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第2話 10
『僕』が五十音全て読み上げたところで、少しお腹が空いたこともあり食事をとらせて貰っていた。
「天使様、疲れたら休憩して良いですからね」
声をかけてみたものの、真剣な横顔がこちらを向くことはない。
それからまた時間が少したち、『僕』はぼんやりと天使様を眺めていた。
ずっと握られた鉛筆で引かれた線は、なれてきたのか最初の頃よりずいぶん綺麗になる。
それでもミミズの這った字には代わりないが、利き腕ではない方で書いたかと思う程度には書けるようになりなんとか読めるようになった。
ふと、ちゃりちゃりと鎖がなった。天使様に呼ばれたんだ。
「どうしました?」
『僕』は天使様のそばに近づいて、ノートを覗き込むと沢山の文字が紙を埋め尽くしていた。天使様はぱらぱらとノートをめくり、『僕』に白紙のページを見せる。
あと数枚しか無いようで、天使様はどうしようと困っていたみたいだった。
「村の人に持ってきて貰いましょうか。それまでこっちの別のものを使ってください」
使いかけの算数のノートだが、まだ書いていないページも沢山ある。
天使様はノートを受け取って大事な宝物のように受けとった。
喉がひゅうっとなって、悔しそうにまた鉛筆を握りしめ、勉強に夢中になる。




