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第3話 1
次に『僕』が目を覚ましたのは、扉を叩く大きな音がなる夜のことだった。
『僕』は吃驚して慌てて飛び起き、跳ねるように何度も叩かれている鉄の扉にある小窓を開ける。
「す、すみません……!」
思わず『僕』は謝ってしまうものの、それを聞かずに村人は食事を差し出した。
『僕』はそれを受け取るが、村人は帰る気配はない。
まだ眠い頭でぼんやりとしていた『僕』はそれすら上の空だった。
「必要なものはないのか」
それを言われてはっと気がついた。
急いでメモ帳を差し出して、村人はそれを受けとるとなにも言わず去ってしまう。
『僕』はまだ寝起きで食べる気になれない食事を置いて、寝台に座り直す。
牢を見やれば、天使様はノートと鉛筆を置いてこちらをじっと見ていた。
「おはようございます。天使様」
といっても窓からは月が浮かんでいる。
天使様はそんな『僕』の言葉にこくこくと頷いた。
「お勉強、終わったんですか?見せてもらっても良いですか?」
置かれたノートに手を伸ばすと、天使様は取られまいとノートに覆い被さる。
ふるふると顔を横に振って拒否の態度を表した。
「読まれたくない?」
『僕』が聞けば、天使様は大きくこくこくうなずく。
なら無理に読むのはいけないことだ。
『僕』はおとなしく手を引っ込めた。




