なお決勝まではダイジェストすら無いぞ
最近周りの私に向ける視線がおかしいと、気が付いたのはいつの事だっただろうか。無論その前から視線はおかしかったわけではあるが、ついでに言えば女性関係において言えば殺されても仕方ないレベルの視線も貰ってはいるが、そうではない。
理解できない異物に向ける恐怖ではなく、知っている脅威に向ける警戒や嫌悪感のような、そんな視線。学園内トーナメントを迎えた時期とはいえ、ライバルに向ける視線でもない、まるで敵に向けるような視線。
まあ欠片もダメージは受けていないわけであるが、気にはなるというもの。というわけで通行人を捕まえて聞いたところ、私が実は魔王だという噂が流れているらしい。属性を使えないのではなく、気が付かれないようにしているだけだとか。
無論誤解なわけであるが、かといってそれを証明する手段は無かった。悪魔の証明ならぬ非魔王の証明というわけであるが、こればかりはどうしようもあるまい。どうやら私の力が常識の埒外故に生まれた噂のようだが。
あの時の誘いに乗っていれば確かに邪っぽいパワーとか使えたのかもしれないが、生憎と生まれながらの無能にそれっぽい事をすることはできない。尻尾を出さないから誰も手を出せないだけとか言われたときは流石に疑われすぎだとも思ったが。
どうやら噂の出処が最上位ブロックの聖属性を持っている御嬢様だそうで、関係性を調べてみたところどうやら兄上殿のヒロインポジらしい。光と闇を操りヒロインが聖属性とかさす兄である。産まれながらに持つ者はやはり違う。
まあ生憎と劣等感などとは無縁なので邪っぽい勧誘もお断りしたわけであるが、仮に受け入れていても滅っされるだけではないかというのが予想ではある。少なくともポジションが逆だったら私なら万に一つの敗北も思い浮かばない位に補正かかりそう。
……トーナメントとか言ってるけど、予選含めて決勝に行くまでは兄上殿とぶつかる事は無い辺り何というか、今度こそ負けイベントなのではないかという不安ばかりが積もる。闇堕ち出奔イベントの幕開け的な。




