第21話〜三強〜
〜〜〜
〜???〜
とある大陸。
1人の漆黒の大鎧を身につけた男が崖の上、その端に建ったモノを眺めていた。
「早いものだな・・・・・・250年とは・・・」
その男はそう呟き、建ったモノ・・・石の墓碑を眺めながら過去に想いを馳せていた・・・
と、そこへ
「お館さまっ!」
その男に後ろから声をかける者が居た。
男は振り向くと、
「どうした。何があった?」
と、自分を呼んだ者へ声をかける。
よほどのことがない限り、この1日1回行うかつての友との対話を邪魔するな、と言ってあるからだ。
「はっ!大切な時間を邪魔してしまい申し訳ありませんが火急の事態ですっ!」
と、これも漆黒の鎧を身につけた自分の部下がそう言ったのでその男は僅かに首を傾げた。
「火急の事態だと?魔導王の輩か・・・?それとも闇武のほうか・・・?」
同盟は一応組んでいるが今も自分と大陸の覇権を争っている2者の顔を思い浮かべそう言った。が、
「いいえ、ちがいます!(血)のほうですっ!」
血とは、男がかつて一度共闘し同盟を組んでいる者が住む場所の略称で、本来は(血沸き島)という。
「ほう・・・ブラッディが攻めてきたとでも言うのか・・・?」
もしそうなら腑に落ちない、と男は思った。
何故今になって、ということとあの程度の強さで、という疑問のためだ。
「いえ、違いますっ!あの島に放っていた偵察からの報告によりますと、数日程前アルカード・ブラッディ卿とその居城ヴァニア城内の人狼族が何者かに襲撃され殺されたそうですっ!」
「殺された・・・?ブラッディがか?」
「はい。その偵察の者が言うには、どうもヴァニア城付近が閑散としているので気になって入って見たところ、中に居る人狼の者は全滅し、王の間には戦ったような跡があるとのことでした。ブラッディ卿の亡骸らしき者は見当たらないとは言ってましたが・・・」
・・・いくら死体がないとはいえ、奴が逃げきれたとも思えない。城内の部下まで皆殺し、という程の手練れの襲撃者の軍勢ということは、その襲撃者に文字通り消されたか・・・?
「分かった。戻ろう。それと、魔導王と闇武の所へ使いを出しておいてくれ。奴らがそのような浅はかなことをするとも思えんが、念のために・・・な」
「はっ!了解しました!」
と部下は走り去っていった。
「それにしても、襲撃者は何が目的だ・・・?あの人狼を消したところで何か利益があるとも思えんが・・・」
男はそう呟き、再び墓碑を眺めた。
「どちらにせよお前の望んだ平和、というものはまだまだ訪れそうにないな・・・」
と、墓碑に向かって話しかけ、踵を返して歩き出した。
・・・墓碑には、
「斗剛一弥 此処に眠る」 と刻まれていた・・・
〜〜〜
「神官が本屋に?」
飯を食いながら話していると先ほどまで様々な書物を仕入れに行っていたネクがそんなことを言った。
「ええ、神官の正装だったんで間違いないわよ。何かイグナにまつわる書物を探してたんじゃない?」
「ふーん、珍しいな。こんな時期に居るなんて・・・イグナでは今の時期に何かあるのか、アズト?」
と、日頃主にイグナで活動しているアズトに聞いてみる。
「いいえ。特に祭事はないですが・・・?」
と、言った。
火の大陸の神官は神剣とか神獣などが関わらないときは、基本的には首都カグツチに殆ど住んでいて、大陸内の各集落の祭事に招かれそこでお祈りや厄祓い等をすることもあるが、
「だよなぁ。この時期だもんな」
大抵は年の始まりの月、つまり1月に喚ぶはずだ。カリュウ村はその遠さのせいか、1月の終わり頃か2月の始めぐらいに毎年来ていたが、それでも今は5月だ。
「もしかしたら旅行の途中でイグナに寄っただけかもな」
俺が言うと、
「そんなわけないでしょ?いや、旅行することはあるかもしれないけど祭事でもないのにわざわざあんな格好はしないでしょ」
と、ネクが俺を呆れたように見て言った。
「旅行は冗談としてもだ、何処か大陸の南側の祭事とかに行く途中とかじゃないのか?」
「うーん。確かにあたしも他の村とか町の祭事の開催時期を知ってるわけじゃないけど・・・」
「でも、此処より南と言えばそれこそお二人のカリュウ村ぐらいしかないですよね?」
アズトが俺とネクを見て言うが、まあその通りだ。そもそもカリュウ村が火の大陸最南端にあるからな。
ネクが、
「もしかしたら、アズトさんの調査結果から政府が神獣を生け捕りにしようと思って、神官を此処まで派遣したのじゃない?」
言うが、言われたアズトが
「いえ、それはないと思いますよ。イグナの政府の担当の方に結果報告する際に、もし再度島に行くなら道案内などの問題もあるので必ず私にご連絡下さいと頼んでますが、まだその連絡もありませんし。それに・・・」
「なんだ?」
「いえね。その担当の方はこう言ってたんですよ。
(お主の報告通り島に神獣が居たとしても、今はそちらに割く体の空いた者が居ない)と」
「体の空いた者が居ない?つまり手が空いている神官が居ないということか?」
「そうだと思います。自分で言うのもなんですが私もそれなりに信用される商売をやってきてますので、神獣が島に居る、という報告を疑われているとは思いませんが・・・(まあ、今回の場合は自分の目で神獣の実在を確認してないので、もしも神獣が居なかったときのために政府に大分値切られてもあえて逆らわなかったのですがね。結局は金で荒稼ぎできたし♪)」
アズトが言いながら妙に悪どい顔をしたが気のせいだと思うことにした。ネクが、
「神官の仕事内容はそこまで知らないけど、そんなことがあるの?」
「さあ。俺は分からないけど。何しろ年に1、2回ぐらいしか見たことはないから、ほぼ首都に居るもんだと思ってたが?」
やはり此の店の料理は旨いな。
「そうね・・・全員で20人ぐらい居たっけ?今その全員が首都に居ないということは、何人イグナに来てるか分からないけど、神獣より優先してあたることって、何か別の神関係・・・例えば神剣を探しているとか?」
「いや、ネク?神剣なんてそれこそ大昔から探してて未だに何処にあるのか分からないってやつだろ。何で今さらそれだよ?」
「う、うるさいわね!何となくよ、何となく」
「ふう。夢見がちなのは相変わらずだな。現実的な俺を見習えよ」
ふう、旨かった
「あ、あんたのどこが現実的ですって!?ていうかいつの間にそんなに食べたのっ!」
気付いたら目の前に10枚ぐらい大皿が積まれていた。
「い、いや、俺は現実的に食いだめをだな・・・」
「いえ、それは別に現実的とは言わないでしょう・・・」
急にアズトに突っ込まれた。
「そうよね、アズトさん。ちなみにここの支払いは、もちろん?」
ネクが妙に微笑みながらアズトに言うが、おい待てよ!
「ええ、割り勘です♪」
アズト!
ぐっ、バカなっ!
奢りだと思って1皿100丸するこの店の最高級地鶏とやらを食えるだけ、食ったのに・・・!
「あ、あのートウヤさん、ネクさん、もう少しお静かにしていただけないでしょうか?」
この店の給仕のマーミが見かねたのか俺達にそう言った。
「ああ、ごめんねマーミ。このバカが悪いのよ」
実は怒ってないかお前・・・?
「いや、別に俺は悪くないだろ・・・」
と、若干へこんで項垂れていると俺と同じぐらい食っていたミシルも項垂れていた。
分かるぞ、その気持ち・・・
〜〜〜
「神官長、ありました。この書物でしょう?」
神官の1人がそう言ったので見てみると、
「ふむ。どれどれ、見せてみぃ」
儂は年若い神官からその書物を受けとった。このナシラ・カンダリ、70年の人生で、また神官長の座に就いて早10余年になるが、初めてここまで神剣というものを真面目に探した気がするのぅ・・・もっとも儂はお伽噺と思っとったわけじゃが、
「ほう、成る程のぅ。隣村だけあって内容が細かいのぅ」
「ナシラ殿?何か判明しましたか?」
と、儂が書物を見て感嘆の声を上げると、護衛兼お目付け役の若造、ガロウ・サイハが聞いてきた。
「いやいや、サイハ殿。判明というか、確認じゃよ」
「確認、ですか?」
「そうじゃ。昔よりこの大陸の南にはある言い伝えがあっての。ここイグナより更に南、カリュウ村と言ったか。そこよりさらに奥に秘境があるという、な」
「秘境?」
「そうじゃ。嘘か真かは知らんがその秘境には大昔には竜が棲んでおったそうな・・・火を吹く竜がの」
「竜ですか?」
「ああ、そうじゃ。まあ仮に今居るとしたら大騒ぎじゃろうが・・・ともあれその竜が棲んでいたとされる山がこの大陸の最南端にある。神剣がある可能性が高いのはその場所じゃな・・・ほれこの箇所を見てみぃ」
と、ガロウ・サイハにその書物を見せてみると、
「・・・・・・これは?お伽噺では・・・?」
「うむ。そう思うのも無理はなかろうて。儂もそう思っておったからの。じゃが、この勾玉にここまで反応があるのは大分神剣に近づいたという証明でもあるのじゃ。今までこの勾玉に反応したのは王家の宝刀クニツナぐらいじゃったからのう・・・」
この神器勾玉は本来透明だが今は薄赤く変色している。
「勾玉・・・成る程。ではこの書物もまんざら作り話というわけでもなさそうですね?」
「そうじゃのぅ。こうなるとその書物にも信憑性があるのぅ。なに、ここからならあと2〜3日じゃ。確認のためにもそろそろ行こうかの?」
「はい、了解です。おい!出発だ!準備しろ!」
と、ガロウが自分直属の部下に声をかけた。
「それにしても、火炎をも斬り裂く刀とは。よほどの業物・・・いや呪術、妖術の類いが利用されていると考えたほうが魔物活性化に関係あるかもしれんのぅ・・・」
儂は伝説とされている神剣 破焔斬がどう作られたかを考えながら呟いた。
〜〜〜
「ハハハッ!そうか、そうかっ!あの犬っころがなぁ!」
俺は闇騎士の使者からの知らせを聞いて笑い転げた。
あの弱っちい狼は気が弱い割りに妙に野心的なところを持っているからな。俺はやつは嫌いだった。鬼の婆さんをぶち殺すとき、少しは役に立ったとはいえ、あの程度の獣が俺と肩を並べるなどと・・・
と、黒い鎧を着た闇騎士の使者が、
「ランザー様・・・」
と、此方を見ていた。
「おお、悪いな。あまりにも愉快だったんで。それで、闇騎士殿・・・シンド・ラギ殿はアルカードを襲撃した者についてはどのような見解を?」
「はい、それが・・・我が主としましてはあのアルカード卿のみならず護衛の人狼すら数時間で悉く倒すほどの強さを単体で持つものは限られる、と」
この使者の話しに因れば、闇騎士がアルカードの居た血沸き島に置いていた偵察が城から目を離していたのはほんの数時間のことらしく、もし大軍勢の襲撃なら間違いなくその進軍に気づいた筈なので、おそらく単体もしくは数人の襲撃者で城に近づくのを見逃した、と結論づけた、らしい。
?ということは?
「つまり、だ。この俺を疑っていると。この闇の武を極めし、ランザー・レオパルドを?」
使者は俺に少し気圧されたのか
「い、いえ、そういう訳ではありません。我が主も申しておりましたが、闇の三強程の方が同盟を破棄してまでアルカード卿を倒すメリットはないでしょう・・・」
闇の三強、つまり俺と闇騎士シンド・ラギと魔導王ゲン・マドゥのことだ。100年程前から各々の持っている領土で地固めに労力を割くためにお互いに攻め入ることのないよう同盟を結んでいる。もし、誰かがそれを破って攻撃を仕掛ければ仕掛けられたほうは別の1人と手を組み仕掛けた奴は不利になる、所謂三竦みの形を取っている。闇の大陸は人はあまり多くなく魔物の巣窟だから、領土を広げるにも中々骨が折れるが、まだまだ誰のものでもない場所はたくさんあるしな・・・まあ、俺も魔物だが。
ああ、あとついでにアルカードも同盟を結んでいたな。特にメリットはないが・・・
「そうだな。俺も同じ意見だ。あのような辺鄙な場所は使い勝手が悪いしな・・・ということはゲンか?いや、それこそないか。あの計算高い爺が」
「我が主は魔導王様の所にも使いを出しております」
「そうか。一度集まり話す必要があるかもしれんな・・・場所は何処でもいいが、できれば早いうちに。その旨伝えておいてくれ」
「了解しました。それでは失礼致します」
そう言うと闇騎士の使者は一礼し、踵を返した。
流石に人間、といったところか。変に礼儀正しい。と人獅子の俺は感心して見ていた。その百獣の王の象徴たる鬣をかき上げながら。
〜〜〜
「わざわざご足労じゃったの、騎士殿」
我は、闇騎士の使いからの報告を聞きそう言った。
それにしても、
「い、いえ我が主の命ですから」
何故かその騎士は怯えたようにそう言った。
「まあ、我がそのような何の意味もない無駄な真似をするわけもないが」
領土を拡大したり新魔法を開発したり兵を増やしたりと忙しいしの。
「ふむ。だとすれば・・・?」
アルカード程度なら多少強力な魔物、例えば黒竜や超獣などが襲えば余裕で倒せるじゃろうが、さすがに偵察とやらが気づくか・・・
だとすれば、
「やはり我が一番疑わしいのう?」
と、使いの騎士に言ってみる。
「な、何故でしょう?」やはり怯えている。人間に合わせ丁寧に喋っているのじゃが。
「いや、その偵察の者は襲撃者の姿も何も見なかったのじゃろう?なら転送魔法を使え一瞬で移動でき、しかもアルカードより強い我を疑うのは自然なことではないか、のう?」
と、我は傍に控えさせている不死兵に尋ねた。特に何も答えない。もしや、使いの騎士はこれに怯えているのか?見た目は人間の白骨じゃしな。
「い、いえ。我が主が言うには同盟を結んでいる闇の三強の方がアルカード卿を倒すとしたら、そのメリットよりもむしろデメリットのほうが大きいのでそれはないだろう、と申しておりました」
ふむ。さすがに同種族を捨てて、自らの野望のため闇の力を取り入れ、我に匹敵する強さを持つだけのことはあるの、シンド・ラギは。考え方が冷静じゃ。
「だとすると、襲撃者は我にも見当が・・・ああ、可能性は低いが当てがないこともないが」
「魔導王殿、その当てとは?」
「いや、過去に存在した者じゃが今は居らん、はずじゃ。ただその者の流れを汲む者や同じ種族なら特殊な魔法、転送魔法を使えてもおかしくはない、という程度の推測じゃが・・・」
「そ、その者というのは?」
「鬼婦神じゃよ。そうか・・・もしそうならアルカードを襲った理由も分かるのう。」
「それは、何でしょう?」「なに、簡単なことじゃよ。アルカードを含む我等4体への復讐じゃ。何せ鬼婦神に直接手を下したからのう。何かの拍子でそれを知った鬼婦神の同族が怨みを晴らさんとアルカードを襲ったのも納得できるもんじゃて・・・その者が仮に転送魔法を使えるとしたら早めに対応すべきじゃの。一度集まって皆で対応策を練るべきか・・・そなた、主殿へ」
「り、了解しました。今お聞きしたことを伝え、改めて伺います」
と、使いの騎士は言い最後まで怯えた様子で早足で部屋から出ていった。
「じゃが・・・」
転送魔法を使えるほどの者・・・自分で言ったことだが妙に納得がいかない。
鬼婦神デュカ・リーナがあれを使えたのも、
真魔の祖から賜った魔石を身体に埋め込んだからではないのか・・・?そうそうあれの使い手が居るとも思えんが・・・それに、以前此方に接触してきた人間は何故何も言ってこなくなった・・・?と、遠い思い出となった故郷や、とある大陸の人間のことを考えつつ首を傾げた。
〜〜〜
私は息を弾ませてイグナの港まで来ていた。辺りを見回して、
「ああ、良かった。まだ、いらっしゃったわ」
目的の船と人物達を見つけ安堵の声を洩らすと、
「アズトさーんっ!トウヤさーんっ!ネクさーんっ!ミシルさーんっ!」
大声で目的の人物達へ向かって叫んだ。
「リシナさんっ!?」
「リシナっ!?」
「リシナ姐さんっ!?」
「・・・!」
私を見て少し驚いたようだった。皆さんに近づき、
「お久しぶりです。1週間ぶりぐらいですかみなさん?兎に角、まだ出航されてなくて良かったです」
挨拶した。
と、アズトさんが
「あの、リシナさん?何かあったのでしょうか?」
聞いてきたので、
「ええ、家にある書物を調べてましたらある発見をしたんです。それをお話ししたい、ということもあるのですが・・・ちなみにアズトさん、出発はいつのご予定ですか?」
「出発ですか?そうですね・・・荷物の積込も殆ど終わりましたし、明日1日休んで明後日の朝ぐらいに予定してます」
「ということはまだ、出発まで時間がありますねっ?」
私は勢い込んで聞いた。
「はあ。あると言えばありすが・・・」
「では、重量」
と、そこまで言ったところで、
「ししょーーーっ!」
遠くから叫ぶ声が聞こえた。振り返るとそこには、アリナとユリナが居た。
アリナが、
「どうしたの、師匠?急に飛び出しちゃって。焦って追いかけちゃったよ・・・」
聞いてきたので、
「いえね、アズトさんにお願いがあったものですから。出発がいつか聞いてなかったので・・・」
と、アズトさんが
「お願い、ですか?」
「ええ。それで先ほど聞きそびれましたが船の重量に余裕はありますか?」
「重量ですか?それは重たくない物や高級な物を厳選して仕入れましたから、まだまだ数百㎏は大丈夫でしょうが・・・」
「そうですかっ。それではお願いなのですが・・・私も乗せて頂けないでしょうか?」
「はいっ!?えっと、つまりリシナさんもレヴィアスに行きたいということでしょうか?」
「ええ。いえ正確には水の大陸に」
と、
「やっぱり他の大陸の文化とか食い物は気になるよな」
トウヤさんが口を挟んできたので、
「い、いえそういうわけではないのですが。これを・・・」
と、持っていた(火喰い島滞在記録)を見せた。
とりあえずそれをざっと見たアズトさんが、
「?これがどうかされましたか?確かに古い貴重そうな記録ですが・・・昔、鬼ヶ島に行って生還された方の手に因るものですか?」
「そうなのです・・・実は・・・・・・」
私は内容を大まかに説明した。
アズトさんが、
「・・・リシナさんのご先祖様もあの島に行っていたとは・・・」
「ええ。ただ私が言いたいのはそこではなく、そのご先祖様の行先、そして友と呼ばれる人物、その方々が何処に行かれたか、その消息を知りたい、ということなのです・・・」
「はあ、成る程。つまり一番近い水の大陸に、何処か火の大陸以外に旅立って行方知らずになったリシナさんのご先祖様の何かしら手掛かりみたいなものがあるかも知れない、だから私に同行したい、というわけですね・・・・・・分かりました!どうぞ、お乗り下さい!」
「よろしいのですかっ!」
「はい!このアズト・ミタラ責任を持って水の大陸までお送り致します!勿論滞在費全て面倒みさせて頂きますよ!」
「ありがとうございます!よろしくお願いします!」
と、
「師匠ー、勿論私達も」
「・・・一緒だよね?」
上目遣いで言ってくる姉妹の言葉に、思わずアズトさんの顔を見た。
「も、勿論ですとも!お三方ご一緒に・・・」
若干顔がひきつっていた。
「それにしても、そのご先祖さんと友達の手がかりか・・・そう上手く見つかるもんなのか?」
またしてもトウヤさんが口を挟んできたので、私は、
「大丈夫ですよ。私もトウヤさんと出会えましたし」
「?どういうことだ、リシナ?」
「つまりですね。スサノオとその仲間の三大英雄・・・つまりスサノオと私のご先祖様である斗剛一弥、羅義神人、そして火ノ牙天雄、かつての仲間の子孫がこうして2人会うという縁に恵まれましたからね。きっと、もう1人の仲間の子孫の方にも会えるような気がします」
「いや、それは楽観的すぎるだろっ!?縁ってあんた・・・・・・
でも、知らなかったな。俺のご先祖さんがスサノオと共に戦ってたなんて・・・」
トウヤさんが感慨に耽っていた。
だが・・・書物に書かれていた闇に堕ちた友、とはどういうことだろうか・・・それはともかく。
同行の許可を頂いた私は姉妹を連れて帰り急いで旅の準備をした。




