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正式に冒険者

閲覧有り難うございます!

〜防衛戦から一週間後 シャリオギルド支部〜


結果として、何の異論も無く三人は正式に冒険者へと昇進することになった。その為研修旅団からの許可をギルドに伝えるべく三人はシャリオのギルドへと足を運んでいた。


「何やかんやでシャリオに戻って来たなぁ………」


「確かに、言い様のない懐かしさを感じますね」


「そっすね、昌晃、淳、これで日本に帰ったらどうなるッスかねぇ」


「「確かに………」」


と、そうこうしているうちにギルドへと到着。扉を開けると中には何時もの喧騒が待ち構えていた。


「うは、何時もの喧騒ッすねぇ」


「要塞防衛戦の間は、主にソロ冒険者がかなりフォローしていたらしいですからね」


多数の窓口に殺到する冒険者を尻目に三人は目的の人物の前に。


「ユリさんお久しぶりです、支部長さんにお会いしたいのですが」


と、代表して淳。すると、ユリは一度三人の顔を確認して。


「無事でなによりね、支部長は支部長室にいふるから、そのまま進んでくれる?」


そう言って、支部長室を指し示しユリは他の冒険者の対応に戻っていく。



〜支部長室〜


「失礼します……」


ノックの後、部屋からの返事を待って三人は入室。支部長室だけあってかなりの広さと、客人をもてなす高級な調度品が多数備え付けられている。それらを少しだけ見つめながら、三人のリーダー的存在の淳が口を開く。


「支部長、希望の翼団長からの研修終了と正式に冒険者への昇進の通知書です」


「そうか」


研修課程終了と冒険者適性資格ありの書類を支部長へと手渡し、淳は他の二人と同じ位置に下がる。そして、書類の封筒を見つめ支部長は。


「先ずは研修課程の無事終了おめでとう、そして、これからの君達の活躍を期待する……」


などと、テンプレート的な言葉を支部長が口にして、ある程度の所で一拍置き。


「まぁなんだ、君達とはほとんど関わりは無かったが、報告はマリア君から聞き及んでいたからね、その評価を聞いていれば今回の結果も妥当なのだろうな」


笑みを浮かべ、支部長がそんな事わを口にする。それに釣られ三人も釣られて苦笑する。


「兎に角、今回の昇進はチルダ王国最高戦力の一角、イーグレット君が承認したんだ、私としてはこの件に異論はない、兎に角、今この時から正規の冒険者として励んでくれ、おめでとう三人とも!!」


最後にそう締めくくり、支部長は三人と握手を交わして、終わりとなった。実に簡単なモノだ。



〜シャリオギルド支部内会議室〜


支部長との面談の後、三人は職員であるユリから案内されて支部の数ある会議室の一室へと案内される。そこはさながら学校の教室程の広さがあり正面の黒板を睨むように長机が並べられていた。


「三人とも好きな所に座ってね………」


言い終わるより先に、昌晃が会議室の一番後方、窓際の席に座る。それを見てユリは。


「藤堂君………どうしたの?」


と、もっともな一言。それを聞いてハッとなった昌晃は頭を掻きながら。


「はは……癖が………」


そうとだけ言って、前の席に。それを見ていた他の二人は苦笑しながら昌晃の肩を叩いてやる。そして、三人が着席するのを確認して、ユリが咳払いを一つ挟み会話を始める。


「今回は正規冒険者昇進おめでとうございます、正直正規になったからと言っても大筋は研修の頃と変わりません」


赤い眼鏡を押し上げ、ユリが黒板に説明を補足するように書き出す。


「まず、一番の違いは受けられるサービスです、研修の頃は旅団の庇護にあるために様々な補助を旅団で受けていたと思います、しかし、正規となるとそうは行きません、ここまでは解りますか?」


と、ここで一度言葉を区切るユリ。すると。


「確かに、ソロ冒険者もいますからね」


「その通りです、ではまずソロ冒険者のメリットデメリットから」


咳払いを一つして、ユリは黒板にソロ冒険者のメリット、デメリットを書き連ねていく。


「一つ、ソロ冒険者は動き易いと言うことです」


「動き易い?」


「はい、当たり前ですが、ソロ冒険者は基本的に旅団と違い、一つの拠点を持つことはありません、その為に様々な場所へと向かう事が出来ます」


そう言いながら、ユリは更に黒板に説明を書き出す。


「勿論、色々な場所へ自由に行けると言っても限界ははあります、例えば国家や、その地方管轄の危険監視区域などです、危険監視区域は基本的に旅団のように密な連携を取れる冒険者でないとかなり危険ですから」


「だけど、ソロ冒険者だってパーティーは組めるっしょ?」


と、ユリの言葉に質問わ返す昌晃。しかし、ユリはその質問にゆっくりと首を振り、柔らかに否定すると。


「確かにソロ冒険者でも臨時パーティーは編成出来ます、しかし、あくまでもソロは自身の利益が一番です、ですからトラブルも多々あります」


「例えば?」


と、手を挙げて純一。すると、ユリは黒板へ書く手を止めて。赤い眼鏡を押し上げ。


「そうですね、代表的なモノだと報酬の持ち逃げ」


「持ち逃げ!?」


呆れた表情で昌晃。


「えぇ、やはり高ランク冒険者の臨時パーティーだと危険監視区域でもそれなりに成果をあげる事ができます、そうなると報酬も高額になり………」


「身の軽いソロ冒険者は、報酬を持って何処へなり……ですか……」


淳がユリの後に続く様に言葉を紡ぐと、ユリもゆっくりと頷き。


「勿論そうならない様にギルドとしてもそれなりのペナルティは設けていますが、それでも額が額ですから………悲しい事です」


そこまで言って首を左右に振り、ユリは顔を上げ。


「兎に角、ソロ冒険者は移動などが自由である反面、行けない場所もあると言う事です、で」


と、そこで言葉を区切り再び黒板にチョークを走らせ。


「次に越境の自由です」


「「「越境!?」」」


越境と言う言葉に三人が驚くと、ユリは少しだけ怪訝な表情を浮かべ。


「はい、冒険者ギルドは他国にもありますよ……」


さも当然という感じでユリは三人に説明するが、ここヴォバックに来て数ヵ月、チルダ王国以外を知らない三人にとっては驚く言葉だった。


「あぁ……ですよね、チルダ王国以外……あっても不思議ではない……

ですよね」


淳が天井を仰ぐ。が、ユリは一度だけ苦笑して。


「確かに異世界………じゃなくて……日本人だもんねこの世界の事は解らないか、なら」


咳払いを一つして、今までの文字を消し、黒板に新しく何かを書き始める。


中央の小さな島を囲む様に三つの大陸。その中の北の大陸、その東側半分にチルダ王国の名が書き込まれる。


「まず見てもらったら解ると思うけど、私達チルダ王国があるのがアダマント大陸、そして大陸を二分しているのが友好国のヴィスド魔導王国」


「確か、ニシノ要塞から二週間位の国境線に両国合同の魔導学院がありましたね?」


「その通り、千鳥君よく知ってるね、確かに国境線、正確には中立地帯に魔導学院はあるの、ここでは最先端の魔導が日々研究研鑽されているわ、で」


と、今度はチルダ王国の南東、海峡で接している大陸を指差し。


「ここはイノセント大陸、海峡で陸続きでは無いけど、チルダ王国と国境を接しているの国が、大陸名にもなっているイノセント帝国、過去チルダ王国と大きな戦争があって、現在国交は無いの、もし冒険者としてイノセント帝国に行くとしても、オススメは出来ないは」


「何故です?」


「うぅん、帝国は冒険者をよく思っていない風潮があるみたいだかし、それにチルダ王国所属の冒険者なんて知れたら帝国内で指名手配になると思うから」


「なるほど」


ユリの言葉に頷く淳。他の二人も、とりあえず納得の表情を浮かべている。


「で、イノセント大陸の南方、帝国と国境を接しているのがテラス王国、テラス王国と国境を接しているのがシンス王国」


黒板の大陸を示しながらユリが何かを書き込んでいき。


「現在イノセント帝国とテラス王国は友好国で、そのテラス王国はイノセント帝国の後ろ楯のもとシンス王国と戦争状態にあるの、最近は傭兵紛いの冒険者がここに腕試しに行くことが多いみたい」


「はぁ?戦争に腕試しって、この世界は人殺しもちょっとお使い見たいな感じなのかよユリ姉さん!」


「お、お使い………まぁ、表現はどうかと思うけど、冒険者は名声も重要なファクターの一つだから、まぁ三人もこの世界で冒険者をやるなら追々ね」


苦笑いしながらユリは黒板に描かれた次の大陸を示し。


「次はレリュード大陸、ここも大陸名を冠するレリュード皇国があるの、ここは南北を砂漠と森が二分していて大陸中央部に皇都があって、少なからずチルダ王国とも国交があるわ………かなり遠い国だけどね、それでも国家の90%が砂漠とジャングルだからこちらから冒険者を送る事も少なくはないわ」


そう言って区切りをつけユリは最後、各大陸の中央に位置する小さな島を指差し。


「この島国はヒノモト国、アナタ達には馴染みが深いかも」


「ヒノモトって事は、まさか?」


ユリのそんなモノ言いに昌晃が反応。するとユリは小さく頷いて。


「そう、ここの祖先は、アナタ達と同じ世界の住人だと言われているの、その為にこの島の冒険者はかなりレベルが高いと言われているの」


「高いと言われてる?」


「そう、基本的にヒノモトの国は他国との国交がないから……」


そこまで言ってヒノモトの国は情報事態が少ないことを聞かされる。


「まぁ、ヒノモトの国の人に会いたいなら、唯一の国交があるヴィスドに行ってみるのもいいわね」


と、ユリが頭から自身の聞いた知識を思い出す様にして、説明を付け加える。


「まぁ、それでも今僕達がするのは足元を固める事ですね、確かに冒険も異世界の醍醐味ですけど、それも実力あってこそですから………」


「あぁ確かに淳の言うとおりだな、チートっぽいけどチートじゃない……」


「そっすね、魔力だけっすからねぇ〜」


何処と無く天井を仰ぎ、三人は苦笑いを浮かべる。確かに魔力だけはチート以上だが、それ以外の実力はまだまだ並みちょい上。それを考えればまだまだ冒険など。


「なら、ソロ冒険者より旅団に所属するのがオススメね、確かに色々な制限はあるけど、それでも旅団は経験を積むには持ってこいね、それに希望の翼はS級団長が率いる数少ない旅団だしね」


ユリはそう言って一枚の紙を差し出してくる。


「一様、迷っていたら渡してって、イーグレットさんが言ってたから」


言葉の区切れと共に紙に視線を落とすと、ソコには希望の翼入団届と書かれていた。


「はは、団長自らのスカウトか?」


「いえいえ、少ししかお会いしていませんが、見た感じ面倒見の良さそうな方でしたから、実力を見込んでと言うよりも困っている僕らに手を差しのべる見たいな感じでは?」


「あぁっ、淳は夢がねぇなぁ!!」


「まぁ、夢が無いわけでは無いですが過度な期待をしてないだけですよ」


「まぁ、兎に角二人とも、俺はこのまま旅団のつもりッスけど、どうします?」


二人のやり取りに純一のツッコミが入る、が。


迷う事無く三人は入団の書類に名前を書き込むのだった。

間もなく新章が始まりますm(__)m

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