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第9話 高校デビューは計画的に 

《結城 視点》


 明日から高校生活がスタートする。


 そのために、残りの春休みはアイシャと学校生活で必要な物を買いに行ったりしていた。



「アイシャのためにも髪はちゃんと整えないとな。……アイシャの隣に立っても見劣りしない男にならないと。努力、努力と」



 アイシャは日に日に美少女から美人へと成長していっている。

 外で一緒に歩いていても、男の人……いや、女の人からの目線も沢山向けられていたし。俺が少し席を外した隙に、いない時にはナンパされかけていた。


 モテるって大変なんだな。中学生の頃、なんでアイシャが俺と偽の恋人ごっこをしましょうなんて言っていたのがよく分かった。


 目立つと変なトラブルまで招くものらしい。


ガチャッ!


「結城〜! お風呂上がったわよ〜! さっさと次入りなさいよ〜! 早く入るの!」


「……アイシャ。君、どこから入ってきたんだ?」


「そんなの教えないわよ。それよりも早くお風呂に入ってきなさい。明日から高校生なのよ。さっさと一緒に寝るわよ。添い寝タイムなのだわ」


 なにを当然のことのように言っているんだろうか? 


 つうか、なんで上は薄着のキャミソールに、下はショートパンツの薄着なんだよ。目のやり場に困るつうの。


「……なに、イヤらしい目で見てるのよ? 結城のエッチ」


「見てない。それよりも、なんで隠し通路を防いでも防いでも不法侵入できるんだ? 俺の部屋にいったいいくつの隠し通路を作ったんだよ。アイシャ」


「……内緒よ。別にそんなのどうでもいいじゃない。半同棲みたいでよくあることよ」


「よくないことだろうが。帰れ!」


「いやよ! それに私が結城の部屋の生活費は負担してあげるってことになったじゃない。その対価よ、対価。一緒に住むのこれは決定事項よ。結城!」


「こいつ……自分勝手の権化かよ」


「違うわよ。私は結城だけにしかしないよ」


「余計駄目だった。……髪乾かしてやろうか?」


「……ありがとう。優しいわね。結城は」


「当たり前だろう」



 結論。アイシャが俺の部屋に住み着いた。


 そして、寝る時は部屋を隔離して眠っている。俺の安全のために。



「そういえば、なんで鏡なんて見ていたの?」


「ん? いや、明日の入学式はどんな髪型で行こうか迷っててさ。両親も来るしな。ハデにするわけにもいかん」


 アイシャをベッドの上に座らせて、ドライヤーでアイシャの髪を乾かしてやってる。


「そうね。結城は、私以外に目立ってはいけないものね」


「……なんだそれ?」


「結城は目立つもの。この間の買い物の時もみんなに見られていたわ。そんなの耐えきれないの」


 ……アイシャがなにを言っているのか分からなかった。


「ん〜……とりあえず。アイシャの隣に立っても見劣りしないように、髪型やら香水なんかも付けてさ……つうか、アイシャと俺は高校が……」


「一緒よ。私も結城が通う星夏高校に通うもの」


「…………なんだと?」


「事実なのだわ」


 衝撃の真実だった。


 嘘だろう? 俺はてっきり、アイシャは都内のお嬢様高校に通うために一人暮らしを始めたものと思っていたのに。


 いや、中学生の頃はお互いことを知らないようにしてたし。アイシャの学力なら星夏高校に受かっても可笑しくないとは思っていたが……


「良かったわね。こんな可愛い元カノと同じ高校に通えるなんて、結城は誇りに思うといいのだわ」


「自画自賛が過ぎるだろう。……まぁ、知り合いが居てくれた方が心強いか……」


「そうよ。高校生活に慣れるまでは、私とずっと一緒に居るのをオススメするわ」


「……それもそれでやだな」


「なんでよ!」


「いや、アイシャは目立つしな。……俺もオシャレ眼鏡とか掛けたら、イケてる男子高校生に見えるんじゃないか? 三日前に買ったオシャレ眼鏡とか掛けてさ、ほら」


 俺はそう言うと、近くに置いてあったコレクション用の眼鏡を掛けて、アイシャの方に振り向いた。


「……に、似合いすぎよ。……だ、駄目、明日は黒淵メガネを掛けて目立たないように登校するのよ。私以外に素顔をさらしちゃ駄目なんだから」


「なんでだよ?」


「元カノの特権だからよ!」


「?……意味が分からん」


 なぜかアイシャは赤面し、俺が掛けていた眼鏡を奪い取るとアイシャ自身も眼鏡を掛けて「似合うかしら?」なんて聞いてきたのだった。


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