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堕ちて、舞い上がる

 何処から語れば良いのか、彼女の胸を焼く情熱について。きっかけまでが私だというのだから、この場合はマッチポンプとでも言えば良いのだろうか? 全くふざけた話である。そう思いながら朝から部屋に押し掛けたブロンドを見遣る。


 心情的に遥か彼方の、物理的な距離が異様に近い彼女のバストは実に豊満であり、どことなく上気した顔はおっとり美人とでもいうのだろうか、これまた非常に整った顔立ちである。あれ、前にもこんなこと考えていた気が。


 事の始まりはそう、今回の遠征合宿における評価というものについてであろうか。どれだけ魔物を屠ったかなど私にとっては些事であるが、事評価につながるという意識はエリート揃いの学生の間では重要な事柄であった様子。


 一個人がどれだけ突出したところで大勢にそう影響はないだろうと考えてもいたが、移動して見つけたら斬るだけの私と一々戦闘描写が入る程度の周囲では相当に差が生まれたのだろう。クラスそのものが単独首位というわけだ。


 そんな状況に焦りを覚えた他のクラスはそれまでクラスでまとまっての行動だったところを班に分け、それでも開く差に更に焦りを、と勝手に追い詰められていたらしい。つまるところ戦力の分散の原因が私である、ということである。これはまいった。


 かくして小戦力になった彼女の班が偶々大型の魔物に遭遇、逃走も出来ずに蹂躙されていたところにヒーローの如くやってきたのが私というわけだ。本来ならば犠牲覚悟で囲んで叩くレベルだったと後から聞いたが、全く酷い偶然もあったものだ。これはまいった。


 特に今まさに命を失わんとしていたところを熱烈に抱きすくめられて、颯爽と救って下さった殿方には感謝の念が絶えないので直接礼を言いに来たという彼女の心情を簡単に想像できてしまうのが、実に展開がお約束以外の何物でもないからだろう。


 というわけで、チョロインと言われても仕方ないレベルでこちらにすり寄ってきているまるで金髪なら巨乳おねーさんだろぉ? という声の聞こえてきそうなデザインの彼女、メリーという名前であるらしい、があからさまな好意を向けてくるのが現状だ。


 それまでがエリート足らんと張りつめた人生を送る中で、自分が否定されるような焦りの中で失敗し、命を失わんとするところに初めて現れた自分を救ってくれる存在、ただしマッチポンプの紛い物であるという脚注さえなければ実に運命を感じる事だろう。


 属性は水らしいが、リィンのあべこべカラーリングの次は読者に媚びんばかりのテンプレ属性というわけだ。どこまでも心が苦しくなる話であり、いっそ暴力系ヒロインでも来てくれた方がよほど精神的に楽なのだが。

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