第4話 5
『わたしは にんげんじゃない』
『なにがあなたにとって きけんかわからない』
天使様がまた手を引っ込めようとするが、枷が嵌められ重い手を『僕』は繭に閉じられる前に取る。
天使様の驚いた顔が繭の隙間からちらりと覗いた。
「もう、天使様!僕はあなたの手をどうにかしたくて入ったんです!それに、天使様が何かするなら、僕が手を貸す度出来るじゃないですか!」
そのまま手を引っ張ると、天使様の驚いたままの顔が繭の外に出る。
『僕』は手枷に触れ、どうにか出来ないかぐるぐると見回した。
天使様はその間されるがままで、多分『僕』のつむじ辺りを静かに眺めている。
拳で軽く叩くが固く頑丈で、古びているとは言えどうにか出来るわけでもない。
構造は木の板に半円を開けて、それを二枚繋げて枷にしているようだった。
ただし鉄の部品で固く閉じられ、鍵穴は見る限り錆び付いている。
天使様が『僕』を呼ぶために使う鎖は、手枷から伸びて首輪に繋がっていた。
ノコギリでもあれば手枷そのものは壊せなくても、ある程度自由に手が動かせるようになる。
足枷の方は首枷と同じく重い鉄の輪だ。
両足首に嵌められ、その間を少し長い鎖が繋いでいる。
これがあるから、天使様は歩く度に大きな音が鳴っていた。
『僕』が最初にその音で驚いたからか、今は音が鳴らないよう座ったままか手に持って動いてくれている。




