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二千五百の軍勢は暁城が見える辺りまで、やって来た。
清秀は、以前の三倍もの規模になった暁城に驚きを隠せなかった。
「馬鹿な…あり得ぬ」
清秀の全身に冷や汗が吹き出した。
暁城の城門が開いた。
城内から、ぞろぞろと人が吐き出される。
皆、具足や胴当てを着けた軍勢だ。
暁城の兵士たちは前進し、あれよあれよという間に陣形を成した。
「あれを見ろ!」
清秀軍の前線の兵が叫んだ。
敵の様子のおかしさに気づいたのだ。
暁城の兵士は全員、人ではなかった。
大半は肉が腐り落ちた骨だけの兵だ。
武器や鎧を身に着けている。
その所々にちらほらと、まだ肉の残った屍も見えた。
これは先日、暁城を討伐に出て、帰ってこなかった兵たちの死体と思われた。
五百の兵たちはここで死人の軍勢に襲われ、その後で敵の軍勢として甦ったのか?
清秀軍の兵卒たちは恐怖のあまり静まり返った。
これは、誰も経験したことのない戦だ。