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七人の呪詛者  作者: 野原四葉
七人の呪詛者/天野市花の章
2/55

【2】正しい正義(生徒会長)

 昨日のことがあり、授業中から休み時間、ずっと琳に見られている気がする。数分前はトイレにまでも付いてきた。だが、ただ見ているだけで、何かしてくるわけではない。

「市花って不知火さんと関わりあったっけ?今日の不知火さん、やけに市花のこと見てるじゃん」

「いや···あまり···」

 関わりがない、と言うと、それは間違いになる。昨日会って、共に殺し合いを強いられたのだ。

「でもさ、なんか市花に言いたそうだよね。···あ!屋上に呼べばいいんじゃない?」

 憂が名案でしょ、と顔で訴えているように見えるのだが、どこか違う気がする。

「それって、普通は逆じゃない····?」

「···でもまぁ、ずっと見られてても気になるから、一応話してみるよ」

 そう言い市花はルーズリーフを4等分にして手で切り、1枚にシャーペンで「放課後屋上に来てください。」と書いた。

 それを、琳の視線を奪い琳の筆箱に入れるつもりだ。

「不知火さんの視界は私が何とかするからさ、市花はその隙に、ね!」

 最後の「ね」は「分かっているよね」ではなく「頑張りなよ」という意味があったのかもしれない。

 ただ今は、琳の事で頭がいっぱいだ。

***

 時刻は16時を過ぎたと思う、昨日の空よりかは若干乱れており、幻想的とはいえないが、雲が影を作り、雲の隙間から溢れる光は綺麗だ。

「···どうして、手紙で呼ぶような真似したの?」

 屋上から見る景色に見とれていて、琳が背後にいることに、気が付かなかったようだ。

「ヒェ!あ、いや、コホン。不知火さん、何で今日私のこと見てたの?」

「···嫌だった?」

 幾つか対応を考えていたが、「嫌だった?」という、質問に質問で返す反応は予想外だった。

「あ、別に嫌だった···訳じゃない、けど···」

「そう、じゃあ別に良いじゃない」

 良いわけない、と言いたかったが、「嫌だった訳じゃない」と言ってしまった以上、市花に何かをいう事はできなかった。

「私はもう帰るから、じゃ」

 琳は肩にかけているカバンを、少し上に上げて帰ろうとした。

「あ···っ···ごめん」

「···どうして謝るの?」

 どうして謝ったのだろう、帰ろうとする琳を止めるために、咄嗟に出た言葉がごめんだった。

「ごめん···あの、折角呼び出したのに、ちゃんと言えなくて、ごめん。明日また話せるかな?」

「···屋上にいれば来るわ」

「ほんと?ありがとう!」

 足止めにはならなかっただろうが、明日も話せることが分かった、それだけでもいいだろう。

「あらあら、部活動をやっていない生徒がこんな時間まで残っているなんてね、しかも屋上(ここ)は立ち入り禁止よ?」

 声が聞こえるのは上だ、市花は上を見渡すが、上にあるのはオレンジ色の空だけ。

 給水タンクの上だった。その声の主は身軽な動きで数メートル上から飛び降りた。

「あなたは、生徒会長!?」

「あなたがなぜ···?」

 微妙に肩にかかった髪の先は茶色染みており印象的で、一部の生徒には『正しさのシンボル』とも言われている。やたらと正しさや正義に拘る人だ。

「私は正義の鉄槌を手に入れたの、でも今は使えないらしいわ。でもね、あと3人で『ゲーム』が開始するって、聞いているわ」

「人数···?ゲーム···ッ!あなた、もしかして呪詛者に?」

 生徒会長は3人でゲームが開始すると言った、つまり市花、琳、生徒会長を入れて残り···4人?数が合わなくなった。つまり既に1人、市花たちの知らない場所で呪詛者になった人物がいるということだ。

「あなたも呪詛者だったの?フフフ、いつか殺り合う日が楽しみだわ」

「···なんで生徒会長はやる気満々なんですか?」

 この余裕な態度、こんな事態に巻き込まれても尚、こんな態度を取る生徒会長は、優秀というより怖い印象が強い。

「そうね···私が正義だから。じゃないかしら?」

「···腐った正義ね。あなたの何が正しいの?あなたのどこに、信義の欠片があるの?私は、あなたが正義とは思えない」

 そうと言っているものの、琳の考える正義とは、何なのだろうか?まず本当の正義とは何だろうか。

「そう、腐った正義。私の正義は腐っているのよ、でもね、正義は悪に勝つため、自分を穢すのよ」

 その言葉の意味は何なのだろう、市花には理解できなかった。

 そして、生徒会長はドアの向こうへ姿を消した。

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