ニシノ要塞防衛戦 シャリオ草原の戦い2
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藤堂 昌晃、時任 純一、千鳥 淳。
彼等の魔力量はマリアに規格外と言わせるほどの総量があり、中でも淳はチームの中でも魔術のコントロールが頭一つ抜きん出ていた。
「炎よ!!」
淳が叫び、視界に納めた数カ所を目視して意識を集中。すると、その場所に炎の柱があがる。勿論その程度で怯む少女ではない。
「ばぁ~か、もっと良く狙いなぁ!!」
高速で移動する少女は炎の柱をすり抜け、淳と一定の距離を取り続ける。
「なら……」
今度は再び形状を拳銃に戻し右手に構え、左手を差し出し。
「炎の壁!!」
十数メートルの炎の壁。二人を隔てて引かれたそれは互いが互いに姿を見失う。激しい炎と肌を焼く熱波。近付けばどうなるか誰にでも解る事だ。が少女は怯まない。
「この程度さぁ!!」
巨大な炎の壁。それを見ても少女は怯まず、すぐに魔術で全身に魔術障壁を付与。
「私には意味ないんだってさぁ!!」
そして突撃。普通なら無謀とも言えそうな炎の壁に突貫。少女は何事も無かったかのように炎の壁を突破する。
が。
「いらっしゃいませ!」
すると、今度は待ってましたと言わんばかりに炎の壁を突破し着地した少女に発砲。
「くっぅ!!」
自信満々に突破したが、いきなりの攻撃。今度は少女が虚を突かれ。被弾。
二発の銃弾は少女の左腕を貫く。
「!?」
流石に激痛に表情を歪める少女。が、その表情は見る見る怒りへと変わっていく。
「まっ、まじありえないしぃ~!!」
ダメージを受け飛び退く少女は淳を睨みつけ地団駄を踏む。どうやらダメージを受けた事が相当にショックだったのか、余裕の表情を消し悔しがっている。
「さぁ、これでも役不足ですか?」
拳銃を構え微笑を浮かべ質問。その間に淳もわき腹のダメージを少しでも回復させる。
「ウッサイ!!確実に殺すから!!」
「となると、今までは生き残る目があったのでしょうか?」
「うざっ、そんな訳無いじゃん!!」
「ならっ!」
発砲。回復の暇を与えずに少女の集中力を削ぐ。
「うっ!?」
痛みに耐えながら少女は銃弾を回避。だが痛みからスピードは若干遅くなっている。
「土槍!!」
と、回避を続ける少女に追い討ち。周囲に十程の槍の形を模したを土を形成し射出。高速回転を続けるそれは異様な音を立てて少女の予測移動位置に着弾。
ドンッ!ドドンッ!
初めこそ全然明後日のほうこうを向いていたが、半分を撃ち切った辺りから命中精度が上がり出す。
「うざい!」
急停止からの反転。身を翻しての紙一重の回避。余裕そうに見えるが、表情には先程までの余裕は無くなっている。
「うざい、うざい」
少女が声を荒げ回避に専念。淳は自身の周囲に土槍を無数に展開し脚を止める。
「………」
更に命中精度を上げる土槍。高速回転のそれは地面をえぐり取り、着実に少女へとか距離を詰めていく。
「………でもね、ウチはさぁこの程度想定内何だよねぇ……」
小声。淳には何事か解らなかっただろうが、一瞬少女の身体が魔術光で包まれたかと思った瞬間。
バキンッ!!
高速回転の土槍を撃墜。それも一発や二発じゃない。向かってくる全てを。
「なっ!?」
流石に驚愕。だが目の前のそれは現実。そして。
「つかまえたぁ……」
再び少女の口元に笑み。今度は目元も笑っている。
刹那。
ドドンッ!
腹部に激痛。内臓の全てをどうにかされたような痛みが駆け抜ける。が。今度は吹き飛ばされない。掴んだ腕をそのままで、更に。
ドドンッ!
九の字に折れる淳の身体。口からは大量の吐血。そのまま地面を朱に染める。
「ダッサァ、さっきまでのプチ余裕どこいったのぉ~?吐血しておげしぃ~」
形勢逆転。一瞬の淳優位は再び少女の元へと帰って行く。
「ぐっ……はっ……」
意識が飛びそうになる。だが飛びそうになると、少女の攻撃。執拗なそれは、確実にダメージを蓄積させちていく。
「寝るのは早いよぉ~騎士様ぁ~」
ポイッとゴミのように地面にほると見せかけ。顔面を蹴り上げる。
「あぁぁ~ウチの騎士様ぁ~」
更に顔面。なすすべ無く吹き飛びそうになると。がっと足を掴み。
「聞いてるぅ?」
釣り上げて問いかける。
「聞いて………ますよ……」
腫れ上がった顔面に微笑を浮かべ、質問に答える淳。だがそんな返答が気にくわないのか少女は眉間に皺を寄せ。
「何かさぁ~、まだまだ余裕ですってのやめてくん無い?見てて腹立つんですけどぉ~!!」
回復した左腕で釣り上げた淳の身体を、さっきサンドバックに見立て更に一撃。既に様相は拷問のようになっている。
「はぁ~スカしさんはぁ~ここから再逆転の目があると思う~?」
恍惚の表情に舐めきった口調。少女は完全に自身の有利を悟ってか、釣り上げた淳に質問を続ける。
「……さぁ……」
「ふぅ~ん、まぁ、どっちでもいいけどさぁ~そろそろもっと実力差感じてみる?」
淳にとって、破格の格上との初めての戦いは、佳境にさしかかろうとしていた。
「…………」
腹部の激痛。飛んでいる意識の中でも大魔導士と呼ばれたマリアはデフォルトのオートヒールで何とか危機を脱そうとしていた。
勿論血が流れすぎた為に、まだまだ身体を動かすには至らないがそれでもかなりの所まで回復は進んでいる。
勿論、戦闘中の二人はそれに気付きもしない。
そして、淳がぼろ雑巾になっていることをマリアも知らない。




