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ニシノ要塞防衛戦5

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「クホォ!!」


妙な声をあげ昌晃が日本刀となった魔導武器を振るう。相手はゴブリンにオーク。囲まれても怯むことなく前進を続ける。


「糞っ、きりがねぇ!!」


一体いくら斬り倒したのかさえ解らない、それほどにゴブリンにオークを狩った昌晃。勿論それは近くにいた純一も同じ様で不意に苦笑し。

「30体くらい狩った辺りで数えるの辞めたッス……」


ショットガンを構えながら呟く。


と、その時。二人の背筋に言い知れない悪寒が走る。例えるなら猛獣を前にしたときの様な緊張感。圧倒的な戦力を前にした時の恐怖感のようなモノを。


「なん……だコレ?」


「魔物でコレほどの魔力量……いるんスか?」


正面、鬱蒼とした森の為に姿の確認は出来ないが、それでもそれが圧倒的なのは解る。体が緊張し、頬に冷や汗が伝う。何時しか、相手の気配が近づく度に二人は一歩一歩後退する。


そして。


「………逃げませんか?」


ガサリ、草木をかき分けることなくただ歩いて、その存在は二人の前に現れる。

貴族服に身を包んだ不気味な男。そして、それは身なりにも現れていた。


血血血血血血血血血。


全身至る所に返り血を浴びているそれは、不意にこちらに笑いかけ。


「存外、膨大な魔力量を感じて来てみれば……コレはコレは異な格好……」


全身を舐めまわすように視線を這わし、男は更に口元を釣り上げ。


「食べ外のありそうな………」


刹那。悪寒にも似た殺気を感じ、昌晃が場所もわきまえず後方に飛ぶ。案の定大木に激しく背をぶつけるが、同時にさっきまでいた場所、その地面が抉れる。


「!?」


嫌な感じで反応は出来たがどんな攻撃かは解らない、それ程に相手のスピードが速かった。


「ふむふむ、嫌に勘がいいようだ……コレはコレは」


こちらが攻撃を回避したのを、素直に感心する男。その目はただただ珍しいモノを見るような目。勿論戦場には全くもってそぐわない。


「誰だテメェ?」


巨木にぶつけた背をさすりながら、日本刀をしっかりと構え昌晃が相手に問う。現状は魔物と相対しているのであって人間が相手ではない。


「ん、ワタクシですか?」


と、何者かと問われた男は、昌晃をジッと見つめ。それからスッと力を抜いて。


「魔族………と言えば解りますか、まぁ下級ではありますが、歴とした魔族ですよ、低脳な魔物とは一線を画す……」


その後の言葉は聞き取れない。と言うよりも聞き取れる状況にはなかった。不意に武器化した魔導石が魔力の譲渡を脳内に要求したと思った刹那。自身の身体が地面を転がる。



昌晃!?


どこかで声が上がるが、今はそんな余裕も無い。



「ふむふむ、かなり力を入れたつもりでしたが存外、堅いものですな、人間の魔術防御も………」


速すぎて見えなかったが、魔族を名乗った男が自信の腕を振りながら、こちらにジェスチャーのような仕草を見せる。昌晃は十数メートル先で何とか立ち上がると。


「バケモンが………」


そう言って片膝をつく。意識は保っているが今の状態で魔族の次の攻撃は受けきれない。自身でも解っているが脳内では魔導石が危険信号を鳴らしている。


「普通は俺らみたいな異世界人はチートじゃないんスかね?」


そう言いながら、ショットガンを構えて純一が援護に入ってくる。


「違いねぇ、現状膨大な魔力量以外のアドバンテージがみつからねぇな……」


素早く敵との間に割り込み、純一がそれ以上の追撃を阻止する。が、相手にとってそれがどの程度の効果を発揮出来るかはわからない。が、昌晃がかなりダメージを受けているためにやらない訳にはいかない。


「回復、どのくらいかかりますか?」


昌晃を見るなり純一が問うてくる。


「骨が折れたりはしてねぇ、回復士がいるほどにはダメージを受けてねぇから、現状五分だな……」


ダメージの分析をしながらそう告げる。


五分。


短い時間に感じるが、正直、正面魔族相手に五分持つか純一自身、甚だ疑問に感じてしまう。


「俺は本来、後方支援タイプのはずなんスけどねぇ」


ショットガンを構えて純一がおどけてみせる。


「はぁぬかせ、万能型のクセによ!!」


片膝をつきながら昌晃が皮肉る。それに苦笑いを浮かべ、振り返らず利き手をあげ。


「五分、何とか時間を稼ぐっすよ……」


そう言って、純一が森を魔族に向けて走り出す。




ズトンッ、銃口が火を噴き、硝煙が辺りに広がる。銃口からばらまかれた散弾は確実に魔族を捉えてその肉を抉る為に直撃。


「中々どうして……」


したと思われたが、魔族の感心した声が合図となって散弾が直前で何かに阻まれる。


「威力は中々、あと少し遅れていたら破られていたかも」


「かなり、ベストタイミングだったんスけどね!!」


皮肉を口にして、すぐさま巨木へと身を隠す純一。しかし魔族の一撃は巨木すらも易々と薙ぎ倒す程の一撃。そのために壁にして対抗するのは不可能。


「巨木を豆腐みたいによくやるッスね!!」


二度三度、速すぎる攻撃を勘と気配で交わし距離を取りながら火器で反撃。しかし、ダメージは与えられない。


「やっぱり、魔術の併用っスかね……」


更に発砲。散弾が木々を抉り魔族を捉えるが防御壁を破ることは出来ない。


「淳程魔力コントロール出来ねぇっスから……下手すると範囲魔術になるんスよ、他の正規兵や旅団員の位置もわからないッスし」


更に魔族と距離を取り、ショットガンを大口径の拳銃に変換。


「でも、相手が相手っスから……勘弁ス!!」


その瞬間、純一の拳銃に異常な程の魔力の収束が始まる。勿論、襲い来る攻撃を回避しながら。うまい具合に木々を盾に、純一は魔力の収束をしつつ時計に視線をおとし。


「後三分……」


頬に汗を伝わせ、そう呟く。正直、接近戦は昌晃にはかなわない、となると、昌晃を凌駕した攻撃力の魔族には接近戦ではたぶん勝てない。冷静に分析しながら純一は常に魔族を視界におさめて回避を続ける。


「なら、コレで!!」


脚に魔力を集中し、一足跳びに魔族へ。拳銃をしっかりと構え。


「ヒット&ウェイっス!!」


必中距離まで詰め。拳銃を発砲。実弾を魔力で包んだ弾丸が魔族を襲う。

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