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ニシノ要塞防衛戦4

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「ちく……アァァァガァギャァァァア……」


絶叫からの断末魔。旅団員の一人が力尽きた所をオークに捕まりその怪力で引きちぎられる。鮮血が飛び散り、それが他の旅団員に降りかかる。


「くそっパン、魔術援……」


援護、そう言うつもりだった男が後ろを振り返ると、そこにはパンだったモノが転がっていた。


「アバ、逃げ……」


「ヒルル!!」


アバと呼ばれた男。パーティー最期の生き残りヒルルもオークの凶刃にきざまれる。血飛沫を撒き散らし内臓をぶちまける。


「ヒルル!!畜生!!」


絶叫。最期の力を振り絞りアバが自らの剣を振るう。が、時遅く。四方を囲んだオークがりんちの如く鉈の様な剣を振り下ろす。



状況は逆転されていた。要塞からの援護も無く、散り散りになった正規軍旅団員は各個に撃破、いや、蹂躙されていく。


だずげで…………


しに……たく……


あぁぁぁぁぁぁっ!!


周囲を囲まれ、数に押しつぶされていく兵士たち。断末魔と悲鳴が数をまし、徐々に森の中には地獄が出来ようとしていた。


だが。勿論まだそれに抵抗しようとする者も少なくはない。甚大な被害を出しながらも、血路を開き要塞へと戻ろうとする者達。



「昌晃!!」


「わぁってる!!」


銃声。この異世界には存在しない、唯一無二の魔導武器。それを操りながら昌晃と純一は森の中を駆け巡る。


「兎に角、旅団員の方に合流っすね!?」


「それしかねぇだろ、俺らに土地勘はねぇんだからよっ!!」


言い終わると共に銃声。破裂音が二発響き。突進してきたゴブリンがそのまま地面に突進の勢いのまま倒れ込む。


「きりがねぇ!!」


「昌晃!!」


木々の死角から飛び降りてきたゴブリン。それを見つけて今度は純一のショットガンが火を噴く。ズトンッと音が響くと共にゴブリンの上半身が紙屑の様に吹き飛び、肉片と緑色の鮮血が。


昌晃に。


「ブハッ、きったねぇ!!ゲェッ!!」


まともに浴びて餌づく昌晃は口に入ったゴブリンの血を唾と共に吐き出す。


「ペッペツ……くそっ、純一……」


恨みがましい視線を向けながら昌晃は血にまみれたスーツを脱ぐ。


「俺のユニフォームがぁ!!」


「またまたぁ、魔術で洗い流せるっしょ?」


「そうだとしても、気持ちの問題だよ!!」


水筒の水を口に含みうがいうがいうがい。戦闘中にも関わらず昌晃はスーツを魔術で綺麗にする。


「あぁ、何か臭いが……」


「気のせいっすよ!!」


「お前が言うな!!」


これまた戦闘中にも関わらず大声。勿論この状況で寄ってくるのは。


仲間では無く敵。


「ワンチャン(ワーウルフ)が三匹にゴブリン、オークが多数……」


「あぁ糞っ、俺は一度で良いからこうやって美女に囲まれたいよ……」


拳銃のスライドを引き、再び戦闘態勢。敵はまだまだ増える一方だ。互いに背を合わせて死角を補う。この異世界に行き来するようになって、魔力を手にしてまだ3ヶ月。二人にとっては中々ににデンジャラスな経験である。


「こうして異世界の戦場に立つと、日本ってつくづく平和だな……」


「確かに……こんな血生臭い戦場なんて、アニメや映画の中の出来事ッスからね」


「まぁ……なんだバイトで戦場に立つとはな」


軽いため息を吐きながらも、二人は今自分の手にしている力に不謹慎にも感心してしまう。


勿論、人を殺すのが楽しい訳ではない。ただ、妄想の力が現実になったようで嬉しいのだ。


「さぁ、来いやぁ!!」


拳銃を正面に構え。再び戦闘に興じる。


「純一、正面!!」


昌晃の声に反応、ショットガンを胸の高さに構えて発砲。散弾が飛び散り突進して来たゴブリンを排除。巨躯のオークもゴブリンの後方にいたために武器を持っていた腕を吹き飛ばされる。


グォォォォォッ!!


断末魔。オークが声をあげのた打ち回り、そこにズトンッと更に散弾を浴びせる。頭部の吹き飛んだオークを一瞥して純一は直ぐに周囲に視線を向ける。


「これを見て怯んでくれると、助かるッスけど……」


やれやれと言った感じでため息をつく純一。だが、期待とは裏腹に、魔物達は目をギラつかせジリジリと距離を詰める。


「純一、この間火系の範囲魔術覚えたよな?」


「火系……あぁ、あれっすね」


「焼き払おうぜ!!」


不意に思い出したかの様に昌晃。だが、純一はゆっくりと左右に首をふり。


「無理ッスよ、コレだけ仲間が近距離でバラバラなんすから、巻き込む確率があるッスよ」


「そうかぁ……」


名案と思ったが、昌晃は純一の言葉に天を仰ぐ。確かに味方がどうなっているか確認出来ない状況では安易に範囲魔術など使えるはずもない。


「なら、現状維持で仲間と合流だな………」


仕方なしと言った感じで昌晃は一歩前に進み出すのだった。



要塞前面森林区 某所


「クヒヒ………」


小さく笑い声をあげ。貴族服を着た男が森の中を歩く。正面には鋼の鎧を着た屈強な旅団員が数人。それが剣構えて戦闘態勢を取っている。


「囲め、油断するな」


リーダーらしき男。


「俺らが囲んで時間を稼いでいる間に魔導士が高火力魔術攻撃だ」


囲んだ一人がリーダーに続いて言葉を発する。が、それでも正面の貴族服の男は不適な笑みを崩す事はない。


そして。


「うぉぉぉっ!!」


リーダーが絶叫した瞬間。四方から連携して旅団員が襲いかかる。



…………


「あぁぁ…美味しいぃぃ」


引きちぎった腕、そこから滴る血をのみながら貴族服の男は恍惚の表情を浮かべる。


「人間は良い食事、いや飲み物かな……」


口元の血を拭わず、ゆっくりと周囲に散らばる四肢に視線を送る。木にぶら下がった内臓。根元に転がる片足。枝に串刺しの頭部。散らかしたそれを眺め男はニヤリと笑みを浮かべる。


「人間は脆いな……」


一歩一歩、そう呟きながら魔導士の生き残りに詰め寄る。詰め寄られた女魔導士は周囲の状況と男に恐怖し絶望に顔を歪め。


「殺さないで……」


涙を浮かべ懇願する。が、男は。


「おやおや…精鋭の旅団員がそれではいけませんね…」


ヤレヤレと表情を曇らせた瞬間。男の手に腕が掴まれている。それを見た女がいきなり絶叫。


そう、それは自信の腕なのだ。


「!!!」


腕を押さえうずくまる女。だが男はそれを見て恍惚の笑みを浮かべ。


「あぁぁ、良い音色だ、もっと奏でてくださいよ」


と、言葉をかけると、次には太ももから丸ごと腕に脚を持っている。


「さぁ、わが主からこの場を蹂躙しろと仰せつかったものですから………」


男は誰に聞かせる出もなく四肢を掴んだまま腕を広げ。天を仰ぐ。


「イッツショータイム………」


不気味な声だけか辺りに響きわたるのだった。

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