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変幻自在

閲覧ありがとうございます!


「くっぉぉっ!!」


廊下。クインスと淳が攻防を繰り返す。


高速でナイフを突き出しクインスが淳を攻撃。しかし、そんな連撃を淳は無言で回避する。


そして。


パンッパンッ!!


近づいて来た所を利用し、今度は淳が銃撃。二回発砲音が響きスライドから薬莢が飛び出す。


「クソッ!」


更なる追撃を与えようとした時だったためクインスはバランスを崩しながらも紙一重で回避。そのまま後方に転がりながら体勢を……


パンッ!


立て直す所を銃撃。クインスはなす統べなく太ももを撃ち抜かれる。


「くわぁ!!」


立ち上がろうとするも足を撃ち抜かれ、クインスは再び廊下に腰から崩れ落ち、尻餅をついた状態になる。


「王手ですかね……」


薄ら寒い笑みを浮かべ、王手を宣告する淳。しかし笑みとは別に優勢な人間独特の驕りや見下したような態度といった隙は微塵も無い。ただただ自分の不利だけを突きつけられる。


「くっ……」


撃ち抜かれた太ももを抑えながらクインスは回復魔術を使用しようとするが、それを見透かしていたのか。


「………あぁ、魔導石の助言で、今は補助や回復魔術阻害をおこなっていますよ」


と、クインスに告げる。


「…………阻害だと……?」


「えぇ、まぁ魔導石の補助があってこそですが」


「……一つ聞く、普通は不可能な魔導石を何度も変化させ、ブースト(身体補助)をかけて、更に阻害魔術まで使用して何とも無いのか?」


「はぁまぁ、何とも」


「………化け物め………」


痛む太ももを抑えながら、片方の腕を頭の上に上げる。どうやら降伏のつもりらしい、クインスはナイフをこちらに滑らし武器を放棄。


「降伏……ですかね?」


「あぁ、今回の報酬を考えれば化け物の相手は些か荷が勝ちすぎる、俺は降りさせてもらう……」


淳の目をジッと見つめながら、クインスはそう言葉を発する。それを聞いて。


「マリナさん、どうされますか?」


指示を仰ぐ。


が。


「フッやはり研修やな……」


目を切った瞬間。クインスの嘲る言葉が淳の耳に飛び込むと同時、淳の身体が九の時に曲がり廊下に叩きつけられる。



「!!?」


「千鳥君!!」


やっとダメージから回復したマリナが、声を上げ近寄ろうとするが、クインスの殺気がそれを許さない。


「化け物かと思えば、無防備に隙を見せる、どっちが本当何だろうなぁ?」


壁に激突し気を失う淳を睨みつけ、クインスは口元に笑みを浮かべる。そして、マリナへと視線を向け。


「形勢逆転だなぁ、レイヴァンス?」


「くっ……」


「アレだな、ヴォバックなら良い勝負出来たかもしんねぇけどなぁ、それでもあれだ、現実は厳しいって事だ」


ナイフを拾い上げ弄びクインスはマリナを直視、勿論淳の方にも気を配ってはいるが動いた気配はない。


「さぁ、今度はこっちが形勢再逆転って所だな……さぁ、希望の翼のレイヴァンスさんはどうやってこの状況を打破するのてしょうか?………いや、打破されたらコッチがやられんのか、そりゃ困るな……」


自分で言ってクインスはクツクツと笑う。


「ちなみに、アソコの昏倒してる奴に期待はするなよ、コッチもアイツが厄介なのは解ってるからな、Aクラスの魔導剣士では破れないバインドで拘束した」


ふぅと溜め息を突きクインスは視線を淳とマリナへと交互に向ける。


「さぁ」


「くっ……」


手にしていた剣を握り直し、ジリジリと後退しながらマリナは距離をとる。正直手加減なしで魔術が使えればいくらでもやりようはあるが、やはりコチラの世界では制約の関係で使えない。歯がゆい限りだ。


が。その時。


ドンッ!!


と言う重低音が一発響き渡り、廊下の壁に風穴があき、クインスの足元の床が砕ける。一瞬何事かと辺りを見回すクインスだったが。ガシャンと言う音と共に窓硝子が割られ、窓から二人の人影が入ってくる。


「ハロハー、マリナさんさんお久しぶりっす!」


「あんまりじゃ無いかい、アネさん!いくら一度だけしか会ったことがないっていってもさぁ、コッチは俺らの世界なんだ頼りにしてくれよぉ!」


「藤堂君に時任君……」


純一と昌晃だ。二人は廊下に降り立つと、純一が銃口を向けながらクインスと対峙する。


「にしてもアネさん、劣勢だな?」


「そうね、魔術の有無でコレだけ戦力差がでるなんて言い訳も出来ないわ……」


「まぁ、ここからは俺らも援護するっすよ!」


銃口はそのまま、ヒリつく状況の中、昌晃と純一は楽観的な声をあげる。と。


「おいおい、ココに来てまた増援かよ」


腹の中までは解らないが、クインスの声にはまだ余裕が残っている。それを睨みながら。


「笑ってられんのも、今のウチだぜ」


と、今度はニヤリと笑みを浮かべ、昌晃が腰の日本刀に手をかけ。


「ここからは選手交代、セットアッパーから抑えだな!」


「ちょっと良いように言い過ぎすっね!」


「う、ウッセ言ってろ純一!」


自分でも言い過ぎと思ったのか、こっぱずかしそうに苦笑いを浮かべる昌晃。それでも手にはしっかりと日本刀が握られる。


そして………………


ばっと両者が一足飛びに距離を詰め肉薄。先に間合いに入ったのは昌晃。廊下の広さを考え日本刀を平にして鋭い、突き突き突き。素早く放たれた三連はクインスの身体を捉えようと範囲を広げ放つが、相手も手練れ。切っ先から軌道を割り出し紙一重に回避を行う。


「ナイフ使いの近接回避なめんなよ!!」


「ぬかせ!!」


今度は攻守交代、突きの合間を縫いクインスが更に肉薄。刀の対応しにくい間合いに詰め寄り。


「しゃらぁっ!!」


ナイフを突き出す。勢いと威力の乗った突きは、確実に昌晃の腹部を襲うが、咄嗟に日本刀の柄の部分でナイフを持つ腕をはたき落とす。


「クッ………」


呻き声をあげるもクインスは怯まず、はたき落とされた手とは逆の腕で昌晃の顔面を殴打。


「クソッ!!」


殴られ、顔面が横にブレる、が昌晃は横を向いたままクインスの首根っこを無造作に掴み、そのまま頭突き。鼻の辺りに入った一撃は、確実に鼻を潰し、そして、ダメージに顔を歪めるクインスを見ながら。


「掴みあいの喧嘩なら負けねぇんだよ!!」


そう吐き捨て、昌晃は更に顔面に拳を二三発見舞う。


「グッ………」


魔術で身体補助ブーストをかけているため昌晃の拳は見た目以上の威力を発揮、三発目が顔面に入った時にはクインスの顔面は直視しづらいものになっていた。


「喧嘩だこらぁっ!!」


熱くなって更に腹部に一発。九の字に折れた体をそのまま廊下の壁に叩きつけ。


「寝てる暇ねぇぞ!」


声を荒げると同時に、顎を蹴り上げる。勿論、クインス自身もブーストしているので致命傷にはならないが、既に意識は手放していた。



決着の瞬間である。

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