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sheath‐鞘姫‐  作者: 肇川 七二三
Only Stage(ドラゴニスタ総会編)
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旅支度 (Leluopのドレスω)

「ただいまあっ!」

バッと玄関が開け放たれる気配にトリシアが悲鳴を上げる。

「えっ?もう帰って来たの?!やだってば!私着替えるからっ!」

「良いではないか、良いではないか、ほれもっと近こうに」

底意地悪そうにローリエがかっかっかと笑う。

「…時代劇の悪代官みたいなこと言わないでったら!」

シュトがギアを見上げて首をかしげる。

「ちょっと見てくる」

シュトは足早にトリシアの部屋に入る。

「うわあーーーーーっ!」

シュトの歓喜の叫びに釣られてギアも後を追う。

「トリシアその服どうしたの?!」

「あわわわわわ、シュトいいから外出てって!見ないでったら!」

「何言ってんの!見せた方が楽しいじゃないか!というより見せなさい!」

何やら楽しそうな会話が聞こえる。

部屋を覗くと、誇らしげに胸を張る姉の横に見も知らぬ…いや日頃見知った少女とは見紛うほど美しい姿のトリシアがいた。

シュトが興奮気味に跳びはねている。

「おお!ギア、いい所に来た。そろそろ観覧客がいないと張り合いが出なくなってきたんだ!」

「ううう~!」

既にトリシアは涙目だ。

ギアは、数百年ほど歳月を遡った錯覚がした。

時代錯誤のドレスを身に纏い、恥じらいに頬を染めるのも可愛らしい。

藍を基調としてドレスの裾から淡い青色が濃くなっていく。フリルは少なめで、それでも華やかさを損なわない。髪はおおざっぱではあるがアップにしてまとめていて、ひと房かふた房髪がこぼれていて色っぽい。

突然、愛しさがあふれて溢れすぎて触れられなくなった。

おかしいな、いつもならキスの一つや二つするぐらいなんてことないのに…。

「もう何着か着たんだけど、これが一番似合う。おかげで採寸も済んで、ドレスの発注ができそうだ」

「嘘!これ向うでも着るの?!」

「この家の慣わしならそれが相応しいんじゃないかな?他にも服を揃えておきたいし、それにお化粧も装飾も満足にできてないんだからね!」

声にならない悲鳴を上げて身悶えする。

彼女はあれで結構な恥ずかしがり屋だから、たぶん相当な勇気が必要なのだろう。

「トリシア、似合ってるよ」

「お世辞なんていらないから、見ないで」

ギアは苦笑いするしかなかった。本気でこの娘はお世辞だとおもっているのだろうか。

跳びはねてお祭り騒ぎだったシュトが急におとなしくなって黙りこむ。そして裾をくわえて何かを確かめるようにじっとして口を開いた。

「ジュリアンナ?」

こぼれた名前は見も知らぬ女性の名前。

怪訝そうに顔を曇らせた。ギアとローリエがシュトを見つめる。

二人はよく知っている。この子はいままでひとつも出鱈目なことを口走ったりしない。

トリシアだけが感心したように顔を明るくさせた。

「シュトすごいね!そう、これ『ジュリアンナ』っていう刺繍がはいってるんだよ!」

ローリエが慌ててトリシアの着ているドレスの首のタグをひっ掴んで確認すると本当にそう刺繍してあった。引っ張られすぎて「ぐえっ」っと苦しそうにトリシアが呻いた。

「何でだろう?シュトこのドレスの人みんな知ってる」

「ええっ?」

まさか、と思ってローリエが広げてあるドレスを左端から順に指差してみる。

「デニス、マリー、ミーシャ、メアリー、アニー、フェアル、…」

よどみなく名前をそらんじて見せるシュトの声を追ってローリエがタグを確認してまわる。

そして真っ青な顔を上げる。

「全部合ってる…」

「他にもドレスの人をいっぱい知ってるけど、シュトはそのドレスが一番トリシアに似合ってると思うよ!」

「へえー、そっかあ、ありがとね」

かがんでシュトに前線を合わせてトリシアが微笑む。

「…トリシアは驚かないのか?」

「へ?ああ、シュトはロッテの記憶を持ってるんだって聞いてたから、そんなに驚きはしないけど…、おかしいの?」

二人は顔を見合わせた。

「いいや、それが二人の普通ならおかしくは無いよ」

ギアはそう取り繕っておいたが、ローリエはその最中頭をフル稼働させていた。

シュトがシャルロッテの記憶を持っている?それは「ドレスの人を知っている」という今の一連の出来事で検証された。限りなく正確な記憶だ。うすぼんやりとしたものではない。

今までは比喩として使ってきたが、もしかしたら…。

もしかしたらシュトラーフはシャルロッテの生まれ変わりなのかもしれない。

ローリエはしっかりと頭に刻み込む。要検討事項だ。


「ねえ、それで私はいつまでこの格好でいるの?」

ドレスの裾をつまんでトリシアが弱ったように声を上げた。

そこにタイミング良くレイがひょっと顔を出す。

「わっ、お前どうしたんだその格好」

いやーーーーっ!トリシアは顔を真っ赤にして手をあたふたとバタつかせる。

「レイおかえりい~」

シュトだけが平然としていた。

「なんかあったのか?」


今日は(そんなつもりはなかったのに)2本投稿しました~

来週はそんなに出来そうにないからね!今のうちにね!


今回はドレスの話でしたが、どんなドレスかって言うのは読んでくださっている方々が各々自分の持っているトリシアのイメージに似合うドレスを着せてあげてください^^


今回もちょっと長かったのに読んでくださってありがとう!

次話も乞うご期待☆

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