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第3話 6
「あれくらい、またいつだってしますよ」
『僕』は握られた手をそのままに、天使様に綻んだ。
『うれしい』
眠ることのないこの人が、ずっと書こうとしたかったであろう言葉が綴られるたび、その眩しいほどの真っ直ぐさに『僕』は胸に暖かいものが満ちるのを感じる。
天使様は続けて何かを書き出した。
『ずっとはなしたかった』
「誰と?」
『みはるひと』
それは、『僕』だけでなく過去の御使い縛り達も含めた言葉をだった。
村人の話から天使様はずうっと昔からここに捕らえられ、その時間の数だけ御使い縛りもいたことも予想できる。
『おはなしうれしい』
天使様は『僕』の手をぎゅっと宝物みたいに握って、楽しそうに微笑んだ。
ありがとうと言葉を綴って、天使様は頭も下げる。
今までどんな人がお役目をしてきたか『僕』は知るよしもない。
ただ天使様は長い長い時間を誰にも自分の意思を伝えられなかったのはひどく悲しいことに思える。
実際寂しかったのだろうか、天使様はお礼よりも挨拶の方が良かったかどうかを『僕』の手のひらの上で考えていた。
そんな些細なことでも話したいようで、先程からずっと『僕』の手はくすぐったさに耐えている。




