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ニシノ要塞防衛戦15  決着

閲覧ありがとうございます!

バカンッと言う鈍い音と共に戦斧が宙を舞い、最期ゴブリンナイトの首がゴトリと地面に落ちる。


「ぶはぁっ!!」


と、日本刀を地面に突き刺し、大きく息を吐いたのは昌晃。だが何時までも安堵は出来ない、まだゴブリンキングがいるのだ。


昌晃は一度だけ視線を下に落とし間を置くと、淳とともにサッとゴブリンキングへと向き直る。


「さぁて、どうするよ?ゴブリンキングさんよぉ!?」


言葉が通じる為、凄みながら一歩。


「確かに勝負はつきました、ここでゴブリン達を撤退させてくれるならこれ以上の戦闘は止めましょう……」


警戒は怠らずに淳が交渉を持ちかける。勿論相手がそれで引いてくれる、という安易な考えは持ってはいないがそれでも、もしかしたらと言う期待感はある。


「さぁ……」


更に一歩。淳が手を広げて、解答を求めると。



「否、アリエナイ……ワレラはあのオカタのお陰で人間共と対等以上に戦えてイル……ならば退くなどはアリエナイ……」


刹那、ゴブリンキングが咆哮、同時に魔術を行使しようとした、その時。


ズドンッ!狙撃音が響き渡り、ゴブリンキングの頭が弾け飛ぶ。


勝敗は余りにも呆気なく決するのだった。





「………はずだよなぁ!?」


ジト目とまではいかないものの、昌晃は息を切らせながら淳に視線をおくる。


「はぁ……まぁ……」


何とはなしにため息を吐きながら淳も現在の状況に視線を巡らせる。


状況は混戦。


ゴブリンキングの死を知った雑魚ゴブリン達は、統制を失ったものの、支配者を失った怒りを淳達に向けて来たのだ。


その数おおよそ500。一体一体はそれほどの脅威ではないが如何せん数が多すぎる、それに先程のゴブリンキングとの戦闘で戦死者を出し、あまつさえ疲弊していた。そのために相手が現状雑魚ゴブリンだけとは言え淳達は苦戦を強いられていた。


「兎に角このまま消耗戦はじり貧です、パーカスさん!?」


「あぁ、解ってるよ研修共、今は逃げるのが優先だ、回復魔術士を守りながらこの場から撤退だ!」


もう何度目かになるその言葉を吐きながら、生き残りのメンバーは、森の中を、方向感覚を失いながらも必死に走り抜ける。


四方八方から襲い来るゴブリン。持っている武器はみすぼらしいがそれでも当たればダメージになる。回避を続けながらも生き残りのメンバーはただ前を向き必死に走る。


「研修、前衛の数が少なすぎる、魔導士の護衛に一人回してくれ!!」


「了解です、純一!?」


「了解っス!」


魔導石を近接戦闘用のショットガンに変換して後方の守りへと入る。正直魔導士、回復士の数に対して、魔導剣士の数が少なすぎる、その為にどうしてもゴブリンの接近を許してしまう。


「それに、移動速度もかなり鈍重になってますね………」


ゴブリンの速度に対して、こちらの撤退速度がかなり遅い。仕方ないとは言えそれがゴブリンの波状攻撃を許しているのも確かな事実。


「でもよ、仲間は見捨てらんねぇよな……」


正面で戦闘を行いながら、昌晃が淳に語りかける。当たり前の事を当たり前に言葉にするが、それでも今はその覚悟を口にするとたしょうなりとも意志が揺らぐのを防げる。


「兎に角、今は生き残ること……ただそれだけですね………………」


森を駆け抜ける、撤退戦はまだまだ終わる様相を見せる気配すらない。





一月後

〜ニシノ要塞 作戦会議室〜


「……報告は聞いた、やっとゴブリン共が崩れたそうだな?」


「はい、偵察部隊からの確かな報告です、現在敵戦力の六割をまかなうゴブリンが統制を失い1ヶ月、今やっと崩す事に成功しました、それにともない他の魔物の動きにも変化が現れています」


「ふむ、どう見るかな諸君?」


そう言って周囲に意見を求めたのはニシノ要塞、総隊長のドナテラ・ドックス、顎にたくわえた髭を触り反応をまつ。


「さぁね……僕は、フランチェスカを助けに来ただけだから、ねっ?」


全く関係の無いことを言いながら、Sランク魔導剣士のラグナ・ラグーナが隣にいるフランチェスカの肩を抱こうとする。勿論フランチェスカは涼しい顔でそれを避け。


「もしかすると、行方不明の人員が何かしら行動を起こしたのでは?」


「行動………」


「はい、例えばゴブリンキングを討伐した………とか………」


「はっ、あり得ないよゴブリンキングは強敵だよ、生き残り程度で……」


と、嘲りながらラグナ。だが、それを聞いたフランチェスカは表情わ曇らせ。


「ウチの団員を見捨てて良くそんな事が言えるわね、ラグーナ?」


「ん?勘違いしないでくれフランチェスカ、僕は彼らを危機から救ったよ、ただ案内しなかっただけさ……………」


「アッサリと、ふざけてるのか!?」


イラッとして立ち上がるフランチェスカ、それを見てすかさず副団長のゲオルグが静止に入る。


「ラグーナさん、いい加減にしてください、ウチの団員も含め、今も森には多数の友軍が孤立してるんですよ!!」


「ん、だから?孤立ぐらいで何言ってんの?」


「なっ…………」


「たかだか下級魔族に魔物の群れ、この程度に包囲殲滅されるならそいつらは、そのてい……………」


「おいっ!!」


ラグナの言葉を遮り、言葉を発したのは以外にもフランチェスカではなくゲオルグだった。


「はっ、どうしたんだい、エデン君?君は副団長として優秀だと聞いていたが………………」


脚を組み直し、ゲオルグを見ること無くラグナが言葉を発する。


「それに、君たちの実働部隊はほぼ無傷だろ、行方不明なのは役立たず………」


「アンタはっ!!」


激昂して、ゲオルグがラグナに掴みかかろうとしたその時。隣にいたフローダ団長のゼスがゲオルグを静止する。


「ハハッたかだかAランクがSランクにたてつく気かい……無駄な事さ」


ゲオルグを見ること無くラグナはただ一言吐き捨てる。が、その時。


「ラグナさん、その辺にしておいては………」


そう言って少女が一人部屋に入室してくるのであった。

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