第4話 8
「いいえ、怖くないですけど……。村の大人達に撫でられたりしてましたし……」
『なでる しらない』
さっきまで『僕』は天使様の傷のことが気がかりだったと言うのに、天使様はそれよりも"撫でる"事が気になる様子だ。
「ええっと、子供を……自分より身体が小さい生き物を可愛がるって事ですかね……。
大体はこうやって手を使うんですけど」
『僕』は天使様の頭を大人がやるみたいに撫でる。
髪をすいた時と同じように身を預け、目は気持ち良さそうに細めていた。
絹糸のような髪をさらさら撫で、終わりに調えてやる。
犬や猫を撫でてるかのような、人のものではない手触りだった。
『僕』の真似をしようとしたのか、天使様が手を伸ばす。
頭を撫でようとするも、額にごつんと手枷がぶつかった。
「いたっ」
痛みは余りないものの、反射で声が出てしまう。
ぶつけた事に驚いたのか天使様は顔面蒼白で、喉から大きく空気が漏れた。
おろおろと『僕』と枷を見比べて、また繭に閉じ籠ろうと翼を大きく広げる。
距離を少しとってふわふわの繭にくるまろうとするのを『僕』は慌てて引き留める。
「だ、大丈夫ですよ!少し当たっただけです!
えっと、人間はこう言う時にも痛いところを撫でたりするんですよ!」
口早く捲し立てると天使様はもそもそと繭に籠るのをやめて、手枷を『僕』から努めて遠ざけながら額に頬を押し当てる。
手枷ごと手を遠くへ追いやっているからか、天使様は無言で額に頬擦りしていた。
天使様の表情を見ようにも『僕』はされるがままで、様子を伺えそうにない。
結局天使様が落ち着くまでされるがままに『僕』は撫でられ?続けていた。
第4話 終了




