泥臭く戦いましょう!
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「おえ……………」
軽く餌付いたのは昌晃。口にたまった血を唾と一緒に吐き出す。
一時的にではあるが、距離が出来た事で、冷静さを取り戻そうと昌晃は狂人を睨みながら再度大きく深呼吸をする。
すると、それをじっと無言で見ていた狂人はボトリと落ちた自身の腕を拾い上げ、傷口にグリグリと押し付ける、すると腕は何事も無かったかの様に剣を握る。それを見て昌晃は。
考えろ………
心中で、戦術を思案する昌晃。不死身とも言える相手。しかし、淳では無い昌晃に、すぐに実行出来る戦術はない。
「まぁ、俺に緻密な作戦何てな………ガラじゃねぇわな」
再度指を鳴らし、頬を数度叩き気合いを入れ直す。それと共に再度戦闘が開始される。
互いの剣が閃き激突。火花がちり、木々の合間の荒れ地に、再び両者の激しい足音が響く。
「くぉっ!?」
肉厚の剣が激しい剣風を纏い昌晃の側面を襲う。大雑把ではあるが、当たればただでは済まない一撃。それを半歩後方に下がり回避。返す刀で心臓を貫き、刀を平に返し、脇下へとそのまま切り裂く。胴が真っ二つになることは無かったが、それでも致命打のはずだった。が。風穴のあいた身体だとしても。狂人は何怯む事なく無言で突進。今度は昌晃が激突の衝撃で数メートル吹き飛ばされる。
不味い…………
バランスを崩し、そう思った刹那。狂人が剣を引きずり接近。が、運の良いことに、まだ再生仕切っていない身体はバランスを欠き鈍く、接近に時間がかかっていた。
「ついてんなぁ!」
舌打ちして体勢を整え、再度迎え撃つ。その頃には狂人も身体が再生しまともに動き出す。
「不死身は厄介だなぁ、おいっ!?」
再生スピードが尋常でなく、昌晃ばかりがバテて行く。正直に嫌になる戦闘だ、内心は逃げ出したくなる。が。
「生憎、負けるのは大嫌いなんだよっ!!」
歯を食い縛り、昌晃が狂人に声を荒げると。
ゴパンッ!!と、爆裂音が響き渡り、狂人の頭が潰れたトマトの様にどす黒い血液をぶちまけ、破壊される。
「なっ!?」
いきなりの事に驚きを隠せずにいる昌晃。だが驚愕なのは狂人。流石に頭部を完全に破壊され動きは止めているが、再生を始めている。
すると。
「おぉ〜い、昌晃、今の内に粉々にしときなよ、そうすれば当分は動けないだろうさね!」
オーガを捌きながらジャコモのアドバイス。その瞬間、昌晃の魔導石が何故かチェーンソーへ、そして狂人をぐちゃぐちゃと刻んで行くのだった。
「不死身には手加減はいらねぇな………」
額の汗を拭い。チェーンソーのエンジンを切る。残ったのは刻みに刻んだ狂人の肉片だった。
〜森林部 某所〜
(なっ…………)
切り札である死の狂人を撃破され、カリエールは動揺を隠せない。普通ならすぐにでも再生するが、今回は意味の解らない武器で刻まれた為。再生がかなり遅れている、多分相当時間がかかるはずだ。その為にオーガやゴブリン、オークでしのがなければならない。
「忌々しい…………」
歯を食い縛り、カリエールは持っていた剣を叩きつける。だが今は苛立っている場合では無い。切り札が使えなくなった今、プランを変更しなければならない。
「くそ、こんなはずでは………」
「どうした、カリエール?」
「はっ?」
「は?ではないだろ?どうかしたのかと聞いている?」
カリエールの状態に気付き、声をかけてくるブゼ。だが、カリエールは一瞬だけ間をつくり。
「いえ、現在戦闘中です」
「まだ、落とせんのか!?」
「はっ、如何せん抵抗が激しく…………」
「早くしろ、ワシの我慢もそうは持たんぞ!」
「はっ」
膝をつき深々と頭を下げるカリエール。その時、顔が下を向いてブゼから見えなくなったところで聞こえない程度の舌打ちをするのだった。
ガサッ…………
と、不意に周囲の木々がザワつく。はっとなって周囲を見回す。すると。
「エッカルト・カリエール、ダニー・ブゼですね?」
草むらをかき分け赤を基調とした皮鎧を身に付けた女性が現れる。いきなりの事に二人とも硬直するが、カリエールは直ぐにブゼの前へと割り込み剣んを構える。
「き、貴様、何者だ、冒険者風情が!ワシをダニー・ブゼと…………」
「勿論知っています、貴方とエッカルト・カリエール、お二人は現在チルダ王国全域に指名手配がかかっています」
冷たく、感情のこもらない声でマリナは二人を一瞥。一瞥されたブゼは。
「な、何故だ、ワシは貴族だぞ………」
「貴族でも関係はありません」
「知らん、知らんぞ高々冒険者風情が、カリエール!!」
「はっ!」
ブゼがマリナに言葉を吐き捨て、カリエールに命令する。すると、二人の周囲に無数のオーガの集団。オーガは有無も言わずマリナに襲いかかる。
「あくまで抵抗を選びますか」
「五月蝿いっ、カリエール!!」
ブゼは吠えるだけ。カリエールは剣を構え、マリナと合流してきたカナリスに備える。が、カリエールは何を思ったのか急に構えていた剣を下ろし、あまつさえ展開したオーガの集団を停止させ、消滅させる。
流石に虚をつかれる形になった二人は、呆然とカリエールの行動を見守る。
流石に形勢不利。ブゼは気付いていないが、目の前にいるのは下手をするとジャコモもよりも厄介な相手。それを死の狂人抜きでやるとなると、無謀にも程がある。
心中で現状を確認しながら、カリエールは短い時間で結論を導きだす。
逃げろ………と。
すると、行動は早い、リスクはあるが虚をつくために自身の武器を下ろし戦闘の意志がないと言うことを示し、オーガも消滅させる。流石にいきなりの事に希望の翼の団員は動揺するが、それすらもカリエールには予定通りだった。
「貴様、どういうつもりだ!」
状況を理解していないブゼが吠える。が、カリエールはさして気にした様子も無く。
そして。
ブゼの胸元に自身の剣を突き立てる。何の抵抗も無く、豆腐の様に胸元を貫通、微かに口元から血を吹き出し。カリエールは絶命する。
「こうなれば貴様は用済みだ、俺は…………」
と、そこまで言った時、カリエールの袖口から何かが二つ落ちる。コロコロと転がるそれに、一瞬誰もが目を奪われ。その時。
爆発と煙幕、森の木々を縫う様に煙幕が広がりマリナとカナリスの視界を奪う。
「なっ!?」
「レイヴァンス氏!?」
「煙幕です、カリエールの奴、依頼主を殺して逃亡を!」
手で煙を払うも視界が晴れることはない、完全に油断した、マリナは情けなさに歯を食いしばり。視界の晴れないその先を睨みつける。
結果、ブゼは死亡。カリエールは逃亡を許してしまう。




