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十蔵は忍びの里に居た頃から少しずつ、あらゆる毒を体内に入れることで高い耐性を得てきた。
これほどの痛手を短時間で負うとは考えにくい。
血を吐きつつも十蔵は虹丸たちの攻撃をかわし、操った。
しかし、次第に足元がふらつき始めた。
痛みは鉄の精神力で押さえつけても、身体自体が動かなくなってきている。
内臓の痛手のせいか。
虹丸たちの攻撃は休むことなく続き、ここに来てさらに激しさを増し、猛攻と呼べるものになっていた。
十蔵の操る虹丸たちは次々と倒されていく。
動きのままならない十蔵が、新たに操る虹丸は減っていった。
自然、十蔵を囲む虹丸たちの圧力は強まり、ついには攻める虹丸の一人が十蔵の背中に斬りつけることに成功した。
十蔵が、その場に転倒する。
顔を上げ、虹丸たちを操ろうとした十蔵の頭を複数の手が押さえつけた。
地に顔面を着け、這いつくばる十蔵の耳に虹丸の声が聞こえてくる。