びっくり
佐藤くんにオレの色々を伝授してから数日後、また誰かに話しかけられた。
「今日の放課後、ちょっといいかな?」
と。
驚いた。
話しかけてきた相手っていうのは、学年一のかわい美人さんだった。
別にかわいさんという名前では、ない。
かわいいと美人のハーフで大人気の安さんだった。
オレになんのご用事だろう?
あんなに美人でも、佐藤くんみたいに痩せたい願望があるのだろうか?
これ以上痩せてしまったら、それはオレの責任だ。
責任は、とらせてもらうはず…ない。
そうなる前に阻止せねば!
どうやって、ダイエット方法を教えないようにしようか…
レシピなくしちゃって!てへ☆作戦でいこうか?
てか、レシピなんかないし…
オレがダメなら佐藤くんに聞いてやる!ってなりかねない…
あ、でもそれなら責任は佐藤くんに…
…
卑怯だ。
オレは、卑怯すぎるだろ。
人に責任をなすりつけようなんて…
きちんと今の気持ちを伝えよう。
君は、これ以上痩せなくていいと!
オレは、安さんのところへ向かった。
「話ってなに?」
「あ、ここじゃあれなのでこっちにいいかな?」
「うん」
言われるがまま、安さんについていった。
ひとけのない校舎裏…
こんなところに安さんと来る日があるなんて、夢にも思わなかったな。
不思議な組み合わせの二人。
…
「えと、話とは…」
「あのね、実は…好きなの」
⁉︎
「え、だれを?」
いきなり恋の相談会がはじまった。
突然すぎて驚いた。
さっきまで雨だったのに、いきなり晴れて虹が出てるよ⁉︎くらいの驚きだ。
オレがいきなり恋のキューピットに任命された日…
まさかこんな日がくるなんて…
「わたしが好きなのは、君だよ?」
⁉︎
君⁉︎
きみだと⁉︎
知らなかった…
オレはずっとしろみだと思ってたのに…きみの方だったなんて…
てか、そんな卵で例えた役割分担なんかどうでもいい。
今は…
安さんのことだ。
ダイエット阻止しか考えていなかったので、いきなりの告白に驚くばかりだった。
「安さんって…オレのことが好きなの?」
「え、うん」
…
正直、嬉しい‼︎
でも…
「ごめん、オレ…好きな人いるんだ…だから、安さんとは付き合えない。」
「そっか、まぁ仕方ないよね。わざわざ放課後残しちゃってごめんね、じゃ、またね」
と、あっさりサッパリ帰ってしまった安さん。
驚いた…
そもそもオレを好きなのも、あっさり引き下がるのも、帰るはやさも…色々驚いた。
安さんは、雰囲気も落ち着いてて、白い肌も艶髪も、優しい口調も素晴らしい。
でも…
でも、オレは…
桜乃の笑顔を思い出してしまった。
ただかわいいからって、付き合うのは…やっぱり違うと思う。
まあ、断ったからといって…桜乃にはめっちゃ素敵な彼氏がいるんだけどね。
彼氏がいても、好きなんだよ…
諦めなきゃだけど、今はまだ…どうしても桜乃が心にすみついてて…
だから…
——
次の日、あの安さんがフラれたと大騒ぎになっていた。
それって…
フッたのって…
オレ?
生意気クソが‼︎って言われるかもなぁ…って思っていたが、意外とそんなことは、なかった。
なんなら、オレが他の学校に超絶美人彼女がいると噂されるようになった。
いや、ほんとうは…ほかの世界っていうか…ゲーム内っていうか…
ね…
桜花だけど…桜乃っていうか…
そもそも桜乃が好きで、似たゲーム内桜花で謳歌してるっていうか…
オレって…なにしてるんだろうなぁ。
最近、どんどん肌ツヤいいけど…
ビジュいいよね‼︎って女子から言われるけど…
でもさ、なぜか桜乃は髪もパサパサで、笑顔も減って肌ツヤも元気ないように思う。
もしかして、彼氏とうまくいってない⁉︎
やっぱりオレが悪い⁉︎
幼馴染だからって、彼氏いるの知らなかったからって、桜乃の部屋に行ったりしたから…
だから、そのせいで彼氏とうまくいってない⁉︎
これは…どうしたらいいのだろう⁉︎
彼氏がそもそも同じ学校だったら、幼馴染とまた話してたねとか言われちゃうんじゃ…
どうしたら桜乃と接触できるだろう…
あ、彼氏にオレが直接謝る?
全部オレが悪いって…
てか、彼氏は気にしないって言ってたんだよね…?
じゃあ、オレのせいじゃない?
…
ただのオレの関係ないところでの喧嘩?
だったらいいけど…
もし、原因がオレだとするなら…
…
どうしたらいいんだ…
携帯に連絡…したらやっぱりダメだよね…
直接話しかけてみるのも…やっぱりダメなんじゃ。
てことで、オレはいいことを思いついた。
プリントを渡すのだ。
これ、先生から預かったといい、そっと手紙を一緒に渡した。
大丈夫か?オレが迷惑かけてたらごめん。なんかあったら言ってほしい。って書いたやつを。
そもそも、オレのせいで彼氏と拗れたなら、どうにかして謝りたい。
彼氏にも桜乃にも。
桜乃がとても心配すぎる…
大丈夫なのだろうか…
続く。




