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第4話 7
『へいき』
気づいたのか、天使様はもう一度同じ言葉を書く。
首をぐるりと一周し、声が出せなくなる程の深い傷。
当時の『僕』は何も言えず頭が真っ白になっていた。
今思えば死んでも可笑しくないその傷は、この人が人間ではないことと、人間の所業ではないことを行った村人達の証でもあった。
天使様は『僕』に顔を寄せ、『僕』の頭に自分の頬をぐりぐり押し付けて頬擦りしている。
撫でているつもりだろうか。
無垢な一面を感じさせるその犬のような所作は、『僕』を慰めるには十分だが、同時にこの人の純粋さに触れているとより一層村人達への恐怖が大きくなる。
『ふしぎ』
書く前にちゃり、と鎖を鳴らされる。
『僕』の考えとは裏腹に、不意にかかれた言葉は意味が読みきれなかった。
ただ天使様の表情を見るに、ネガティブな言葉では無さそうだ
「何がですか?」
『これ したくなる』
これと言うのは、天使様が頬擦りしている事をさしていそうだった。
気に入ったのか、自分の頬を『僕』の頭にずっと押し付けている。
くすぐったいばかりだったが、急に天使様はぱっと離れた。
『ひと これしない こわがらせた』
書かれた言葉はこうだが、天使様は心配や不安の孕んだ目でじっと『僕』を見つめている。
恐らく『これしない?怖がらせた?』と言いたいのが伝わった。




