私のために争わないでってそれ
主人公としてヒロインとのイベントを放り出して鍛錬に行く、というのはいかがなものかと思い一応希望を聞いたところ、別にデートのようなものを望んでいるわけではなかった。ただ一緒に居れればいいと。それはそれで困るんだよなぁ。
というわけでのんびりと食後のお茶(ステラ持ち込み)を楽しんでいた時の事である。実に珍しいことに(そもそも私がここに長い時間いる事が珍しいが)来客の様子。迎え入れてみればリィンとメリーであった。
どうやらいつも私が鍛錬している筈の場所に居ないから、病気にでもなったのかと尋ねてきたらしい。ナチュラルに行動を把握されているのはまあ私の生活がワンパターンなのが原因だろうからこの際置いておくとして、心配させたのは悪かったと返そうとする。
無論やましいことが理由ではなく、純粋に人を招くような環境で無かったことが理由だが、実にめんどく……目ざといことに、中に私以外の人間がいる事に気が付いた様子。センサーでもついているのだろうかとも思ったが確かに気配くらいなら。
というわけで押し入るように入ってきた二人がステラと対面である。教室でもそこそこ騒いでいたが、休日に二人きりというのはそれ以上に看過できない事態のご様子で。前世なら下手すれば通報コースの案件ということには目をつぶる。
そんな折である。ステラの口から運命の人という言葉が聞こえたのは。一目惚れ、運命、ははは、なんともまぁストレートに好意を伝えて来るものだが、逆に私の心は冷めていく。その好意を向けられる本物は、今ここには居ないのだから。
罪悪感、嫌悪感、夢の中で一度揺れていたからか、とめどなく溢れていく悪感情。あの邪神が心を読めたのならば、下手すれば誘いに乗っていたかもしれないと思う程度には、自分の存在自体がどこまでも汚く思えて。
顔色にまで出ていたのだろうか。本当に体調不良かと尋ねる二人に、此方を覗き込むステラ。その心配がどこまでもまっすぐで、それ故に私の心に亀裂が走る。演じているだけの紛い物が、向けられるべき感情ではないと。
大事な用事を忘れていたと濁して、逃げるように走る。今はただ、弱くなっている自分を見られたくなかった。
主人公が不調の理由:自分の心の中で空間をずたずたにする斬撃を振り回し続ければそうなるよ
なお次の日には回復してみごとな3股コントロールを始める模様。




