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日帰りで異世界に行ってみよう!  作者: プラズマ
正規昇格初任務編
65/136

日本時間は午前10時です

閲覧有り難うございますm(__)m

「ふぁぁ………」


多分、いや、確実に日本なら土曜日の朝だろう。コモス村からはマリアに渡された転移石でシャリオまで一瞬。その為では無いが結局、ほぼほぼ徹夜のような飲み会に付き合う羽目になってしまった。


「純一は…………まぁ、見ずとも結果通りですかね」


苦笑しつつ、淳は酒場の至るところで寝転ぶ人々に視線を向けながら、酒場の外へと出ていく。


「眩しい……」


外へ出て、まず淳を出迎えたのは高く上がった朝日だった。手でそれを覆って、ゆっくりと村の周囲に視線を廻らせる。


中央には村の水源、井戸があり、それを囲むように様々な建屋が建てられている、酒場もその一つだ。

村は頑強な柵に守られ、低級の魔物の突破を完全に防げる程のモノとなっている。


「中々に堅牢、それに周囲は森に囲まれて自然の恩恵に恵まれていますね」


思ったことを口にする淳。一歩二歩と中央に歩みを進めると、昨日村の入り口にあったアジッチの商隊の荷馬車と辻斬りの護送馬車が無くなっていた。


「そうですか、もう行ってしまったんですね」


任務があればまた会う機会もある、そう心中で考えながら更に歩を進める。村は言うまでもなく大きくは無く歩いて数分で全てが回れてしまう程度。が、それでも淳の眼にはそんな村が新鮮に映る。と、ふいに時間が気になり腕時計(日本時間)に視線を落とす。


「10時……ですか………」


そろそろ帰る時間、ついでに未だに酒場で眠る純一を起こそうと、酒場に向かおうとしたその時。村の入り口付近から、言い知れない殺気を感じる。


……………………………


じっと、ただじっと視線を凝らす。確認は出来ないが、嫌な予感だけはおさまらない。


「何だと言うんでしょうか………」


現れない何かに緊張しつつ、それでも警戒だけは怠らない。が。周囲にいる村人達は気付いていないのか、平時の様に振る舞っている。


(僕の…………勘違い………)


視線は離さず、しかし、変化の無い入り口と、周囲の村人の反応に、自分の勘を疑ってしまう。


変わらない入り口。


変わらない村人。


変化は無い、無い筈なのに嫌な予感だけが拭えない。ただじっとじっと視線だけを村の入り口に固定。何時しか手には魔導石を変化させた拳銃が握られている。


(やはり、気のせい…………)


じっと、ただじっと睨み付ける淳の視線、変化は無いがしかし、一つだけ膨れ上がってくる。


殺気。


姿は確認出来ないが、確実に殺気が膨れ上がってくる。


(魔物………………)


咄嗟にそう思い、入り口から森の方へと視線を移した刹那。刺すような殺気が背中を襲い、同時に。激しい衝撃に吹き飛ばされる。


「グッ!!?」


呻いた時には地面を数メートル転がり、村の中央へ。それを間近で見た村の女性は何事かと声をあげる。が、それと同時に村の入り口には十人程の武装集団が現れる。


「はっ、勘づいたまでは良いけどよ、そこまでだな」


「ベーム!」


「わぁってるよアグーテ、まだ酒場にまいるからな…………」


と、そこまで言った時、正面で転がっていた男、淳が立ち上がる。


「くっ、警戒して正解でした、それでも効きますね………」


魔導石の拳銃をスーツの袖口に隠し、淳は砂ぼこりを払い、20人程に膨れ上がった武装集団を睨む。が、睨んだ先、武装集団の1人は。淳の行動を鼻で笑い。


「はぁ、1人で何が出来る?軽装の冒険者!」


強気の武装集団の男。だが、ニシノ要塞防衛戦で死地をくぐった淳も負けてはいない。劣勢と解って焦っていても表情には一切出さない。


「余裕か………小僧………」


淳の口許に笑みを張り付かせた表情に苛立ちを覚え、ベームが一歩踏み出す。


「気に入らねぇよ小僧」


「さて、あまり僕と年齢が離れているとも思えませんが?」


「舐めやがって!」


「ベーム、挑発よ、乗らないで!」


「はぁ、アグーテ、俺はあの手の飄々とした奴が大嫌いなんだよ、覚えとけ、旦那!」


「好きにしろ………」


リーダー格の旦那と呼ばれた男が言葉少なに許可を出す。


「しゃあっ、アグーテ、ベンソン、手出すなよぉ、旦那の許可は出たからなぁ!!」


魔導石の武具であろう西洋剣を抜き身で持ち、一歩、更に一歩と前にでる。


それを見て、淳は一度だけ周囲、敵を見回し。思考を巡らせる。

と、そんな淳を見て。ベームは。


「くはっ、余裕は………無さそうだな、お仲間も出てこねぇ見てぇだし、どぉするよぉ!?」


淳の無表情を焦りととったのか、ベームは口許に笑みを張り付け勝ち誇った言葉を吐き出す。が、しかし、淳はさして表情を変える事無く。


「まぁ、今は僕1人なだけです、もう少しすれば数百人クラスの冒険者が殺到しますよ」


「言ってろ、こんな閑散な地方の村落によ、ハッタリは通用しねえっ!!」


言葉が終わるよりも早く、襲いかかる。


「速いですねっ!!」


接近を予期して淳も拳銃を構え発砲。銃口から火花が迸り、薬莢がスライドから飛び出す。


「なっ!?」


いきなりしかも魔術でもない攻撃に一瞬戸惑うベーム、だが戸惑いは一瞬。すぐさま脚を止めて防御術式を展開。寸前のところで銃弾を防ぐ。


「なんだそりゃ?」


銃を知らないこちらの世界の人間にとって、何のモーションも無い発砲は、驚愕以外の何でもないベームは目を見開き淳を直視する。


「けったいなもんをよぉ持ちやがって」


「けったいとは失礼ですね、れっきとした僕の武器ですよ」


拳銃をクルクル廻しながら飄々とそう言ってのける。これで少なくとも簡単には距離を詰めては来ないはず。前回の辻斬り戦で、小口径の銃弾では動きは止めれても、突進は止めれないと学んだのだ。


「ノーモーションは厄介だな、でも俺も魔術の無詠唱には多少なりとも覚えがあるぜ!!」


刹那、火花が迸り火球が数発展開、それと同時に淳目掛けて襲いかかってくる。


「無詠唱、やりますね」


さほど驚く様子もなく至って冷静に淳は飛来する火球に対処。左右から襲い来る火球は魔術障壁で、そして正面から飛来する火球には。


「正面は力押しで」


拳銃を大口径へと変化、ズドンッ。重苦しい発砲音が響き渡り、火球はかき消される。


「おっ!?やっぱりその魔導石の武具がネックかおい?」


「さぁ、それはどうでしょうか?」


拳銃をクルクルクルクルと廻しながら、飄々と言葉をかわす。と、それを見たベームは。


「なら、第2R開始といきますかぁ!!」


再び剣を握り直し、ベームは淳と相対する。

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