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第3話 3
「帰りたい?」
星と似た輝きを持つ目はようやくこちらを向いた。
天使様は何も答えず、苦笑いを浮かべて肯定も否定すらもしない。
「逃げ出したくならないの?」
昨日も似た質問をしたが、天使様は変わらず『僕』を指差して微笑んだ。
また空を見上げる。
示される行動の意味が理解出来なくて、『僕』は眉間にしわ寄せ怪訝そうな顔をするしか出来ない。
また『僕』は星空を見上げる。
ぼんやりとした穏やかな時間。
会話らしい会話にもならないおままごとを繰り返しながら、夜の帳は上がる。
遅めの夕食をとったあと、うたた寝してしまって眠れるか不安だったが眠っていたらしく二日目の朝がきた。
今度は鉄の扉が鳴る前に起きれたようだ。
天使様がそれを察してか小さな拍手をくれている。
『僕』はこんなことで拍手を贈られ、気恥ずかしさを圧し殺して天使様に挨拶した。
「おはようございます。天使様」
天使様はぺこりと頭を下げて、喋れない代わりに身体全体で返してくれる。
二日目になれば『僕』の中にすっかり恐怖は無くなった。
牢獄の中は退屈なものの、この人が危ない人ではないことはとっくに知っているので、最初の夜のような不安や怯えは微塵もない。




