扉の向こうは日本!!そして…………
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ユリから冒険者として説明を受けた三人は、事後処理をギルドと正式に所属することになった希望の翼へと任せ、日本への扉をくぐる。
ガチャリ、と普通のドアがごく普通に開くのを確認して三人は扉をくぐる。
「あら、お帰りなさいまし」
そう第一声をかけて来たのは、事務所の代表兼店長のマリアだった。何時も通り事務机が人数分あるだけの代わり映えの無いそこで、マリアは何時もと変わらない素振りで三人に応対する。
「ういっす姉御、そう言えば怪我はもう良いのか?」
「そうですわね、回復士のお陰でもうすっかりですの、それに淳の対応も早かったですの」
そう言って、椅子から立ち上がり刺された腹部を軽く叩いてみる。
「まぁ、そうは言ってもかなり危険な状態でしたから無理はなさらずに」
軽く元気アピールをしたマリアに苦笑して、淳が一言釘をさしておく。言われた本人も軽く頷いてソッと椅子に座り込み。
「そう言えば聞きましたの、正規昇格が決まったそうですのね、まずおめでとうと言わせてもらいますの」
「ありゃま、またマリアさんにしては偉い殊勝ッスね」
マリアの畏まった態度に純一がツッコミを入れる、入れられた本人は苦笑いを見せて。
「まぁ、私の推薦した三人ですから一様ですの」
「一様かよひでえ……」
今度は苦笑いしながら、昌晃がツッコミを入れる。すると。
「三人共進路は定めましたの?」
「「「進路?」」」
「そうですの、ソロ冒険者になるか、旅団に身を置くかの選択ですの?」
自身の事務机に両手を当てて、少しだけ身を乗り出し、コチラの進路について聞いてくる。が、三人は今しがたその選択を選んで来たために何の躊躇もなく。
「「「旅団!」」」
とだけ答える。するとそれを聞くなりマリアは納得したように数度頷いて。
「どうやらフランに気に入られたみたいですのね……」
と、み笑みを浮かべる。
「フランって、団長さんッスね?」
「そうですの、元々私とフランはパーティーでしたの、まぁ、後一人いましたけど……」
そう言って一瞬だけ遠い目をして、マリアはユックリと三人に再び視線を向ける。
「にしてもよぉ、姉御が団長とパーティー組んでたなんてな!」
「確か、かなり凄腕だったとか?」
「ッスよね、確か王国十傑のS級の一人でしたもんね店長は」
「フフリ……まぁ、私程になると余裕ですの」
「で、姉御は何位だったんだよ?」
「確かに王国十傑と言うくらいですからね」
三人が興味の視線を向ける。するとマリアは一度鼻息を荒げる素振りを見せ。
「6位ですの、チルダ王国最高戦力十傑第6位ですのよ」
「……………………6位」
「何か微妙ッスね」
三人が三人共に微妙な表情を浮かべる。それを見てマリアは。
「ちょっとちょっと、何ですのその顔は元とは言えS級ですのよもっと驚いても良いんではなくて?」
心外と言いながらマリアが三人を睨み付ける。が、当の三人は視線をそらしてなに食わぬ表情をする。
「はぁ、まぁ良いですの、それよりも三人はこれからどうするおつもりですの?来週からは、学生生活も始まるんですわよね?」
「確かに、講義が始まれば長期任務にはつけそうにもありませからね…………」
「せっかく正規の冒険者になったんスけどね」
それぞれの執務机に座り、椅子に背を預けて、それぞれ天井を睨み付けるのだった。
〜まぁ、その辺りはゆっくり考えてくださいまし〜
あせる必要はない、マリアは旅団に所属し尚且つ異世界人と言う事もあるからと三人に伝え、事務所を後にさせる。後にした三人は、久しぶりの日本の土地を歩きながら周辺をみやり。
「なんつうか、ドア一つ隔てただけで環境はここまで変わるんだな………」
「まぁ、ヴォバックは魔法がある代わりに町並みは中世ですからね……」
「兎に角、安心するッスね平和な日本で」
「あぁ、平和な………か…………」
と、妙に歯切れの悪い返事をする昌晃。それに違和感を覚えた淳は。
「どうかしましたか、昌晃?」
「ん、いや……何か拍子抜けしてよ………」
「空気が平和過ぎて、ですか?」
「まぁ………そんな所だな、向こうは異常過ぎるほど殺伐としてたからな」
「確かに、でも、あそこまでの大規模戦闘は稀だって、店長さんも言ってたッスからね」
しっかりと整備されたアスファルトの歩道を歩きながら、三人は感じていた違和感を口にする。だが、三人の本当の違和感は。
どっちが本当の日常になるんだろうな………
と、誰とも知らない声が三人の耳に届くのだった。
<ヴォバック イノセント帝国>
昌晃達が日本へと帰ったその日、イノセント帝国には二人の異世界人が召還される。
広い広いただ広い広間。天井までは20メートル位あり、場所自体も球場程の広さがあり、周囲には国の国旗らしき垂れ幕がビッシリと並べられている。そんな広大な広間の中央には床に刻まれる様に巨大な魔方陣があり、その中央には二つの人影があった。
ここは…………
どちらともない、そんな不安の声音を静かな広間に響かせ、人影は周囲を見回す。見たことの無い場所、先程までいた場所とは明らかに違うそこで、二人はあからさまに混乱する。
と、その時、二人を囲む様に、今度は三人の人影が現れる。
「召還は成功かヴォルフ?」
「ん?あぁ、成功だな、魔方陣の上に人がいるのが証拠だ」
「転移……じゃないのか?」
「あぁ、見りゃ解るだろフライシャー、あの格好異世界人だよ」
そう言って会話をするのは、漆黒の騎士甲冑を着こんだ大男と同じ様に漆黒のローブを羽織ったイケメンだった。
「確かに……あの服装、文献の異世界人と似ているな……」
「だろ、やはり俺の魔術召還理論は間違ってなかったんだな」
自分の理論といって大きく頷くイケメン。だが、大男は。
「先人達の基礎理論あってこそだろヴォルフ、それに召還を行うにあたって魔力補充用の膨大な魔石を用意してくださったのは陛下だ」
「わぁってるよフライシャー、お前に言われなくてもな………」
と、魔方陣の中央の二人を置き去りにして大男とイケメンが言いあいをしていると。
「二人ともその辺りにしておけばどうだ」
と、今度はそんな二人をたしなめる声。そこには二人よりも更に存在感を発揮する一人の男。その男を見てたしなめられた二人は。
「も、申し訳ございません陛下」
そう言って、大男フライシャーが膝をついて頭をたれる。勿論イケメンヴォルフもそれにならう。すると、陛下と呼ばれた男は一度だけ手でそれを制し。魔方陣の二人へと向かい。
「いきなりの事申し訳なく思う、私はイノセント帝国皇帝、シュテフェン・イノセントだ、君達の名前は?」
これが後に帝国最高戦力と言われる異世界人の召還だった。
次回より新章です!




