかった・・・貴様には己の技を後世へ伝えるという使命があったのではないのか・・・」
己の手で殺めたかつての友の不可解な行動に対して、やりきれない想いがあった・・・何故、人であることを捨てた私に己の使命を投げうってまで会いにきたのか・・・
255年前・・・あの方に魔の力を頂いたとき、己を見失った・・・鬼ヶ島から自分の村に帰ったとき・・・育ての親、同じ村に住む者、目に入る者全てを悉く殺した・・・殺さずには、いられなかった・・・それでも、人間としての感情というものは1握り程度は残っていたのだろう・・・殺したあとの僅かばかりの後悔・・・かつての戦友への敬意や嫉妬・・・それらを思い、これ以上誰にも会いたくない、という感情から私は旅立ったのだから・・・此の闇の大陸へ・・・
だが、私が闇の大陸で魔物を滅ぼし、己の領土を拡大しているとき・・・奴はやってきた・・・かつての友、斗剛一弥は・・・
討ち漏らした誰かに聞いたのだろう・・・私の犯した所業を・・・奴は怒っていた。私のために・・・友である私のために・・・
貴様はかつて言っていた・・・生まれつき持つ異形の力のせいで幼いころより迫害されてきた・・・と。
だが、それでも貴様は幸せだった・・・他人とは違う力・・・他人よりも優れた力・・・貴様だけではない・・・須佐之男も火ノ牙天雄も・・・形こそ違えど他者を遥かに凌駕する力を持っていた・・・私は違う・・・並の武芸者よりも僅かばかりただ優れていただけだ・・・持つ武具が・・・
そんな私を同列に扱った3人・・・嬉しかった・・・誇りだった・・・そして、憎かった・・・
斗剛よ・・・貴様には話したが、物心ついた時私は育ての親から私を山の中で拾った、と聞かされた・・・それは子供心に衝撃ではあったが、私は子供の居なかった育ての親に並々ならぬ愛情を注がれた記憶がある・・・武芸も学問もやりたいことをさせてもらえ、裕福な育ての親の家庭に私は何1つ不自由を感じることなく育った・・・だが、私には3歳以前の記憶がない・・・いや1つだけ憶えていることは・・・とても大きく黒い何か・・・壁のようなものが私を閉じ込め・・・
それからの記憶、今でも覚えている記憶は・・・育ての親の顔・・・共に戦った3人・・・討ち滅ぼしてきた敵・・・1人の老婆・・・他は全て闇の大陸での記憶しかない・・・私は完全に魔に染まったようだ・・・あの魔石に願った日から・・・友を手にかけた日から・・・
「お館さまっ。失礼します!」
己が姿を見ながら深い思考に沈んでいると、自分を呼ぶ声で思考が中断された。
「・・・何だ」
人を捨てて闇の大陸に来た自分に残されたものは力と戦しかない、と思いシンド・ラギは自分の部屋にやってきた配下から新たな戦の話を聞き始めた。
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「フンッ!フンッ!」
数百kgはありそうな岩を抱えたり降ろしたりと一人の男、いや雄が筋力増強に勤しんでいた。
「それにしても、闇騎士の野郎もゲンの爺もやる気があるのかねえ。フンッ!フンッ!」
先日、闇の3強と呼ばれる3者が集まって話し合った際に見た他の2者の態度を見てランザー・レオパルドはそう呟いた。
「大体、あの爺は何か知ってそうな素振りをしたり何か隠したり見た目どおり腹黒すぎるし、闇騎士はあまり喋らずに殆どなんか考えてやがったし・・・重てえな、フンッ!」
自分は真面目に会議に参加したような口ぶりでそう愚痴を言っていた。
「転送魔法の使い手の可能性か・・・そんな奴より身体一つで凄まじい速さで犬っころの城に侵入した、とかそういう意見は出ないもんかあ?これだから、魔導にばっかり頼ってるやつらは・・・」
自身は生まれつき持っている膨大な魔力を殆ど全て身体能力の強化につぎ込んでいるため魔法を使えないための揶揄が口に出た。
「まあ、俺みたいにいつ攻められても準備万端となれば犬っころを殺したのがどんな奴でも関係ねえ!
ハッ!」
ドガーンッ!
と今まで抱えていた岩を拳で粉砕した。
「ああー!修行も飽きたなあ!そろそろ魔物でも狩りに行くか!」
そう言って、半人半獣のその雄は闇の大陸の奥へ旅立った・・・
~~~
「おおー、ようやく見えて来たな!」
俺は前方の海の先にある大きな大陸を見て感嘆の声を上げた。
「9日ですか。牽引しても速いもんですね。技術の発達した水の大陸製の船は!」
アズトも嬉しそうにそう言った。
「ねえ、どのぐらい滞在する気なの?」
ネクの質問にアズトが、
「そうですねえ・・・商いの都合などもありますから・・・少なくとも2週間は居ますよ」
「そ、そっか!温泉巡り、買い物、色々できそうね!うひひひ」
ネクがアホ面で気持ち悪い笑い方をしていた。
「何か手掛かりがあればいいのですが・・・」
リシナは何処かのアホ面とは違い深刻な表情をしていた。
「師匠!探すの手伝う!」
「・・・手伝う」
双子が健気にそう言った。
「わ、わたしも勿論手伝うわよ!ただその合間にちょっと・・・ってだけなんだから!」
俺は別に何も言ってないが。言い訳じみてるぞネク・・・
「まあ、俺も色々な所を回る予定だから何か情報があったら聞いとくよ」
「ありがとうございます、みなさん!私の我儘なのにすいません」
「いや、俺もそんなに無関係じゃないしな。それにあくまでもついでだ、ついで」
俺はリシナが頭を下げて言ったので慌ててそう言った。
アズトが、
「ふむ。では、宿とか集合場所は着いてから決めるとして・・・それ以外は皆さんご自由に行動されるということで!よろしいですね!」
嬉しそうに言った。おそらく商売の邪魔をされたくないのだろう。
「アズト・・・すまないが私は別行動を取らせてもらう」
それまで黙っていたミシルが口を開いた。
「え、ええ。今回はガルディアさん達に手伝って頂くのでそれは構いませんが。
何処か行く当てがあるのですか?」
アズトが尋ねると、
「ああ。レヴィアスからウォルス・・・があった場所まで馬なら3日で行ける。ウォルス・・・があった場所の中で、1つ確認したい所があるのだ・・・」
「確認したい所・・・ですか?」
「そうだ。私が国に居た当時は気にもしていなかった場所だがな。レヴィアスの探索団の話を聞いて真偽を確認したくなった・・・」
「探索団の話?ということは、レヴィアタンに関する何か、ということですか?」
「そうだ。行ったことはないが。ウォルス王家に伝わる聖なる場所(水龍の祠)
これがレヴィアタンと何か関係があるのかもしれん・・・」
ミシルはそう言うと水の大陸に目を向けた。




