淳、昌晃、純一、三人がヴォバックに訪れる約二年前の他人の話………
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幕間です、主人公の出番はありません悪しからずm(__)m
チルダ王国に来てもう四年になる。11歳の時に海を渡り、選ばれた仲間と共にこの地で血の滲むような研鑽を重ねた。
それもコレも、遥か遠くの母国を救うため。魔神の手から人々を救うため、選ばれはしたが、まだまだ力の使い方を知らない自分が、魔神を倒すための力をつけるためにチルダ王国へと来たのだ。一度閉じ込めることに成功した魔神が檻を破るまで後数年、その間に力を万全なモノにして母国へと帰らなければならない。
それが私の使命であり、勇者として選ばれた者の運命。
〜チルダ王国 演習闘技場〜
「勝負ありだな!!」
「くっ…………まだ………」
「勝負ありだよファリーナ、君がどれだけ強いかは知っているが、それでもこれ以上やれば怪我では済まなくなる」
「当たり前だ、私は強くならなければならない………」
「勇者だからか?」
「そうだ、魔神を一時的に封じ込めたと言っても、それも後数年が限界、私が魔神を完全に倒さなければならないんだ、そのためなら」
「そうは言っても俺の国では身体が資本って言うしな、致命的な怪我は本当の戦いの時に取り返しがつかなくなるぞ」
地に座り込み、ファリーナと言われた少女が前面にいる男を睨み付ける。青年は苦笑しながら同じく手に持っていた武器を消失させる。
「兎に角今日はここまでだ、余り我が儘を言う様なら、命令と言う形で従わせるぞ!」
ファリーナに背を向けて歩きだす青年。それを悔しげに見送りながら、ゆっくりと立ち上がり、ファリーナもふらふらとした足取りで歩きだす。と、その時、遠目に見ていた男がこちらに歩いて来る。
「ふっ、ズタボロだな」
「ライオネットさん……」
ライオネットと呼ばれた初老の男は、年に似合わない巨体を全身甲冑で包み。視線を青年の背に向ける。そして。
「アイツは強いだろ、ファリーナ?」
「はい………」
「アイツは、次期十傑第一位だからな……」
「次の、と言う事は………」
「あぁ、ワシの後の十傑一位だ」
しんみりとしながら、ライオネットは宙を仰ぐ。そのまま両者無言でいると、やっと言葉を見つけたのか。
「あの人は、現一位のライオネットさんより強いのですか?」
唐突の質問。すると、少しばかり苦笑して。
「いきなりだな…………しかし、そうだなアイツは強いぞ………」
「…………」
「多分、全盛期のワシでも勝てない程にな……」
認めなければならない、そう言った様相でライオネットはファリーナに伝える。そして。
「酷い話かも知れないが、勇者である君よりも、な……」
「解ってます………」
そう、幾度本気で闘っても勝てる気はしなかった、それでもファリーナは腐ること無く気持ちを切り替え。
「母国に帰るその日までに、絶対にあの人から一本取ってみせます」
「そうだな、頑張れよファリーナ」
そう言ってライオネットは、優しくファリーナの頭を撫でるのだった。
〜後日 演習闘技場〜
「参った………」
「有り難うございます、イーグレットさん」
その日も、別の人物と訓練を行っていたファリーナは、イーグレットと呼ばれた女性に手を貸して立ち上がらせる。立ち上がり埃を払うと、苦笑いを浮かべ。
「私もS級十傑に入って自信がついたつもりだけど、貴女には勝てないわね…………」
「………そんな事、でも、いつも練習相手になってくれて感謝しています」
イーグレットの言葉に対して、逆に感謝を述べるファリーナ。するとそれを聞き。
「何を今さら、貴女は妹みたいなモノだし、異国の勇者の練習相手になれるなんて光栄よ」
「イーグレットさん」
「何時も言ってるけど、親しい友人はフランで良いのよ、アーネ!」
「イー………フランさん、本当に有り難うございます」
深々と頭を下げ、ファリーナが感謝を述べる。と。
「フランさん!」
「ん!?」
「お聞きしたいことがあります!」
「また改まって、何かしら………じゃ無いわね」
「はい………」
真剣な面持ち、そして。
「あの人………いえ、皇木 極とは何者なんですか?」
「極?」
「はい、あの人には勝てる気がしないので……」
言葉を発して表情を曇らせる、相当に悔しいのかファリーナは皇木極に拘る。それを見てイーグレットは一度息を吐き。少しばかり思案して。
「一言」
「一言?」
「えぇ、一言で彼を現すならば規格外ね」
「規格外………ですか?」
「えぇ、アーネの様にこの世界の異国の勇者ではなく、極は、彼は異世界の人間なの」
「異世界人ですか?」
「えぇ、貴女の国では珍しいかも知れないけどチルダ王国……いえ、この大陸では多いの、その中でも極は規格外の力を持っている」
「私よりも………」
「…………そう、でも、規格外でも極には貴女の様な唯一性は無い」
「唯一性?」
「勇者と言う唯一無二の存在、極は規格外だけど特別な存在ではない、ただ規格外なだけで何処にでもいる存在」
「私は………」
ファリーナが、何かを口にしようとした時。
「もう、止めにしておきましょう、この話はここまでにしましょ」
と、イーグレットが暗い雰囲気を払拭するように、話題を変える。ファリーナもその気持ちを察したのか、それ以上は何も語らずに耳を傾けるのだった。
〜また別の日 演習闘技場〜
「今日こそは………と、思ったのに」
歯を喰い縛りファリーナは膝をつく。決して弱いわけでは無いと自負しているが、正面にいる青年、皇木極は彼女の遥か上をいっている。
「いや、ファリーナ、君は強くなったよ、出会って一年程だけど本当に……」
「貴方は、この世界に来てまだ三年なんですよね?」
「ん?あぁ、誰かに聞いたのか…………まぁ、そうなるな」
「なら、天才、その言葉は私では無く貴方に相応しい」
「いや、天才って………」
「謙遜ですか?」
言われて戸惑う極。しかし。
「俺は天才じゃないさ、ただこの世界に来て、誰よりも努力した結果だと思ってる」
真顔で否定もせずに言い切る極。真剣そのものだった。
「ファリーナ、君だって自分の国を救うために血反吐を吐くほどに努力しているだろ、ならそれを否定するなよ、自分を信じるしか無いんじゃないか?」
少しばかり強めの口調で、ファリーナに言葉をかける。その表情は、口調とは違い柔らかな表情だ。
「でも、私は勇者です………」
「だから?勇者だから負けちゃ駄目なのか?なら、君の仲間は何のためにいるんだ、一人で出来ない事を補う為にいるんじゃないのか?」
「それは………」
「そこは言いよどむ所じゃない、君を信頼してくれてる仲間に失礼だ」
「すいません………」
「いや、こっちこそすまない言い過ぎたよ」
多少言い過ぎたのに気づいたのか、極も謝罪する。と。
「ファリーナ、俺は明日から任務で王都から離れるから」
「は?いきなりですね」
「悪いな、俺も冒険者だからな、まぁ、帰ってきたらまた訓練に付き合うよ、その間はフランとマリア…………は魔導士たから無理か、後はライオネットのオッサンにでも頼んでくれよ」
「…………解りました、今度は負けません」
「あぁだな………」
しかし、皇木極が王都に戻る事は二度となかった。
遠い遠い所から来た勇者です




