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ニシノ要塞防衛戦 開幕前

主人公達の最期の研修任務です!

少しでも楽しんで貰えると幸いです!

日本某所

カイラス・クインスの一件の後、様々な任務を時の間にかこなし、三人は間もなく大学初めての夏休みを迎えようとしていた。


「淳、純一、夏休みはどうすんだ?」


「はぁ……夏休みは異世界にバイトですか」


「そっすね、俺も異世界っすかね」


「だよなぁ……コッチにいても彼女はいないし、やると言えば深夜アニメみて、ゲームして漫画読んで、マン研の部誌の原稿書いて……まぁ………異世界か……」


路上を歩きながら三人は事務所へと進んでいく。明日からは夏休み。そして冒険者としてはルーキーとしては異例のBランク下位になろうとしていた。




地球側事務所


マリアの執務机を前にして、一人の男が深々と頭を下げる。


「何ですの、ギルドの支部長たるアナタのような方が……」


「いや、ある程度話は聞いていると思うが、かなり急を要する事態が起きた……」


「急を要する事態……ですの?」


「あぁ、現在ニシノ要塞の状況は聞き及んでいるとは思うが」


と、支部長と呼ばれた中年の男はそこまで言って言葉を句切る。そして、少しだけ言葉を選び。


「正直戦況は芳しくない……」


「みたいですわね……」


「現状、今は当初のニシノ要塞防衛部隊とシャリオからの部隊、それとBクラス以上の旅団が派兵されている」


「で、私にどうしろと、おっしゃりたいのですの?アレですの、コチラ側から戦力を増員しろとでも?」


マリアが珍しく皮肉を口にする。しかし、支部長は首を振り。


「まぁ、それが出来ればベストなのかもしれんのだがな、現状差し迫った驚異に博打は出来ん……」


「なら、どうしますの?」


なかなかにすすまない会話に少しだけ苛立ちを覚えながら説明をまつ。そして。


「戦力は要請する、君にはシャリオに集まった正規軍と旅団をニシノ要塞に転移させて欲しい」


「転移?」


「あぁ、君なら造作も無いだろ、今は時間が惜しいんだよ………」


咳払いを一つ、それと共に転移の部隊、旅団の規模と人数を示した書類を机の上に置き、そのままついっと眼前に出す。


「コレは……遂にCランク旅団まで……」


「あぁ、残念ながら恥や外聞を気にしてられなくなってな……シャリオ統治者からの直々のお達しだ」


「あの爺さんですの?」


シャリオ統治者の顔を思い浮かべ、マリアはため息をつく。


「解りましたの、近日中にはシャリオに戻りますの……」


「そ、そうか……助かる……」


「ですが、私が戻ると言うことは、一旦コチラ側とのリンクが切れますの、構いませんか?」


「それは、まぁ仕方ないだろうな……現状はチルダ王国の危機が最優先だからな…」


そう言って見せていた書類を掴み、表情をしかめる。


「解りましたの、なら準備の後明日には……」


マリアと支部長の話がそこで終わる。





「だから、俺は思うのよ俺の飛び出しと純一の狙撃が……」


と、事務所入り口から入室してきたのは昌晃、淳、純一の何時ものメンバー、ただ何時もと違うのは、表情が夏休みの顔になっている事だ。


「ちぃわーす、姉御!」


「マリアさん、どもです」


「ちゃーす!!」


三者三様の挨拶をこなすと、それを聞いてマリアがいつになく真剣な表情を三人に向け、待ち構えていた。


「何かあったんですか?」


その表情から、直ぐに何事かを察した淳がまず一言。すると、マリアは返す刀で。


「向こうで、問題が起きましたの」


「問題………何時もの任務じゃないんすか?」


「何だよ、俺らの研修の、最終試験でもしようってのか?」


流石に雰囲気を読んで、三人ともそれ以上の事は言わずに、次の言葉を待つ。


………………


少しの沈黙。だが、言葉を慎重に選んでいるマリアの表情からは、流石に三人でも事の重大さを感じてとれた。


「おい姉御、何か言えよ!」


閉口するマリアに少し苛立ちを覚えた昌晃が先を急かそうとする。と。


「魔物の侵攻ですの……」


「魔物?」


「侵攻?」


紡がれた言葉に?マークを浮かべ、三人が首をかしげる。


「……で、魔物がどうしたんだ?」


「侵攻って事は魔物がどこかに攻め込んだんですか?」


「でも、シャリオ周辺はそうならない様に定期的に魔物討伐を行ってるっすよね?」


三者三様。矢継ぎ早に質問。だがマリアはそれに答える事は無く。ただ。


「現状はシャリオ近郊のニシノ要塞で、要塞の防衛隊とシャリオからの部隊、旅団が任務にあたっていますの」


「それは……結構な規模ですね」


「となると、相手は……」


「現状、要塞は堅牢な守りのおかげで何とかなっていますが、敵はこちらの防衛隊約三千に対して五万」


「五万!?」


「勿論、五万と言っても雑魚魔物もかなりの数がいますの、だから全てが数通りではありませんが………」


「それでも数の上ではかなり……」


マリアの言に淳が言葉を付け足す。それでも五万は余りにも多い。


「まぁ、それでも負けるとは思えませんの……」


「この状況で?」


「えぇ、何しろシャリオからの旅団員にはSランクがいますから……」


「Sランク…………」


「会ったことありませんの?アナタ達のお世話になってる希望の翼にもいますのよ」


「「「?」」」


それを聞いて一斉に疑問符が浮かぶ三人、確かゲオルグは副団長でAランク、マリアの妹マリナもAランクのはずだ。


「出会った中でSランクなんていませんッスね……」


いくら頭の中を逡巡しても、該当する人物は思い当たらない。となると。


「まだ、会ってない団長さんですか?」


ヴォバックに行きだして3ヶ月、今まで一度も会う事がなかった団長だと淳が気づく。


「しかし、ただの一冒険者が戦局を左右するほどの戦力になるのですか?」


「だな………○Sの性能差が戦力のなんたらだもんなぁ……」


淳に続き、昌晃が続く。だが、マリアは不適な笑みを浮かべ。


「まぁ、見ていてくださいましな、アナタ方も大概規格外の魔力でチートしてますけど……Sランクは化け物ですわよ」


「化け物……ッスか?」


「えぇ、戦場でとくとご覧くださいな……」


不適な笑みをそのまま張り付かせ、マリアは会話を終わらせる。

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