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法廷で判事が生き物の話を始めるとき、被告人も書記官も誰も止められない。 ──法律では届かない場所に、ウグイスの声は落ちていく。 緑ヶ丘地裁・特設更生分室の記録

作者:かーすけ
最新エピソード掲載日:2026/06/30
緑ヶ丘地方裁判所・特設更生分室。

担当判事の烏丸護(38歳)は、法廷ではエースと恐れられる冷徹な男。
だが判決を言い渡した後、彼は必ず「生き物の話」を始める。ウグイスの縄張りで境界線を語り、ミツバチの針で献身の代償を語る。法律では届かない場所に、生態学の言葉は静かに落ちていく。

その法廷に書記官として赴任した築地遥(33歳)は、法律に傷つけられた過去を持ちながら、諦めきれずに司法の世界に残った女性。烏丸の説諭を間近で聞き続けるうち、気づいてしまった。被告人に向けられた言葉が、いつも自分自身にも刺さってくることを。
法廷では威圧感があるのに、お弁当を前にするとフリーズする。生き物の話なら早口でいくらでも語れるのに、遥の笑顔には赤くなる。そのギャップが、遥には少し、困る。

本作は毛利甚八先生の『家裁の人』から着想を得ました。
法律と感情のあいだで生きる人たちの、静かで少し温かい物語。
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