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飛空技師は駆り出される  作者: 似瀬


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第138話 過ぎ去った古城

           ──飛空技師は駆り出される──


古城目指して前進前進──!

「──ハァ…ハァ…、普段使わない筋肉が酷使されてて…めっちゃ辛いなコレ…。頑張れよアクアス…もう少しの辛抱だぞ…」


「はい…」


竜のとんでもない紫炎ブレスにビビりまくり…ナメクジのようにひたすら地面を這って古城を目指しているが…、思った以上にしんどいですねコレ…。


慣れてないからか全然進まないし…それなのに体力だけはゴリゴリ削れるし…なんて非効率的な移動方法なんだ…。


クソ…! あのネコ科生物がバカなことさえしなければ…今頃はもう古城の中に入り込めてたかもしれないのに…。


でも仕方ない…燃えカスにはなりたくないし…。無謀にも竜に喧嘩を売ったネコ科生物は…あっという間に焦げた死体にされてしまった…。


それを見てからは…あの古城が巨大な墓石にも思える…。石版を取りに行ってる筈なのに…わざわざ死にに行ってるような気分…。


そんなひたすら込み上げる恐怖とネガティブな気持ちを抑え込み…ただひたすら匍匐前進をし続ける…。息を切らしながらズリズリと…。


常に竜の動向に最大限の注意を払いつつ…やっっっとの思いで古城まで辿り着いた…。私もアクアスも息ゼーゼー…。


「ハァ…なんとか…無事に…着いたな…。フゥ…したら…ボチボチ入り込もうか…──もう少し休憩してから…」


「そうですね…もう体力が残り少ないです…」


息切れがおさまるまで休憩し、気持ちを整えていざ古城へ! ──っと思ったが…入口はどこだ…? ってか今私達が居るのは城のどの辺だ…?


デケェ建物って近付くと居場所分かんなくなるよな…。とりあえず見取図を広げてみるが…流石に外のことはよく分かんねェな…。


しょうがねェ…外周回って入口見つけるしかねェ…。この見取図方角の記載ないの大失敗すぎるな…、製作者ムカつく。


「カカ様、向こうにギリギリ入れそうな隙間がありましたけれど…」


「んー…そこから入ってもいいが…変なとこから入ると現在地分かんなくなりそうでよ…。できれば正面から入って──」


「 “ゴルルルゥ…” 」


「──やっぱそっちから入ろうかな…」


内側から正面入口見つければ現在地は分かるし…何よりさっさと中に入った方が安全だ…。アクアスが見つけた隙間から古城内部にお邪魔する。



─ 竜の古城 ─


「おお~、案外崩れてねェな。だがスゲー歴史を感じるぜ…」


「ここは何かの部屋でしょうか…? 流石に暗いですね…」


大体2000年以上も放置された建物だし、部屋を照らすような灯りが存在するわけがない。とは言え照らせる物も無いし、目が闇に慣れるのを待つしかない。


少し暗闇の中でアクアスと戯れていると、徐々に目が暗闇に適応してきた。これで問題なく動ける、まずは目印となる場所を探そうか。


見取図を見る限り物凄い数の部屋があるからな…、こりゃ適当に彷徨ってたらすぐ迷子だぜ…。城の構造はいつの時代も複雑なんだな…。


ひとまず今居る部屋の外に出ると、通路らしき空間に出た。右にも左にも進めるぞ、参ったねェ…どっちに行こうか…。


「ここは運に任せましょう。カカ様、衝棍(シンフォン)を」


「おい…オマエまで私の衝棍(シンフォン)を倒して進行方向を決める気か…。ニキといいオマエといい…私の衝棍(シンフォン)を何だと思って…」


とりあえず右に進もう…どっちに進んでいいか分かんねェし…。正面入口とか2階に続く大階段とかねェかな…。


所々ひびの入った足元や天井に気を付けながら通路を進んで行くと、少し開けた空間に出た。ここは何の空間だ?


幾つもの柱が並んだ広い空間…単なる広間か…? 私達が通ってきた通路の入口みたいなのが他にも複数ある…。迷路かよ…。


「一旦見取図を確認しませんか? これだけの空間であれば、ある程度現在地を絞れるかもしれません」


「確かにな、こんだけ通路が繋がってんだし、結構分かり易いかもな」


見取図を広げて確認してみるが…マジで見にくいんだよなコレ…。暗いせいでより見にくい…目を凝らしてよーく確認する…。


「あっ、ここじゃないですか? ほら、いっぱい通路が繋がってて蟲みたいです」


「その例えはやめようかアクアス…。でも確かにここっぽいな、似たような広い空間は他にもあるが…通路の数が合わないもんな」


「脚みたいですよね」

「やめんかい…」


現在地は見取図的には古城の後ろ側か…。2階へ続く大階段が中央付近にあるから…その辺に続く通路を探せばいいんだよな。


えーっとォ…? ここは…違うな…。こっちは…これも違うな…。じゃあここならば…あっ全然違うわここも…。したらばここは…──あったここだ…!


「えーっとォ…さっき通ってきた通路が多分コレだから、あそこの通路だな。よし行くぞ、早いとこ上階に向かわねェとな」


「そうですね、〝軌跡〟が消える前に急ぎましょう!」


早歩きで大階段近くへと続く通路を進んで行く。道中いくつか隣接した部屋を見掛けたが、スルーして先を急ぐ。


だが本音を言えばじっくりあちこち見て回りたい…。しかしそれは単なる知的好奇心を満たしたいわけじゃない…。


ガガテガ遺跡の最深部で見つけた〝魔物と思しき絵が載った本〟…、もしかしたらこの場所にも…魔物に繋がる何かがあるかもしれない…。


恐らくはガガテガ遺跡と並ぶほどに歴史のある城だ…、むしろ可能性は高い気がする…探せば何か見つかるかも…。


封印の石碑といい…ガガテガ遺跡といい…、魔物と何らかの関係がありそうなモノは全て…途方もない時が流れた遺物と結びつく…。


短剣を見つけたあの洞窟の部屋もそうだ…、あそこにあった日記らしき書物…そこに書かれていた文字は明らかに近代のものじゃなかった。


あっしまった…! あの日記師匠(せんせい)に見てもらえばよかったァ…、そしたら何か分かったかもしれないのに…。いやでもそんときニキ居なかったか…。


あの日記は確かニキのリュックの中だったっけか…? 私が唯一知ってるヤーナダ文字じゃなかった気はするが…後でもう一度見てみるか…。


「──あの…カカ様…、この道本当に合っていますか…? 確か見取図では十字路は無かった筈ですが…アレそうですよね…?」


「んっ確かに…、おっかしいな…間違えたか…? でももう突き当たり見えるし…確認ついでに行ってみるか…」


確実にこの道が大階段付近に繋がる道…の筈なんだがな…。まあ左右の部屋を見取図に書き忘れただけの可能性もあるし、自信もって歩もう。


見取図にはなかった左右の道を見て見ぬフリし…通路の突き当たりまで来た。本来であればこの先に少し広い空間が見えてくる筈なんだが…。


道を間違えた現実を突き付けてくるかのように…目の前に見えてきたのは広さほどほどの空間。今までの部屋とは違う円形の部屋。


中央付近には梯子があり、これを上がって行けば上階までいけそうだが…所々錆びついてる…。途中でべっきり折れないか心配だ…。


「まあ…大階段にこそ辿り着けはしなかったけど、2階に行けるんなら結果オーライだよな…ハハハッ…」


「次からはちゃんと(わたくし)にも見取図見せてくださいね…?」


ばつが悪いのでさっさと上へ行ってしまおう。ちょっとギシギシいってて不安だが…意外にもちゃんと上れる。


ひょこっと顔を覗かせると、そこは1階とほとんど同じ部屋。違いがあるとすればアーチ型の窓があることくらい。


「塔みてェな場所だな…監視塔か…?」


「あのカカ様…上り切っていただけますか…? (わたくし)も見たいのですが…」


「あの窓からニキ達見えるかな…?」


「カカ様…!」


梯子はまだ上に続いてるが…ここから別の場所へは行けなそうだ…。んー残念…せっかくだし一番上まで行ってみるか…。


更に上へ行ってみると、そこも同じような部屋だった…意味あんのかなこの空間…。ほんでまだ上に続いてる…でも今までと違って落とし戸がある。


コレまた錆びれてるが…力いっぱい押すとガコンッと開いた。差し込む日の光、暗闇に適応してた目に刺さる刺さる…。


「まさか外に出るとは…、やっぱ監視塔みたいな場所だったんだな」


「ですから…! それを共有する為に早く上り切ってください…! 今のところカカ様の脚しか見えてきません…!」


「美脚?」

「美脚ですから…! ですからどうか早く上ってください…!」


アクアスに急かされるまま屋上に出ると、涼しい風が髪を撫でる。城内でいう4階の高さだからか、実に見晴らしが良い。


冥淵(めいえん)特有の変な色の森が一望できる。ニキ達は城を挟んで反対側か…手を振りたかったんだがな…。


「カ…カカカカカカ様…! アレ見てくださいアレ…!」


「んっ? ──おおォ…?! ちっ…近ェ…!」


屋根が崩れた5階建ての天守(キープ)…その上にどっしり鎮座するは伝説級の黒龍…。こんな至近距離で竜見たの初めて…! 怖っっわ…!


竜が明後日の方向を向いてるうちに素早く身を隠す…。あんなのに見つかったら速攻火葬されちまう…、とんでもない場所に出たもんだ…。


「アクアス…〝軌跡〟はどうなってる…?」


「〝軌跡〟は…竜のそば…やや後方に伸びてますね…」


「案の定最悪な場所にありやがるな…、まあそれはいつものことだが…」


いつものことだがいつにも増して最悪だ…。どうしましょ…どうやって石版回収しましょ…、こっそり近付くとか怖くて嫌なんですけど…。


だって直前にネコ科生物の燃えカス見ちゃってるもの…、直火でこんがりでしたもの…。あんな死に方だけはしたくねェぜ…。


とりあえずこの場所からできることはないので、諦めて引き返す。2階・3階に移動できればいいのに…なんて間違った構造…。


「ひとまずさっきの場所までは戻るとして…何で道間違えちゃったかなぁ…。アクアスも見てー…私分かんないよぉ…」


(わたくし)も得意なわけではありませんが…んむむむ…──あれ…? ちょっとこれ見てくださいカカ様。さっきの部屋から伸びている通路の先…どれも監視塔らしき場所には続いてませんよね…?」


「あっホントだ、私達道沿いに真っ直ぐ進んだ筈なのにな…。──ちょっと待て…? じゃあこの見取図てんで間違ってるじゃねェかァ…!! ざっけんなよクソったれ…! 製作者出てこーい…! 2000年以上の時を越えてイタズラ仕掛けてくんなボケェ…!!」


怒りに任せて見取図を地面に叩きつけ、そのまま四つん這いになって落胆…。信じてた分…裏切られた時の精神ダメージスッゲェ…。


なんだよもぉ…じゃあ見取図(コレ)何の為の物なんだよぉ…。こんなガチで作り込まれてたら本物だと思うじゃん…。カスがよぉ…。


「カカ様…気を取り直して頑張りましょう…! 自力でもきっと最上階まで行けますよ…! ネバーギブアップですカカ様…!」


「──そうだな…こうなりゃ虱潰しで探し回ってやる…! 行くぞアクアス…!」


「はいっ!」


こうしてだだっ広い古城をひたすら歩き回る冒険が始まった…。現在地も構造も理解できてないまま…ひたすらに薄暗い古城を進む。


さっき監視塔からなんとなーく天守(キープ)を見て、中心部の方向は大体把握したし、さっきまでよりかは迷わない。


しかし入り組んだ通路は中々進みたい方向へは進ませてはくれず…右に左に…まるで弄ばれているかのよう…。


マジでかつての人々はどうやって暮らしてたの…? こんなの毎日でも迷子になるだろ…、私が王族だったらブチ切れ案件ですぜ…?


あー…これをドヤ顔で建築した奴の顔面数十回はぶん殴ってやりてェ…。帰ったらニキかパークに八つ当たりしよ、八つ当たろ。




     ▼   ▽   ▼   ▽   ▼




「あっ! カカ様! あれ大階段じゃないですか?!」


「やっとかァ…やっと上に行けるぜェ…」


開けた空間にご立派な大階段を発見、もっと分かり易い場所に欲しいがね。多分だけどこれ城の端の方だろ…? もっと中央に拵えてくれや…。


ほんで階下(ここ)からでも分かるが…3階に続く階段が無ェ…、これ次は2階を探し回る羽目になるのか…。めんど…。


「──カカ様、()()…なんでしょうか…?」


「んあ…? アレは~…なんだろうねぇ…」


アクアスが顔を向ける先には部屋があり、その入り口から何か丸いのが見える…。形状だけなら見て取れるが…遠目じゃそれが何かは分からない…。


クソ…今すぐ2階に行かなきゃならないのに…一度気になったらもう進めない…! パパッと見るだけ見てさっさと上に行こう…。


部屋に入ると、石で作られた台座の上に〝水晶玉〟らしき物が置かれている。流石に埃まみれで、輝きは失われている。


これ以外には何もなく、水晶玉だけが中央に置かれているだけ。わざわざこの水晶玉の為だけに設けられた部屋なのか…?


ってことは水晶玉(コレ)…スゲー価値のある物ってことか…? くっ…! だとしても要らねェ…! ひたすらに汚い水晶玉要らねェ…!


「もう十分見ただろ…? さっさと2階行くぞ」


「あっ待ってください…! ニキ様にお土産を頼まれていますから、水晶玉(コレ)を手土産に持って帰りましょう…!」


「えェ…じゃあ運ぶ前にちゃんと埃落としな…、でないとメイド服汚れるから…」


律儀な奴だなァ…私だったらそこら辺の苔とか持って帰るのに…。ってか水晶玉(ソレ)取れるのか…? 台座にくっついてるように見えるけど…。


まあ無理だったら早々に諦めて上行くべ、そんで適当な小石でも拾うべ。石版回収前に大きな手荷物増やすのもあれだしな。


“──ポァ!”


「へっ?」

「おっ?」


“──ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!”


「おおおおっ…!? なんじゃァ…!? オマエ何した…!?」


(わたくし)は何も…ただ触れただけですよ…?!」


アクアスが水晶に触れた途端、突如水晶玉が空色に輝き…その直後古城全体が大きく揺れ始めた…。地震…ではなさそうだが…。


一体何が起こったってんだ…!? 揺れがデカすぎて立ってられねェ…!


「アクアス…! 伏sんぅぅ…!? 何やってんだオマエ…?!」


「カカ様はこういう時いつも覆い被さってくださいますが…本来であれば(わたくし)こそがカカ様をお守りしなくては…」


「言っとる場合か…!! いいから伏せてろバカタレ…!」


使命感に駆られてる健気メイドを強引に伏せさせ、落石に備えて覆い被さる。強い揺れは中々収まらず…三半規管がやれてしまいそうだ…。


目を閉じて何とかジッと耐え忍んでいると…次第に揺れが収まってきた…。あんだけ強く揺れたのに…一切崩れてないのには恐れ入るぜ…。


「大丈夫かアクアス…?」


「カカ様酷いです…職務妨害です…」


「まだ言ってんのか…次があったらそん時に頼むよ」


拗ねてるアクアスをよそに、服を(はた)きながら立ち上がる。水晶玉は輝きを失い、さっきの薄汚い状態に戻っていた。


さて…一体何が起きたのか検証しようか…。あれだけ大きな揺れだ…よっぽどの事態が起こったに違いない…。


「…っ! カカ様…!」


「おうどうした…?! 何か見つけたか…?!」


「見つけたと言いますか気付いたと言いますか…とにかくこれ見てください…!」


アクアスが指差したのは部屋の出入口。恐らくは部屋の外を指しているだろうと察し、顔をひょっこり覗かせる。


しかし部屋の外にこれといっておかしな点はなく思える。今まで見てきたのと変わらない古ぼけた通路のまま、アクアスは何を騒いでんだ…?


「何か変わったところあるか…? 私全然分からないんだが…」


「節穴…! しっかりしてくださいカカ様…! 何もかもが変わっていますよ…! 部屋の外には開けた空間と大階段があった筈です…!」


「えっ…? あれそうじゃん…?! アレェ…!? どうなってんだ…!? 大階段どこ行った…!? 何がどうなってんだ…!?」


目をこすって確認しても…部屋の外は薄暗い通路のまま…。床に伏せていた間に…ようやく見つけた大階段は影も形もなくなっていた…。


思考停止…ナニガナニヤラワカラナイ…。悪い夢でも見てる気分だ…間近で圧倒的な未知に直面すると頭痛くなる…。


ひとまず外に出てみるが…通路は前方と右側に分かれている…。まったく見覚えのない通路だ…来たことのないエリアか…?


移動(ワープ)したってこと…? 私達が…? 床に伏せてたのに…? ──ぃぃぃいいいい意味分からん…! 何なんだマジで…。


「カカ様…! こちらに先ほどと同じ監視塔のような場所があります…!」


「監視塔…? あー…見晴らしの良い場所からなら…何が起きたか分かるかもな…。ちょっと疲れるが…また上ってみるか…」


せめて何が起きたのか理解したい一心で、再度屋上までの長い梯子を上り、重い落とし戸を開け外に出た。


とりあえず古城周辺に異常がないかをチェック。万が一あの大揺れで地割れでも発生していたら大変だ…ニキ達の方にも被害が出てるやもしれん…。


不安を抱きながら監視塔から身を乗り出して辺りを見渡すが、とりあえず大地に異常はなく見える。ひとまずそれは良かったが…じゃあ一体何が…。


「カカ様…! 物凄い異変が起きてます…! 古城が…! 変形してます…!!」


「変形…? ──変形…? ────あー…──────さっきと形が違ェ…?!! ナニコレどういうこと…!? コレも古代技術の賜物…!? 古代技術スゲー…!!」


あまりの超常現象に脳がフリーズしてしまったが…ようやく事の重大さを認識した…。そういえばさっきと全然形が違う…!


さっきはごく一般的な、どっしり構えたお城!って感じだったのに…なんか上に伸びた…! 凄くアンバランス…! 逆三角形…!


階も増えてね…!? さっき5階建てだった筈なのに8階建てに伸びてる…! キモ…! 意味も原理も不明な古代技術キモォ…!


何の為にだよ…! 何に備えた隠し芸だよ…! これが流行ってたのか先人達の間では…!? 先人達の子孫にあたる現代人(わたし)が言っちゃ悪いが利便性圧倒的マイナス…!


「これ最上階まで行くのクソしんどいぞ…。どうする…? もう外壁登っちゃう…? 木じゃなきゃ多分イケるぜ私は」


「角張った逆三角形の建物の外壁登るのはちょっと難しいのでは…、竜に見つかる危険もありますし…。そういえば竜は…?」


「竜…──…っ!?」


一瞬にして背筋が凍りついた…今になってとあることに気が付いた…。今私達は何故か…日陰の中に立っている…。


時間帯的に太陽は私達側の空にあるし…間違っても古城が日の光を遮るようなことはありえない…絶対に…。


だがそれならば今…日の光を遮っているのは…。恐る恐る太陽があるべき方向に顔を向けると…逆光に照らされた黒龍がこっちを見つめていた…。


「── “ゴルルルゥ…!” 」


「終わったァァァァ…!!!」



──第138話 過ぎ去った古城〈終〉

絶体絶命──?!


<一方、待機班>

「城が…?! 城が変形したニよ…?! どうなってるニ…!?」


「凄いね…原理がさっぱり分からないよ…! 古代技術は凄いなぁ…!」


「巻き込まれたりしてねェだろうな…アイツ等…」

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