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そして扉を………

閲覧有り難うございますm(__)m

異国の勇者とマリアのお話です

チルダ王国S級十傑第二位、皇木極は任務中に殉職。その死に様々な臆測と疑惑が飛び交うも、王国とギルドによる、半ば強引な調査終了により、その真相は高位魔族との戦闘によるものと結果付けられた。



〜王都 某所〜


「信じられませんの、あの馬鹿で規格外の化け物の極が死ぬなんて!」


「…………………」


「フラン、貴女は納得出来ましたの!?」


「…………」


「フランッ!」


テーブルを叩き、女性がフランと呼ばれた女性に詰め寄る。が、沈黙のままだ。


「フランッ!!」


「レイヴァンス、もう止めておけ、イーグレットの気持ちはお前が一番知っているだろう!」


「でも………」


「確かに、極の死には謎の残るところもあるが、それでも国が調査を終了したんだ、なら今は極を殺害した魔族がどうなったか調査するのが先決だ」


「ライオネットさん……」


ライオネットの言葉にレイヴァンスはそれ以上何も言わなかった。


「兎に角、近々十傑に召集がかかる筈だ、二人ともパーティーメンバーの死だ、中々に切り替えられないだろうが、時が来たら頼むぞ……」


言いにくい一言ではあるが、十傑の一位として言わなければならなかった、多少の罪悪感を覚えながらもライオネットはその場を後にする。


残ったのは二人。無言でただ無言でテーブルに座り向かい合っていた。


「……………」


「………」


イーグレット、いやフランが今どういう気持ちなのか、レイヴァンスには痛い程解るつもりだった。だから声がかけられなかった。



〜後日 王都 冒険者ギルド本部〜


「………良いのか、レイヴァンス?」


「えぇ、私なりのケジメですの、三人で任務をこなせなくなった時点で、私の冒険はお仕舞いですの」


「それをイーグレットには………」


「まだですの、極を失ったばかりですから、もう少し落ち着いてから…………」


「そうか、そうなると」


「えぇ、十傑も引退ですの、これはライオネットに伝えてますの」


「そうか、早いな」


「即断即決ですの」


飄々としたレイヴァンスを見て、ギルドの人間は苦笑する、普通ならS級や十傑の地位にしがみつきそうなモノだが、この女性はその地位に執着しない。


「やることはあるのか?」


「?」


「冒険者を辞めてだよ?」


「ありますの」


これまた直ぐに返してくる。


「聞いても良いのか?」


恐る恐る、答えを問う。と。


「極の故郷を見てみたいですの」


「?」


一瞬意味が解らずに首を傾げる、しかし、レイヴァンスは気にした様子もなく。


「どの位、かかるか解りませんが極の故郷、日本に行ってみますの、それが次の目標ですのよ」


多分相手は理解仕切れないだろうが、レイヴァンスには関係なかった。


「兎に角、次の目標ならしっかりとありますの、心配なさらないでくださいまし」


満面の笑みを浮かべる、レイヴァンスだった。



〜翌日 王都某所〜


「レイヴァンスさん……」


「お久しぶりですの、遥か海の向こうの勇者様」


部屋の一室、必要最低限の調度品以外は何も無い場所で、テーブルを挟んで勇者であるファリーナと対面しているのはレイヴァンスだった。


「貴女の仲間の魔導師とは良く会うのですが」


「そうですね、仲間から凄腕の魔導師だと聞いています」


当たり障りの無い会話、レイヴァンスもファリーナも次の言葉を探して視線を泳がせる。


と。


「ファリーナさん」


「はい………」


「余り関わりがあったわけではありませんでしたけど、極の知り合いですので………」


「はぁ」


「この度、パーティーを解散する事になりまして」


「えっ…………!?」


いきなりの事で訳が解らなかったが、レイヴァンスの言葉を何とか心中で理解させる。


「まぁ何ですの、私は王都を去りますが、多分ですけど、フランは残ると思いますので」


そこまで言って、レイヴァンスは唐突に頭を下げ。


「こんなこと異国の勇者に言うのもどうかと思いますが、貴女はフランとも親交がありますの、ですから、少しで良いですのフランの事を気にかけてやってください」


更に深々と頭を下げ、ファリーナに懇願する。勿論ファリーナがレイヴァンスにそこまでされる云われもなく。多少動揺しながらも。


「ちょっ、待ってください、私達はいつかは母国に帰ります………」


「それでもですの、今でこそフランは極の死で動揺していますが、それでも彼女はこの王国に必要な人材、ですから立ち直るまでの少しの間、気にかけてやって欲しいですの」


そこまで言って、また深々と頭を下げるレイヴァンス。


勿論ファリーナも、これまでフランとは幾度となく演習を付き合ってもらっていた浅からぬ関係、なら、無下にするつもりは毛頭無かった。ゆっくりと優しくレイヴァンスの肩に手を当て。


「任せてください…………とは、安易に言えませんが、私も出来る事はさせて頂きます」


「ファリーナさん………」


「アーネ………です」


「?」


「親しい友人は、私をアーネと呼びます、ですから……友人想いの貴女にはそう読んで貰いたいです、少なくともフランさんならそう言うと思いますから」


満面の笑みを浮かべるファリーナ。そこには協力します、と言った気持ちを感じられた。



〜王都 共同墓地〜


「正直、貴方が死ぬとは思いもしませんでしたの……」


名も刻まれていない墓石、それを前に一人呟くのはレイヴァンスだった。等間隔に並ぶ墓石、それらに視線を移し。


「異世界、私は貴方を還すつもりでしたのよ、それなのに…………兎に角、私は異世界との次元回廊を開く研究をしますの、そして、異世界とこちらを繋ぎますの」


誰がいるでもない、そんな場所で呟くレイヴァンス、そのまま空を見上げ。


「繋いで、私は極、君を連れて帰りますの………日本に」


何処かは解らない何処か、昔、この世界にたどり着いた時に、極がスマホと言う道具に写っていた画像を見せてくれたそこ。

憧れなどでは無いが、それでもレイヴァンスはそこに使命の様なモノを感じていた。


「来たきり、行ったきり、帰れないのは寂しいから………」




その日、チルダ王国S級十傑第六位


魔導士、マリア・レイヴァンス


彼女はその地位の全てを捨てたのだった。






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