ニシノ要塞防衛戦 君たちがウチの研修?
少しでも楽しんで貰えると幸いです!
希望の翼拠点 ロックフリー酒場
扉を開けるとチリンと鈴が鳴り響く。
「いらっしやぁ~い………って、何時もの三人組君達じゃん!?」
「あのなぁ、リリ、ひとまとめは………」
「まぁ、良いじゃん良いじゃん、それにまだ旅団の人達来てないから」
「そうなんですか?」
リリと呼ばれた少女は三人にそう言って手近な席を勧める。確かに防衛戦に赴くにしては集まりが少ない気もする。
「今日は集まりが悪い気がしますがリリさん何か知ってます?」
「ん?まぁ、私は旅団員じゃないから詳しいことは知らないけど、ゲオルグ副長を頭にした先発隊が先週ニシノ要塞に向かったらしいよぉ」
「へぇ、アニさんが?」
「まぁあの人なら大丈夫でしょう……」
「確かに、Aランカーっすからね」
「でもホント凄いよね、今シャリオの中はチルダの西方地方の旅団や正規軍が集まってるらしいじゃん?何か街中も屈強な兵士や冒険者だらけだし」
と、そう言ってリリが三人のテーブルに注文を取りに来る。
「三人共何時ものだね!」
注文をとると言っていいのか甚だ疑問だが、それでもリリは注文をオーダーを書き込み。
「母さん、三人組何時もでぇ~!」
暖簾の向こう、厨房に聞こえる声で注文を通す。
あいよ~!
と、暖簾の向こうから快活な声が帰ってくる。
何時も元気だねぇリリちゃん!
ウチの息子の嫁にどうだい?
と、淳達とは別の旅団員達が看板娘リリに話しかけている。しかし。
「なら、父さんに勝たなきゃね!」
人差し指を顔の前に出し、笑みを浮かべてそんな事を口にする。兎に角全ての仕草が愛らしい妹的な存在だ。
「そう言えばリリの親父さん、どうしたんだよ?」
「えっ、聞いてない?お父さん第一部隊長だからゲオルグさんと一緒に出撃したの!」
「へぇ……確かにリリの親父さんは精強な希望の翼の武闘派第一部隊長だからな………」
「確かに戦闘力ならゲオルグさん並みですね」
昌晃の言葉に淳が続く。すると、注文を持ってきたリリは。
「そう言えば、この間酔っ払ったお父さんが、将来の後釜は淳だ、なんて言ってたよ」
「まじっすか!凄いっすね!」
純一が先ず軽く手を叩いて反応。これには昌晃も納得したと無言で頷く。
「ちょ、ちょっと……三人とも………」
淳が動揺しながら次の言葉を紡ごうとした。正にその時。
チリン!
と、酒場の扉がひらかる。
「お久しぶりかしら……」
そう言って金髪ロングの美女が、白銀の鎧を纏い入ってくる。全身甲冑では無いが、急所になるようなところはしっかりと守られた高級そうな鎧。
「「「………」」」
流石に三人や、店の他団員も息をのむ。
すると。
「フランチェスカさん!!」
声をあげ、リリがフランチェスカと呼んだ女性の前に立つ。勿論フランチェスカもリリに微笑み返し。
「久しぶりねリリちゃん、半年振りくらいかしら?」
「うん!確かそのくらい、ねぇねぇ、フランチェスカさん王都はどうだった?凄かった?」
会って開口一番リリの質問責め。しかし、それにしてもフランチェスカという名前、聞いた事があるような無いような。三人が美女を見て首を傾げていると。
「………団長だよ……」
三人のすぐ後ろで女性の声。驚き三人が一斉に振り向くと。
「マリナさん……」
そこには見知った女性が立っている。しかも表情は半ば呆れ顔。
「久しぶり、クインスの一件以来だね………それにしても研修なんだから、初対面とは言え団長の顔と名前位は知っておきなさいよ!」
代表で昌晃の頬が捻りあげられる。
「ヒライ……レス……」
若干涙目なのはご愛嬌で、三人はそのままフランチェスカを眺めるが、当のフランチェスカは未だにリリと楽しそうに会話を続けている。
「良い三人共、彼女がこのチルダ王国に10人しかいない冒険者の頂点Sクラスの一人にして旅団、希望の翼団長、フランチェスカ・イーグレットよ」
「へぇ……あの方が……団長ですか?」
「見た感じは強さを感じないな……」
「確かに、そっすね………」
全員が第一印象を口にするかが、それを聞いていたマリナは。
「まぁ、確かに見た目はやんわりだけど、フランチェスカは確かにSクラスよ、元々は私の姉とコンビで冒険者をしてたの……」
「姉御と?」
「えぇ、チルダ王国最強の呼び声も会ったけど、姉さんは時空魔導士として、フランチェスカは元々の目標だった旅団を立ち上げ、別々の道を歩んだの……」
マリナの話しを聞きながら、三人は更にフランチェスカを注視する。たが見れば見るほど三人を困惑させる。
が。相手は研修先の団長でコレから多分、少しの時間命を預けることになる相手。挨拶はしておかないとならない。そうすると三人はおもむろに立ち上がり、フランチェスカへと近づいて行く。
「あ、あの!」
先ず先陣は淳。すると、フランチェスカはリリとの会話を止めてうっすらと笑みを浮かべて。
「何……かしら?」
そう言って、言葉を返してくる。が、三人はそう言葉を向けられたら瞬間、言いようの無いオーラをフランチェスカに感じ、背にブワッと汗が噴き出す。だが、不思議と敵対感や抵抗感は感じない。言うなれば安心感だろうか。と、そんな事を三人が思っていると。フランチェスカは何かを思い出したかのように三人を一度見回し。
「貴方達がゲオルグの報告書にあった期待の研修生かしら?」
自己紹介をする前に聞かれてしまう。
「はい、僕は千鳥 淳です、研修ですが今回の討伐戦よろしくお願いします」
握手を交わす。
「時任 純一っす、狙撃手をやってるっす、よろしくお願いします!」
笑顔で握手。
「あの、藤堂 昌晃です、よろしくお願いします……」
握手を求めようと手を出すと、フランチェスカは昌晃の顔を見て思案顔。
「な、何か?」
その表情にどうしたのかと声をかけると。
「ゲオルグの報告書にもガラが悪そうと書いてあったし、クリスちゃんの手紙にもポンコツと書いてあったから、どんな研修生かと思ったら普通ね」
「あの二人……」
握手も忘れ拳を握りワナワナしていると。
「兎に角、よろしくお願いね」
親近感のわくにこやかな笑い。それを見て昌晃も、思わず頬を緩め握手をかわすのだった。




