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Day4|視線

 四日目。

 

 血の匂いの吐き気が収まらず、昨晩から食事が喉を通らない。

 

 見かねた藍田さんからはいくつかサプリメントが手渡され、その場で水と流し込む。

 

 信用などしていない。ただ、吐き気で立っているのも限界だった。

 

 その傍で着々と準備を進める中、藍田さんはあるものを取り出した。


「それは……?」


 藍田さんが手にしていたのは、手錠だった。

 警察で使われているものとはまた違うようだが、よく見ると、金属の表面には無数の擦り傷が刻まれていた。

 まるで、何度も逃れようともがいたようだった。


「これは誘拐時、被害者を拘束する為に使われたものです」


 逃げようとしたのか。

 助けを呼んだのか。

 

(それとも――……)


 被害者の気持ちを想像した瞬間、奥歯に力が入った。


(おそらく、もう……)


「無事ですよ」


「え……」


 藍田さんは動揺する俺の手を掴むと、強制的に証拠品の手錠の上に重ねた。


 カチン。


 冷たい金属音だけが、やけに耳に残った。


 次の瞬間、視界がぐらりと揺れた。


 実験室の白い壁が滲み、輪郭を失っていく。


「君も、知っているはずです」


 その声が、水の底みたいに遠く響いた。


 

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