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虹丸  作者: もんじろう
84/105

84

 もう死んでいる者をどうやって殺すというのか?


 皆、恐怖に震え、戦意が急速に萎んでいく。


 身体を動かす度にどこかの骨が、かたかたと鳴る死の軍団が、さっと左右に割れた。


 そこを奥から進んでくる者が居る。


 馬に乗っている。


 馬と言っても、骨の馬だ。


 馬の屍だ。


 馬上には立派な具足を着けた武将の姿。


 恐れで金縛りのようになっていた清秀だが、その武将の鎧に見覚えがあった。


 三年前の戦いで、何度か見た。


 敵の大将、惨鬼義盛の鎧にそっくりだ。


 しかし、義盛は三年前の戦で城ごと燃やされて死んだはず。


 馬が歩みを止めた。


 義盛らしき人物が顔を上げて、清秀を見た。


「!!」


 義盛の顔は暁城の兵たちと同じく、肉の無いどくろだった。


「豪里清秀よ! 待ちに待ったぞ、この時を!」


 馬上のどくろ武者が出した大声は、清秀が記憶している義盛の声と完全に一致した。


「今度こそ、戦で尋常に勝負せよ!この前は兵糧攻めに不覚を取ったが此度(こたび)はこれ、この通り!」


 どくろの義盛は、からからと笑った。


「腹が減らぬ身体ゆえ、互角の勝負が出来ようものよ! お主の首をはね、城内の飾りにしてくれるわ!」


 義盛は自らの軍勢を振り返った。


 そして叫ぶ。


「者共、かかれ!」


 義盛の肉の無い頭が、ぼうっと緑色の光を発した。

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