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62.密会!?

アルテミスが去った翌日から話は始まります。

陽気の良い天気に恵まれて、流星は楽し気ですが……?

――アルテミスが未来に帰った日の翌日(日曜日)


 今日も空は明るく、暖かな日差しが肌に優しく触れて心地良い。道行く神さまや天使さまたちも、皆どこか楽しそうにしており、天上の都(エリュシオン)は今日も活気に包まれていた。なんだか嬉しくなっちゃうような街の賑わいに、僕の心もウキウキしちゃうよ。


 あ~!本当に気持ちの良い日だなぁ!隣を歩いてるラミエルさんがキョロキョロしたり、後ろを度々、振り返ってるのがちょっと気になるけど。


「流星さん……」

「え?なんですか?ラミエルさん」

「楽しそうにしてらっしゃるところ、大変申し上げにくいのですが……」

「いやだな、そんな畏まらなくて大丈夫ですよ?もっと気楽に話して下さい。どっちかと言えば、僕の方が天使さまであるあなたを敬う立場なんですから」

「いえ、そんな敬うだなんて……分かりました。普通に話しますね」

「えぇ、ぜひ。それで、どうかしたんですか?さっきから周りを気にしてるみたいでしたけど」

「はい。あの……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()この方たちはお知り合いですか?」


 あぁ……やはり、ラミエルさんもお気付きになられてたんですね。僕も気付いてはいたんです。でも、考えないようにしていました。


「まぁ、お知り合いと言えば、そうなり――」

「よぉ!()()だな、流星!」

「あっれぇ?ほんとだね!()()にしては出来過ぎな出会いじゃない?」


 僕が言葉を言い終わるより早く、よく見知った二人に後ろから声を掛けられる。


「ほ、ほんとだね。凄い偶然だね……いや、ほんと」


 振り返ると、今にも切れそうなフォルとにっこり笑顔がやたらと怖い千秋。そして、そんな彼女たちを見て、不安げに少しずつ距離を取ろうと後退るラミエルさん。


「りゅ、流星さん、このお二人は……?」

「おいおい、何もそんなに怖がることないさ。お楽しみはこれからだろ?」

「そうですよ。何もしませんって!私たち、彼とすっっっっっごく仲の良い恋人ってだけなんだから。ねぇ、流星?」


 フォルがサングラスを少しずらし、鋭い視線でラミエルさんを射抜く。っていうか、完全に威嚇してる。そして、セリフがもはや完全にチンピラっぽい。対する千秋も、溜めがすごくない?顔は笑ってるけど、目が全く笑ってない。


「ウ、ウン。ソーダネ」


 なんで二人がここにいるのかとか、フォルのサングラスが似合いすぎて逆に怖いとか思うところは色々あるけど、聞く勇気は僕にはなかった。


「あ!そーいや、自己紹介がまだだったな。アタシはそこの流星の本家恋人、フォルトゥーナ!よろしくな?」

「私は千秋!門間 千秋って言います。流星の元祖、恋人です。よろしくお願いしまーす!」


 二人共、ニコッと最上級の笑顔でラミエルさんに挨拶するも、威嚇オーラが半端ない。恋人に本家とか元祖とかあるんだっけ??


「はい、よろしくお願いします?あの、私、ラミエルと申します。実は今日、流星さんに相談したいことがありまして、それでこうやって来ていただいたんです」

「なぁんだ。相談だったんですかー?てっきり、彼が私たちに内緒でデートに行ったのかと思ってましたー!」

「まあ、アタシは信じてたけどな!」


 信じてたんなら、なんでついて来るんだよ。とは、とても言えるはずもなく。


「ごめんね。言おうか迷ったんだけど……」

「ううん、大丈夫だよ。昨日の夜からなんだかソワソワして様子がおかしかったから、これは何かあるんじゃないかなー?って思ってたもん」

「そうそう。明らかに変だったもんなー。だから、アタシたちで調べたんだ」


 えっ?調べた?何を?どうやって??


「あの、皆さん。お話し中すみません。目的の場所に着きましたけど……」


 話しながら歩いていたところ、ラミエルさんからおずおずと声が掛けられる。


「はい、ありがとうございます」


 返事をしながら彼女を見ると、困惑した表情でフォル&千秋(部外者)を見つめていた。


「ね、ねぇ?着いたけど、もしかして、二人も……」

「「もっちろん、一緒に行くよ(ぜ)!!」」


 やっぱりね。言うと思った。


「すみません、ラミエルさん。この二人も一緒にいていいでしょうか?決して、悪い人たちじゃないんです」

「えぇ、それは分かってます。この方々が昨日、話されていた彼女さんたちなのでしょう?流星さんのことを盗られまいとする圧力をビシバシと感じますもの。ぜひ、お二人もいらして下さい」

「あはは……すみません。ありがとうございます」

「いいんですよ。愛されてるんですね」


 乾いた笑いで頭を下げるも、気にすることなく朗らかに微笑む彼女(若干、困った様子ではあるけども)。優しいんだな。


「さぁ、せっかく許可も出たんだ。早速、入らせてもうおうぜ!」


 フォルと千秋がラミエルさんに続いて歩き出す。


「そういえば、デメテルはどうしたの?てっきり、三人一緒かと思ってたけど――」

「もちろん、いるよ?」

「トーゼンだな。あいつが流星の浮気疑惑に首を突っ込まないわけがないからな」


 僕も扉に手を掛け、中に入りながら尋ねる。もちろん、いる?え?どこに?それに、浮気疑惑って……誤解だよ!そう叫びそうになった時、とっても聞き覚えのある声が中からして言葉に詰まる。なんだかすごく楽しそう。ま、まさか……!?


「まぁ、嫌だわ。おば様ったら!恥ずかしいわ。ふふっ。でも、彼ったらとっても優しいんです。それに、私のことすっごく好きなんですよ?昨日の夜に見た夢なんですけど、『僕には君しかいない!』だなんて言ってくれて、力強く――」

「母さん、お連れしたわよ。さ、どうぞ。お入りになって下さい」


 中にいた二人がラミエルさんに気付き、こちらを向く。


「おや、お帰り。まぁまぁ、こんなに大勢でようこそ。よくおいで下さったね」

「あら、流星。意外と遅かったわね。待ってたわよ?」


 デメテル!?


「な、なんでここに!?」

「フォルと千秋が言わなかった?調()()()って」


 驚愕する僕を尻目に、クスクスと笑うデメテル。フォルと千秋が後ろから尾行して、目的地には既にデメテルがいる。こんなことってある!?僕、ラミエルさんと会う事や待ち合わせのことなんて一言も話してないんだけど!?それに、目的の場所だっていま初めて知ったのに。

 デメテル、フォル、千秋……なんて、なんて調査力!まるで、FBIだよ!あ、このアルファベットの並びって、三人のバストサイズと一緒だ!こんな偶然ってあるんだなぁ。え?なんで、分かるかって?だって、服の上からだって見たら普通、分か――


「流星……随分と楽しそうじゃない。私と千秋はまだ良いけど、フォルは怒るんじゃないかしら?あと、普通はバストサイズなんて見ただけで分からないわよ?」


 ハッとして声の主を見ると、デメテル(般若の方)がいらっしゃいました。え?そうなの?皆、分かるもんだと思ってたけど、僕だけの能力だったのかな。【双丘(ダブルインパクト・)鑑定眼】(クリティカルアイ)、なんちゃって!

 改めて、フォル(の膨らみ)を見る。ほ~ら、やっぱり!フォルは絶対、Bだよ!間違いなし!


「ほんっとに嬉しそうね?フォルにもいま流星が考えてること、教えちゃおうかしら?」


 ごめんなさい。


◇◇◇


「改めて、初めまして。私はラミエル(この子)の母親のルミエル。今日はようこそ、いらっしゃいました。なんでもうちの店のことで相談に乗ってもらえるとかで……本当にありがとうね」


 ラミエルさんにとても良く似た優しい雰囲気で、しっかりもののお母さんって感じの方だ。


「母さん、紹介するわ。こちら、流星さん。地球からいらした迷子の魂の方なんですって」


 迷子の魂……そういえば、僕ってそういう立場だったな。あれ?天界では体のある魂はいたらいけないって規則があるんだったよね?実際には罰則規定がないってのは、ほとんどの方たちは知らないって話だったけど。その辺、どうなんだろう?僕がいて驚いたりしないのかな?


「初めまして。天井 流星と申します。どうぞ、流星とお呼びください。あの、迷子の魂なんですけど――」

「まぁ、迷子の魂の方なんだね?それはそれは、よく無事に天界(こっち)まで辿り着けたもんだ。歓迎するよ!」

「流星さん、もしかしたら、あの規則のことを心配してらっしゃいます?」


 困惑した表情から察してくれたのか、ラミエルさんが優しく声を掛けてくれる。


「え、えぇ。まぁ……」

「大丈夫ですよ。ねぇ?迷子の魂の管理神、フォルトゥーナさん?」


 いきなり呼ばれるも、動じることなく頷くフォル。


「アタシのこと、知ってたのか」

「えぇ、もちろんです。優秀な方だと有名ですもの。それに、恋愛に関しても同時に十人から告白されたとか、高官の神の御子息からアプローチを受けたとか……色々、噂が流れてますよ?」


 どこか面白そうな表情のラミエルさんに対して、急にオドオドしだすフォル。


「あ、あれはその……相手のことよく知らなかったし、ハッキリ言って迷惑だったって言うか……そ、そりゃあ、少しは嬉しかったけど……あー!ウソウソ!流星、いまのは嘘だからな!?昨日も言ったけど、アタシ、流星が初恋なんだから!な!?」


 可哀想なくらい狼狽えるフォル。そんな彼女の頭を優しく撫でながら、安心させるように抱きしめる。


「大丈夫だよ。フォルがモテたって、ちってもおかしくないよ?凄い美人なんだからさ。それに、初恋のことも信じるよ。ありがとね」

「ふふっ。フォルトゥーナさん、ごめんなさい。さっき威嚇されたお返しです。ちょっと意地悪しちゃいました」


 アタシの方こそすみませんでした。そう謝るフォルを見て、千秋も慌てて、勘違いしてすみませんと頭を下げていた。

 その後、お互いに握手しあって笑顔を見せる彼女たち。もしかしたら、ラミエルさんとも良い友人になれるかも知れないな。


「どうでもいいけど、早く話を続けなさいよね。フォル!いつまで流星にくっついてるの!?」


 嫉妬交じりのデメテルの声にパッと離れる僕たち。


「あー……えっと。そうだな。さっきの続きだけど、何にも問題ないさ。街にいても普通は神か魂かなんて分からないしな。よっぽど注意して神力を探るようなことをすれば、話は別だけど」

「それに、迷子の魂の方たちのことは一部の神だけじゃなくて、私たちみたいな天使にもある一定数ですが知られてるんです。天使は天界の警護も兼ねていて……ってこれは長くなりますから、またの機会にお話ししますね」


 そうなの?超機密事項なのかと思ってたけど、そうでもないっぽいな。それに、警護……?天界って結構、外敵から攻められたりしてるんだろうか?レーアさまはもう戦争は終わったって言ってたけど。


「まだ説明してなかったけど、あの規則に罰則がないってことは警護に当たった経験のある天使たちには知らされてるんだ。迷子の魂や体を持った魂を、不審者と見なして間違って攻撃しないようにな」

「じゃあ、僕や千秋は街を歩いてても平気なんだね?」


 フォルが力強く、ラミエルさんが優しく、同時に頷いてくれてやっと安心する。


「良かったわね、流星!千秋!それに、お母様が正式に二人を認めてくれたんですもの。怖いものなんてないわよ」


 デメテルも本当に嬉しそうだ。


「ありがとう。デメテル。千秋も良かったね」

「うん!でも、私、天界に来た夜に一人で街を歩いてた時があったって話したでしょ?その時、お店の天使さんたちに迷子の魂なんですって言っちゃったけど、特に普通だったよ?それどころか、よく来たねって心配までしてくれて。だから、たくさん食べ物も貰えたんだと思う」


 えっ、千秋、そうだったの?


「たぶん、それは警護経験のある天使だったからかも知れませんね。天使は2000万~4000万歳の間で、希望すれば300万年間の天界警護の任務に就くことができるんです。お手当も良いですし、結構、希望者は多いんですよ。かく言う私も、警護できる年齢になってすぐにその任務に就いてたんです。あれはもう700万年前になりますけど」


 ラミエルさんは話しながら棚に飾ってある鉄槌を手に取り、僕たちに見せてくれた。結構な年代物のようだけど、よく磨かれていて黒光りしている。

 これで外敵をえいってお仕置きするんです。少し照れた様子で話す彼女は、その表情だけ見たらまさに慈愛に満ちた天使さま!という感じだ。でも、その笑顔と鋭利な鉄槌が迫って来る様を思うとちょっと怖かった。


「へぇ!じゃあ、必殺技みたいなものもあるんですか!?」


 千秋、すっごい食いつきいいな!?


「もちろん、ありますよ。そんなに大したものではないんですが、【荒れ狂う死の竜巻(デス・トルネード)】っていう技なんです。これは簡単な技を応用しただけなので、必殺技と呼ぶには恥ずかしいんですけどね」


 怖っ!なんですか!そのネーミングは!?


「まず、鉄槌を複数に分裂させて相手の周りを周回させるように投げます。そうすると次第に風力と遠心力によって勢いが増し――」


 ごく当たり前のように、技の説明を始める彼女。()()()()()()()()()()()()()!?もうそこから意味が分からないんですけどぉ!?

 千秋なんて目をキラキラさせながら熱心に聞いてるし。天使さまって、フォルの言ってた通りなんだな。見た目は可愛くてもパワフル(色んな意味で)。勉強になりました。 


「そうそう!ちなみに母も警護の経験があって、すごい技を持ってるんですよ」


 どことなく声を弾ませるラミエルさん。


「へ、へぇ。どんな技なんですか?」


 一応、社交辞令として聞いてみる。すっごく嫌な予感がするから、ほんとは聞きたくないけど……。


「あら、やだよ。私なんて全然、大したことないから恥ずかしいじゃないか」

「いいじゃないの、母さん」

「いえ、もし話すのがためらわれるのでしたら、無理にとは言いませんから大丈夫ですよ?そういえば、紹介の続きがまだでしたよね。隣にいるのが――」

「そお?それ程までにと言うなら、聞いてちょうだいな」


 えっ?僕の渾身の回避テクニックがすんなりとスルーされましたけど?会話の流れ、おかしくありません??


「必殺技というには本当におこがましいんだけどね。【死へ直行する大嵐(デス・ストーム)】って技なんだ。私はこれ以外の技がなくてね。本当に恥ずかしいよ」


 お母さん!その技も怖いですっ!何が恥ずかしいのか、僕には全く分かりませんけどもぉ!?むしろ、あなた方の技の凄さに、バストサイズをピタリと当てる僕の能力が急に恥ずかしくなってきましたよ!?


「これはね、自動追尾(ホーミング)機能を持たせた鉄槌に――」


 自動追尾(ホーミング)機能!?その先、絶対に聞きたくなーいっ!!

今回もご覧いただきありがとうございます。

ラミエルとの密会、即バレしてましたね(笑)

次回の話は、肝心の相談内容に移ります。

ご注目下さい☆


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