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第4話 4
『僕』は狭い檻の隙間に身体を押し付ける。
身体に感じる圧迫感と、顔に擦れる鉄の無機質な冷たさや痛みを堪えながら、何とか檻を通り抜けた。
すぽん、と勢い良く身体が抜けて、力を込めていた足に支えが無くなったからか、その場でよろけてしまう。
「わ、っとと」
天使様が咄嗟に支えてくれたものの、手は枷があるからこの人の胸元に飛び込んでしまった。
『僕』は痛くなかったか、重く無かったかと急いで離れる。
天使様は慌ててちゃりちゃりと鎖を鳴らして『僕』を呼んだ。
手を差し出すと、急いているのか少し早く言葉が紡がれた。
『どうしてなかにはいった』
『あぶない』
『なにかされるかも おもわなかったの』
そんな言葉がつらつら書き連ねられ、天使様は『僕』から少し距離を取る。
ここにきて初日の時のように、また翼で繭を作って閉じ籠った。
「天使様、ごめんなさい。でも、天使様が酷いことしないってわかってましたから」
天使様はちら、と繭の隙間からこちらの様子を伺う。
喋ろうとしたのか、繭の奥からひゅうひゅう隙間風の音が聞こえた。
『僕』はそうっと繭に近づき、何か言いたげだった天使様に手を差し伸べる。
天使様は文字を書くとき、必ず片手で『僕』の手を支えてから指でなぞっていたが、今は支えも無しに指だけで言葉を書き綴っていた。




