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虹丸  作者: もんじろう
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「十蔵さん」


「………」


 十蔵を押さえている虹丸たちは、十人どころではない。


 がっしりと四肢を掴まれ、まったく動けない。


 この状態から解放されるには他者の助けが必要だが、操っていた虹丸たちは皆、正気の虹丸たちに倒されたらしく、辺りは静かだった。


 十蔵は大人しくなった。


「十蔵さん」


 虹丸が再び、呼びかけた。


 十蔵を気遣うような口調であった。


「何故だ?」


 うつ伏せのまま、十蔵が言った。


「どうやって俺を弱らせた?」


「………」


「毒か?」


 そうではないと分かっていた。


「教えろ」


 しばしの沈黙。


「俺は身体をいくつも造れます」


 虹丸が言った。


「それは知っている。どうやって、俺を弱らせたかを訊いている」


「造り出すときに大きさを変えられるんです」


「?」


「俺より大きくは出来ません。逆に、かなり小さくは出来るんです」


「?」


「小さな俺を造って、十蔵さんの身体の中へ入りました」


「俺の中へ…」


「大勢の俺が十蔵さんの体内を攻撃したんです。だから、十蔵さんは弱ってきた」


「ふふ…」


 十蔵が笑った。


 虹丸たちは皆、驚きを隠せなかった。


 忍びの里に居たときから、一度として十蔵が笑う姿を見たことが無かったからだ。


「ふふ…」


「………」


「あはははは!」


 十蔵の笑いは大声へと変わっていった。

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