ニシノ要塞防衛戦 出撃
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ニシノ要塞城壁
「総隊長!!」
声をあげゴツい姿の男が総隊長に向け歩いてくる。
「希望の翼、ゲオルグ君か?」
城壁の上、20メートルくらいはあろうかと言うそこでも、眼前には既に一面に大量の魔物が城壁に迫っているのが見える。
「総隊長、一度旅団で打って出ようと思います!」
「しかし……」
「解っています、何も今回の攻撃で敵を押し返そうとは思っていません、しかし、一度は前に出ないと、こちらの士気にも関わるでしょう、だからここで一度打って出て裂帛の意思を!!」
確かにゲオルグの言っていることも一理ある、が。総隊長はそれでも思案の表情を浮かべる。
「しかしな、シャリオからはそろそろ増援が来ると言うしな……」
「何を弱気な、魔物の大軍しかも軍隊のような統率、ここは行かねば相手をつけあがらせます!!」
と、ゲオルグか総隊長に進言していた矢先。
開門開門開門開門開門!!
今こそ仲間の仇をとるときだっ!!
魔物共を……
コロセッコロセッコロセッ殺せ!!
「ゲオルグ君っ!!」
「なっ、馬鹿共が!!」
二人が城壁で問答をしている矢先、要塞の城門が今まさに開こうとしている。
「や、ヤメロ、まだ総隊長殿を説得していない!!」
城壁から大声を上げても、数百人単位の怒号でかき消され届く事はない。ゲオルグは舌打ちしながら総隊長へ深く頭を下げ。
「総隊長、本当に申し訳無い、この三ヶ月確かに貴方は魔物の猛攻に耐えていたと思います、しかし、仲間を失った兵士や団員達の怒りは既に限界を越えようとしていたのです」
そこまで言って再び頭を下げるゲオルグ。勿論話を聞いて総隊長も何も気づかない訳ではない。ここまでゲオルグ、多分最後までシャリオからの援軍を待つように説得したのだろう。しかし、それでも一部の兵士や団員は止まらなかった。それ故に今回の出撃に至ったのだろう。
「ゲオルグ君………」
今度は総隊長が頭を下げる。そして。
「着いて一週間しかたっておらんのに、苦労をさせたな…………」
肩に手をやりもう一度頭を下げる。
「総隊長………」
「本来ならばこの説得ワシの役目なのにな……」
今まさに開いた城門から、数百人が弾かれたように飛び出して行く。
「この歳でも力不足を痛感する」
城壁から外の魔物を睨み付けそう口ごもるのだった。
城塞都市シャリオ近郊草原
「現在西方地方に厳戒態勢がしかれてるとは言え王国正規軍が五千もよく集まった感じね…」
「まぁ、それを言い出したら貴女達旅団も良く二千も集まりましたの」
草原に集まった王国正規軍と旅団の混成部隊を眺めながら、希望の翼団長フランチェスカ・イーグレットと時空魔導士マリア・レイヴァンスはそんな事を口にする。フランチェスカは金髪ショート、マリアは金髪ロングと並ぶだけでみる人間を魅了するような雰囲気があった。
「ちょっと、フランチェスカさんに姉さん?」
「あら、マリナどうかして?」
「マリナちゃん、クインスの一件以来だから三ヶ月振りかしらん?」
マリナに呼びかけられフランチェスカとマリアが笑みを浮かべる。が、マリナはそんな二人を見て。
「二人でいるのは構わないけど、あまり示しのつかない態度はとらないでよ、特に姉さん!!」
「えっ!?」
「フランチェスカさんはウチの団長としての威厳があるけど姉さんはアッチに行ってもう過去の人なんだから!」
「過去の………」
マリナに言われ少なからずショックを受けるマリア、表情がくらい。反対にフランチェスカはそんな二人を見て。
「本当に貴女達は変わらないのね、姉妹そろって今も昔も……」
「何を言いますのフラン、私は………」
「私は何かしら?」
「わたしわぁ~」
言いよどみマリアはさっとフランチェスカからそっぽを向く。それを見て可笑しかったのかフランチェスカはクツクツと口に手を当てて笑う。
「何ですの、昔の盟友を笑い物にして、私はショックですの!」
「フフ…ごめんなさい、そう言う所は昔と変わらないのね、マリア」
笑いながら謝罪し、フランチェスカはマリアの肩を軽く叩く。
「何か微笑ましい光景ッスね……」
草原の片隅、希望の翼のメンバーの集結地に純一、淳、昌晃の3人はいた。しかも、団長であるフランチェスカ達を見てホッコリしていた。
「まぁ、美人は何しても絵になりますから」
「姉御は悪目立ちしそうだけどな………」
「まぁ………確かに……」
どういう事か意味はボカシて三人はただ三人をみていた。と、その時。
「久しぶり、時任君、千鳥君…………で、ポンコツ……」
少し憎まれ口調のその声。どこかで聞いたことのあるそれを耳の中で反芻させながら三人はその方向へ振り向く。
が、誰もいなかった………(ホラー)
「な、訳ないでしょ、私よ!」
「私…さんですか?」
「ちょっと、千鳥君酷いよ!!」
「冗談ですよ、久しぶりですねクリスさん」
流石に忘れてはいないが、淳ですら弄りやすいそれは少し涙目になっていたのでこれ以上は止めておく。
「んだよ、ジャリじやねぇかよ、久しぶりだな元気してたか?」
「ジャリ呼ばわりする貴方はポンコツじゃない!」
「ジャリ!」
「ポンコツ!」
互いに睨み合う。勿論その後はフンッと言って顔を背ける。
「それにしても、先発隊が団から出たと聞きましたがそれでもかなりの人数がいますね?」
「そうなの、今は百人近くいるはず」
「流石は旅団希望の翼、シャリオ有数は伊達じゃないっすね!」
周囲を見回しても正規軍以外は、フリーダムな冒険者と旅団連中、その中でも希望の翼は異彩な雰囲気を放っていた。
「そうよ、イーグレットの率いる希望の翼は最強なんだから!」
そう言って、年齢も幼く(13)身長も低い(143)クリスが胸を張る(ペタンコ)。
「だからよぉ、ジャリが無理すんなって」
優しく頭を撫でながら昌晃がマリア達三人とクリスを見比べどこか遠慮がちな笑みを浮かべる。
「あぁ、何か比べてるわね!!」
咄嗟に何かに気づくと、これまた咄嗟に自分の頭を撫でるゴツい手をつかみ。
電撃をしこたま垂れ流すのだった。
注)
出撃前に女性を比べるのは止めましょう。
旅団幹部のマリナさんにしこたま説教されます。




