第6話 7
先程話したかちかち山の狸がウサギと山を登る場面や、猿蟹合戦で蟹の子供たちが出てくる場面。
七匹の子やぎ達がお母さんと幸せそうにしている姿に、赤ずきんが狼と花を詰む姿。
ヘンゼルとグレーテルでは小鳥達にパンくずを食べられてしまった場面など、動物が出てくる絵を沢山『僕』に見せてくれた。
『どれもどうぶつ かわいかった ふわふわ すき』
小さい子供の様な言葉で綴られる無邪気な言葉に、『僕』はお兄さんのような気分で頷く。
それから天使様は読み終わった絵本に、子供の物ではない遠くを見るような愛しい眼差しを向けた。
『どれもわるいことしたひと じぶんもくるしくなっておわる』
『でもちゃんとごめんなさいして みんなしあわせ』
よかった、と天使様は続ける。
『僕』は内心、読んだ後に悲しい思いをしないか気がかりだったが、杞憂に終わったようで安堵した。
その理由が、どの絵本も確かにハッピーエンドではあるが"明確に因果応報が描かれた物"ばかりだったからだ。
かちかち山は狸がウサギに懲らしめられ、猿蟹合戦では猿が懲らしめられ。
七匹の子やぎの狼は井戸の底、赤ずきんの狼も猟師に腹を裂かれた。
ヘンゼルとグレーテルの魔女はぐらぐら燃える焼き釜へ。
持ち込まれた絵本は確かに『僕』でも知っているが、桃太郎やシンデレラなど他に有名な物でも良かったのではないかと思う。




