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御使い結び  作者: 狛ノ上緒都
第2話
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第2話 8


『僕』のやることが気になるのだろうか、天使様は物珍しそうな目で『僕』のノートを覗き込んでいた。

ペン先をじぃっと見つめていたかと思えば、天使様は牢の隅に転がっていた小石を拾って、石畳に何かし始める。


チラリと見やれば、石畳にがりがりとよくわからない線や図形を書いていた。

へろへろと曲がりくねって、かと思えば変にまっすぐだったりと安定しない。

よくよく眺めてみればそれは文字のようで、恐らく『僕』のしていることの真似だろうか。


言葉はわかっても、文字は書けないらしい。

村人はずうっとずうっと昔に前に天使様を捕まえたと言っていた。


もしそうなら、何人もの「御使い縛り」から言葉は覚えても、文字は知る機会が無かったのだろうか。


『僕』はノートにあ、い、う、え、おと努めて丁寧に五十音を書き綴る。

今は文字が書けなくても、覚えればきっと天使様もお喋りできるにちがいない。



幸い時間は沢山あるから、『僕』は手作りのひらがな表とノートと鉛筆を手に、天使様の目の前に座り込んだ。


「天使様、お勉強しませんか。字を覚えれば、これを書いてお喋りできますよ」


『僕』の言葉に天使様はぱっと顔を上げて、お喋り出来ると言う言葉に反応したかわからないが、大きくぶんぶん頷く。


檻の向こうにひらがな表とノートを差し出し、鉛筆を握らせた。


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