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おやすみの代わりに
(……そうだ。
俺、あのとき心から仲間ができたって、
やっと思えたのに)
「……そっか」
月を見たまま、そう呟く。
「そりゃ、お前らからしたら面白くないよな」
(バカみたいだ…ここでも俺は独りだったのかよ)
笑い飛ばしてみようともしたが、そんな答えが脳裏に浮かぶと、今すぐにでも涙が滲んでしまいそうだった。
「わり、俺やっぱもう寝るわ」
崩れてしまいそうな自分を隠すように、足早に席を立つとろくに目も合わせられないまま、自室へと向かう。
「燐――」
背中で唯の声が、ほんの少しだけ焦ったように聞こえた気がした。
でも、振り返らなかった。
「これでも俺さ、あの夜お前らが迎えに来てくれたの、すげぇ嬉しかったんだぜ」
振り返らないまま、手をひらひらと振る。
「おやすみ」の、その代わりに。
それ以上、何も言えなかった。




