ソ
俺が上履きに履き替えたとき、目の前に長い黒髪をポニーテールにした綺麗な女子が現れた。どうしよう。
しかし俺に選択肢は発生せず、ただ固まることしかできなかった。綺麗な瞳に見つめられて、体は石になってしまったようだった。
「ふん」
その女子は俺を鼻で笑い、この場から立ち去って行った。どうしよう。
①追う ②文句 ③スルー
ーここも③は選びましょうー
俺はその女子を不思議には思ったが、そこまで気にせずそのまま教室へ行った。
「あ…」
俺が席に着くと、木葉ちゃんはチラッと俺の方を見てから、本に顔を近づけた。まだチラチラ見ている。どうしよう。
①話し掛ける ②睨みつける ③無視する
ーここは①ですよー
でもなんて話し掛ければいいんだ。どうしよう。
①どうしたの? ②なんだよ、クソ
ーここも①ですねー
「どうしたの?」
俺をチラチラ見ているので、俺は木葉ちゃんに問い掛けた。
「いやその、何でもないです…。御免なさい、気にしないで下さい」
謝って木葉ちゃんは、完全に視線を本に向けてしまった。何か怒らせるようなことしたかな、何でだろう。どうしよう。
①喜ばせようと頑張る ②そっとしておいてあげる ③殺す
ー殺す!? 選びたいけど、②にしておきますー
無理に構って読書の邪魔したら悪いと思い、俺は木葉ちゃんをそっとしておくことにする。
「おはよう! あたしのファン第一号、調子はどうでい」
祭が教室に入って来て、そのまま迷わず俺の席の前まで来た。どうしよう。
①絶好調だよ ②祭、おはよう ③うるさい
ーこれは①にしますー
「絶好調だよ」
俺は立ち上がり、祭と握手する。理由は特にないけど、祭が可愛いから不可抗力さ。
「そ、そうか。ホントに絶好調なんだな、見りゃ分かるぜい」
そう? 祭はあっはっはと、元気に豪快に笑う。どうしよう。
①でしょでしょ ②祭も絶好調だね ③黙れ
ーこれは②にしますよー
「祭も絶好調だね」
俺がそう言うと祭は、恥ずかしそうに頬を掻いた。
「そう見えるかい? なら良かったぜ。ああ! あたしも絶好調だい」
照れを吹き飛ばすように、祭はまた豪快に笑う。そしてニコッと、元気で可愛い笑顔を見せてくれた。俺の心が、何だか締め付けられるような…初めての感覚。




