噛ませ犬
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「噛ませ犬ハンターッスよ俺は!」
「…………噛ませ犬ハンター?」
名乗られて首を傾げ、数瞬思案するベーム、すると、何かを感じ取ったのか。
「て事は何か、俺は噛ませ犬か!?」
激昂。で、それを見て半笑いで。
「正解!!」
拍手をして、ベームを褒め称える。勿論、バカにされているので更に激昂。
「糞ガキャァ!!」
「いやいやいや、見た感じそう年齢に大差無いッスよね?」
今度は落差をつけて一転真顔。完全にベームをバカにしている。指を差して再び半笑い。それを見て。
「ブッ殺してやる!!」
剣を振りかぶる、が、それを見た純一は軽く嘆息して。
「団長さんとは比べるまでもなく……」
パンッパンッ!発砲音。怒りに任せた攻撃に、動揺すること無く、純一はいつの間にか握っていた小口径の拳銃でベームの両足を撃ち抜く。
その間瞬き程。再びベームは地に這いつくばる。
「これが噛ませ犬ハンターの本領ッスよ!」
右手を掲げ、勝利の決めポーズ。と、同時にベームに拘束術式を施す。
「噛ませ犬ハンターは手は抜かないッスよ………」
そう言って、周囲を見回す、既に戦闘は終わろうとしていた。
一時的に。
〜コモス村から少し離れた農業用納屋〜
「ツィラ、此処で待っていてくれ」
「ヴェルナー」
「安心しろ、皆無事だよ、俺も加勢してくる」
ツィラの肩を叩き、ラースは納屋を閉める。
「何処まで力になれるか解らないけど、俺も少しでも力に………」
と、その時。言い知れない悪寒が背に走る。
「…………!?」
はっとなって周囲を見回すが、見通しの良い畑には何も無い。が、嫌な予感はラースの背を去ることは無く、それどころか更に増していく。
「森…………なのか?」
視線だけを広大な森へと向ける。
〜コモス村 南部大森林〜
「キリールが劣勢状態です、御当主」
「ふん、所詮は女か………アレだけ大見得を切ってこの程度………」
「どうなさいますか」
「ほっておけ、依頼も果たせん無能モノなど惜しくは無いわ、最期まで潰しあいをさせておけ!」
森の中、たったの二人で何かを見ている。水晶が二人の間にあり、そこにはコモス村の状況が映し出されていた。
「それよりも、カリエール仕込みは出来ておろうな?」
「はっ、抜かり無く、キリールがしくじった後にコモス村に攻め込ませるオーガの集団100、待機させております」
「ふん、上出来だな、ワシの野望がかなった暁には貴様の野望の支援を惜しむこと無く行ってやろう」
「はっ、有り難き幸せなれば」
片膝をつき頭を垂れるカリエール。それを見て満足げな笑みを浮かべ。
「そう、このダニー・ブセが、再び陽の目を見ることが出来ればな」
悪人のごとき嘲笑をあげ、ブセは水晶玉を踏みつけるのだった。
(オーガの集団………)
気配遮断の魔術を使用し、ラースは二人の会話に耳を傾ける。一人は貴族だろうか、身なりは綺麗であるが顔に見覚えは無い。もう一人は魔導士用のローブを羽織、片膝をつき頭を垂れている。顔は……………何処かで見た覚えがある。しかし、出てこない。
(魔物の使役………隷属……特異能力!?)
その時、ラースの中で何かが閃き、魔導士の男の名前が頭を駆け抜ける。
(モンスター使役士、エッカルト・カリエール)
かなりの特異能力でユニークスキル、異端であるが故にシャリオから放逐されたはず。その男が何故。とにかく、今は村に戻ってこの事を報告しなければ……………と、そこでいつの間にか、カリエールがこちらを凝視していることに気付く。
(………しまっ!?)
と、思ったときにはもう遅い。周囲をオーガに囲まれる。
グォォォォォッ!!オーガが咆哮、それと共に手に持っていた鉈をふるい始める。
「オーガ共、その冒険者を逃がすなよ、殺せっ!」
カリエールが怒声を上げる。
「カリエール、もうよいコモス村にオーガ共を向かわせろ、皆殺しだ!!」
「はっ!!」
刹那、ラースに襲いかかったオーガ以外がコモス村へと進路をとり始める。
「くそっ、村に………」
動き出すオーガの集団。だが、ラースにはどうすることも出来ない、それどころ目の前のオーガすら手に余る。頬を嫌な汗が伝う。しかし、やらない訳には行かない。
「旅団カモメ C級、ヴェルナー・ラース、かかってこい!!」
オーガを前に、声を荒げ気合いを入れる。魔導石の武器両手剣を持ち戦闘を開始する。
〜コモス村〜
「厄介じゃんかよ、ベンソン!」
「解ってます、アグーテさん!」
団長であるジャコモが撃破されたのを尻目に、未だに淳を崩せずにいる二人。アドルノ一人にやられた淳であるが、どうやらアグーテとベンソンには若干荷が勝ちすぎる感がある。しかし、アグーテとは別にベンソンに動揺の色はない。それどころか何処か楽しそうでもある。
「副長に倒されたとは言え、団長を倒した奴の仲間、楽しみですよ」
「ベンソン!」
「アグーテさん、ベームさんじゃ無いですけど、この獲物僕が貰います、アグーテさんは団長の方に………」
冷たい声音。こうなるとベンソンは敵しか見えなくなる。アグーテは反論したいのも抑えジャコモの方へと走り出す。
「相方さん行ってしまいましたね………」
拳銃をクルクル回しながら淳。ベンソンは無表情でじっと淳をみつめる。互いに無言、だがその間は数秒、次の瞬間には戦闘に入る。パンッ。移動しつつの射撃。一発撃つ度にスライドから廃薬莢が飛び出す。
「見れば見る程不可思議な武器ですね、中距離ならかなり、でも!」
そこまで言ってベンソンが距離を詰める、射線に入らない様にジグザグに動く。
「見慣れなくとも、戦闘が続けば対応策位ですかね」
嘆息して拳銃を変化。
「さぁ、行きましょうか!?」
そう気合いを入れた時、手にはまたもベンソンの見慣れない武器。形状から飛び道具では無さそうだが。鎌の柄の先には鎖が付いており、鎖の先には鉄の塊が付いている。
「………………」
警戒して距離を詰めるのを止め、一度後方に。戦闘姿勢は崩さずに無言で淳の武器を睨み付け分析する。
鎖の長さから射程は5メートル程。多分鉄の塊を投げて、相手が距離を詰めた所を鎌で攻撃なのだろう。そう考えながらベンソンは戦闘のプランを組み立て行く。
そして。組上がったプランと同時にベンソンが再度走り出す。それを見て一度だけ口元に笑みを浮かべ、迎え撃つ淳。
コモス村の乱戦は未だに続く。
その裏で蠢いているモノに誰も気付くこと無く。




