↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虚飾の歴史に、夢は解けて【原案準拠】  作者: はる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/25

第十.五話 僕のいつも

ライル視点です。

 いつもなら、起きる前にご飯の良い匂いがしてきて、その後にお母さんが起こしにきた。

 そして、お父さんが僕におはようと挨拶をする。それから、お姉ちゃんがいつも頭を撫でてくれる。


 それが、僕のいつもだ。


 でも、少し前からお母さんのご飯の匂いも、起こしてくれる優しい声も、お父さんの元気な挨拶もなくなった。

 代わりに、お姉ちゃんの寂しそうな笑顔が、僕のいつもになったんだ。


 気付いたら、ファル兄がいた。

 唯々優しくて、温かい、そんな人だ。


 お姉ちゃんは少し怖がってるみたいだけど、僕が懐いたのを見て、少しだけ仲良くなっていた。


 僕は、そんなファル兄にお願いをした。


『お姉ちゃんを、遠くに連れていってあげて』


 ファル兄が優しいから頼んだんじゃない。

 ファル兄が好きだから頼んだんじゃない。

 ファル兄じゃなきゃ駄目なんだ。


 ファル兄は分かってくれたかな。



 今日の朝は、お姉ちゃんのご飯の匂いも、寂しそうな笑顔もない、寂しい朝だ。

 布団から起き上がり少ししてから、お姉ちゃんが出ていったんだって気付いた。


 立ち上がると、古びた紙が机の上に置いてあった。


『ライルへ』


 僕の名前だけは読めるから、お姉ちゃんが書いたんだって分かる。直ぐにその手紙を握りしめてグレタおばあちゃんのところへ駆け出した。


「おばあちゃん!手紙!読んで!」


「ライル?サラちゃんは?」


「いない。だから読んで」


 グレタおばあちゃんは息を切らした僕の背中を心配そうに擦りながら、椅子に座らせてくれた。

 そして手紙を渡すと、おばあちゃんが僕と手紙を交互に見た。


「これ…サラちゃんから?」


「うん。読めないから読んで欲しい」


 グレタおばあちゃんが、深く息を吐いたのが分かった。


―――

 ライルへ


 お姉ちゃん、行くね。

 ひとりにしてごめん。

 痛い思い、辛い思いさせてごめん。

 こんなお姉ちゃんで、ごめんなさい。

 

 ライル、大きくなってね。

 お姉ちゃん、頑張るから。

 だから、ライルも元気でね。


               お姉ちゃんより

―――



 気付いたら、おばあちゃんに抱き付いて泣いていた。


 次に気付いたら、おばあちゃんの膝の上で目が覚めた。



 誰もいない。

 それが、今日からの僕のいつもになる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。